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【超訳】小倉百人一首   ~百の彩り 百の想い~  作者: 桜井今日子
折り返し 平安時代 全盛期 咲き誇るのは 恋花ばかり?
58/110

054 瞼を閉じるそのときは

54 忘れじの 行末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな

 わすれじの ゆくすえまでは かたければ けふ(きょう)をかぎりの いのちともがな


【超訳】死ぬなら今日がいいわ。

「いつまでも忘れない」なんて言ってくれたけれど、明日のことはわからないじゃない? だったら死ぬのは今日がいいわ。最高に幸せなこの瞬間に。


【詠み人】儀同三司母ぎどうさんしのはは

後に一条天皇の中宮となる定子の母。その定子に仕えたのが清少納言(62)。


【分類】恋 (女子)


【決まり字】わすれ(3)

  

【雑感】53番の「なげきつつ~」の右大将道綱母うだいしょうみちつなのははの歌に続く女性の哀しい歌です。この方は藤原道隆ふじわらのみちたかの正室となり、多くの子どもにも恵まれます。その子の中には天皇の中宮(正室)となる定子ていしもいます。セレブなお生まれで、エリートのダンナと結婚して、優秀な子供達にも恵まれた。履歴書的には皆から羨ましがられたことでしょう。それでもひとりの女性としては、やっぱり哀しい。当時は認められている一夫多妻制かもしれないけれど、つらいものはつらい。オンナとして一番幸せな瞬間に死んでしまいたい、と思わせるほどの当時の女性の辛く哀しい歌ですよね。

 誰だって最後にまぶたを閉じる瞬間は「幸せ」を感じていたいもの。愛する人がいるのなら、その人にはその「幸せ」を感じさせてあげて。

 「幸せ」と「感謝」を感じながら旅立つのが理想です。

♪次回予告

055 流れるもの、流れないもの

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