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032 柵を作ったのは誰?
32 山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり
やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり
【分類】秋
【超訳】何かと思えば紅葉じゃん!
キレ―な柵だな――って思って近くまで寄ってみたら、紅葉じゃん! 風で拭き溜まったのかなぁ。すんごいキレイじゃね?
【詠み人】春道列樹
歌人としては無名だったが、この歌が高く評価された
【決まり字】やまが(3)
【雑感】「しがらみ」とは流れをせき止めるために川の中に立てる柵のこと。人が作ったものだと思って見たら、それは風が紅葉を使って作ったものだった、ということらしいです。山の中の清らかな川に、その流れをせき止めるように美しい紅葉。桜が水面を埋めつくす様子を花筏と言いますが、さしずめこちらは紅葉筏?
名門とはいえない下級貴族の出で、歌人としても無名だったのに、百人一首に選ばれたのは、撰者の藤原定家(97)がいたく気に入ったからだとか。本歌取りといって、この歌をオマージュして自分の和歌を作ったほどだったそうです。
♪次回予告
033 日本の花




