041 負けから学ぶこと
41 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか
こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか
【分類】恋 (男子・ラブラブ)
【超訳】早くね?
オレが恋してるってもうウワサになっちゃってるわけ? 誰にも言ってねぇぜ? まだ最近だぜ? なんでバレんの?
【詠み人】壬生忠見
壬生忠岑(31)の子。三十六歌仙のひとり。
【決まり字】こひ(2)
【雑感】40番の「しのぶれど~」に歌合せで負けてしまった歌です。そうはいっても大接戦でこちらの歌のほうが良いとした判者もいたようです。天皇が小さい声で「しのぶれど~」と口ずさまれたので、そちらを勝ちにしたんだとか。敗れた忠見は憤死したなんて逸話も残っているらしいけれど、どうやらそれは嘘でその後も活躍されたそうです。そうよ、そうよ、これをバネにして頑張らないと! 天皇陛下の前での歌合せという催しで負けてしまうというのが、どのくらい恥ずかしいものなのか、認められなかったのが、どれほど悔しいものなのか現代の庶民のワタシにはわからないんですけれどね。負けから学ぶこともありますよ、きっと。うん。
まぁお題が「忍ぶ恋」だからか、40番と似ていますよね。「あれ、バレちゃった。『なになに、好きな人でもできたわけ?』なんて聞かれちゃったから」と詠った40番。「早くね? もうウワサになっちゃってるわけ? 誰にも言ってねぇぜ? まだ最近だぜ? なんでバレんの?」と詠った41番。
どうなのかしら、恋したら相手は誰というところは秘めておくにしても、「恋しちゃった~。恋しちゃった~ルンルン♪」って歌ばかり詠っちゃってるんじゃないの? ま、現代でもね、和歌は詠まなくても、「あれ、なにご機嫌じゃん。なんかいいことあった?」っていうヤツいますよね。思い出し笑いしてみたり、鼻歌歌ってみたり……。そういうのが「色に出にけり(恋心が顔に出る)」とか「わが名はまだき たちにけり(こんなに早くに噂になる)」ということなんでしょうね。
♪次回予告
042 恋の病からさめると




