003 秘めたる想いこそ誠なり
3 あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
あしびきの やまどりのをの しだりをの ながながしよを ひとりかもねむ
【分類】恋(男子・悲恋)
【超訳】 好きなのになぁ。チョー好きなのになぁ。
キミのことがこんなに好きなのに、キミは天皇にお仕えしていて告れないし、つきあえないし。山鳥みたいにキミを想いながらひとり寝るのはキッツいよなぁ――。
【詠み人】柿本人麻呂
持統天皇などに仕えた宮廷歌人。生没年や詳しい官位などは伝わっていない。宮廷歌人として天皇を称える歌や挽歌(亡くなった人を悼む和歌)や相聞歌(互いにやりとりをする和歌)など各種の和歌に通じた。「三十六歌仙《※》」のひとりに挙げられる。
※ 三十六歌仙 平安時代の和歌の名人36人の総称
【決まり字】 あし(2)
【雑感】超のつく有名歌人です。古文にも登場しますし、日本史にも出てきますか? 三十六歌仙にも選ばれている日本を代表する歌人でしょう。
かるたを楽しんでいた子供のころは、妙に語呂がいいというか、リズムがいいのか、すんなりと頭に入った和歌でしたが、こんな切ない恋のウタだったのですね。
好きなのに告白できない。告白できないから付き合えない。だから今日も俺はひとりで寂しく寝るしかねぇのかよ、といったところでしょうか。秘めたる想いこそ誠なりともいいますもんね。こんな風に想われた女性は一体どんな方だったのかしら?
♪次回予告
004 富士はニッポン一の山




