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【超訳】小倉百人一首   ~百の彩り 百の想い~  作者: 桜井今日子
貴族文化 終焉の時 散る桜 美しく儚く 人生にも似て
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081 ホトトギスといえば

81 ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる

 ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる


【分類】夏


【超訳】見えなかったよ。

ほととぎすが鳴いたからさ、あれっと思ってそっちを眺めたんだけどね、もうその姿はなくって有明の月だけが空には残っていたんだ。


【詠み人】後徳大寺左大臣ごとくだいじのさだいじん

藤原実定。藤原定家(97)の従兄弟。


【決まり字】ほ(1)


【雑感】「暁に郭公ほととぎすを聞く」というお題で詠まれたそうです。ほととぎすは初夏になると南方から渡ってくる夏鳥で、夏の風物詩とのことです。この時代ホトトギスはあの世とこの世を行き来する鳥と言われていたそうです。ホトトギスが鳴き声が聞こえたから(ホトトギスが)あの世から戻ってきたのかな、あの世にいる人のことを伝えてくれるのかな、なんて思って振り返ったのかもしれません。様子を知りたい大切なヒトがあの世にいるのかしら?

  

 ホトトギス、と言えば、時代は異なりますが、戦国時代の三英傑、信長、秀吉、家康の句ですよね。

 鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス (織田信長)

 鳴かぬなら 鳴かせてみよう ホトトギス (豊臣秀吉)

 鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス (徳川家康)

 

 もちろん、ご本人が詠んだものではないのは知られていることですが、三人の個性を見事に表した句とされていますよね。

 他の方にもホトトギスを詠ませていたり、和歌や俳句にも用いられていますが、現パナソニックの創業者である松下幸之助さんの句をご紹介。


 鳴かぬなら それもまた良し ホトトギス


個人的にこの句がいちばんしっくりきます。

皆さまはどうなさいますか? 鳴かないホトトギス。


 それから、有明の月。夜明けに昇ってくる月です。月は百人一首にもよく登場しますが、その中でも有明の月は三首もあります。みなさま、夜更かしなのね。

♪次回予告

082 人生は恋にも似て

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