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【超訳】小倉百人一首   ~百の彩り 百の想い~  作者: 桜井今日子
春は花 夏の月夜に 秋寂し 冬白清く うつくしやまと
33/110

030 逢えないで帰る恋

30 有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし

 ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし


【分類】恋 (男子・悲恋)


【超訳】今もつらいんだよ?

あなたと別れたあのときも有明の月が見えてたから、今も有明の月を見るとつらいんだよ。そっけなくされちゃったあなたのことを思い出しちゃってね。


【詠み人】壬生忠岑みぶのただみね


【決まり字】ありあ(3)


【雑感】これも「あなた」がどういう方か諸説あるようです。作者の好きな人が既婚者で想いが遂げられない説、女性の方が作者に興味がなく、会いに来ても相手をしなかった説などです。「古今集」では『逢はずして帰る恋』に分類されているので、うまくいかない恋であることは間違いないようです。

 有明の月はほぼ夜明けに東の空から昇ってくる月です。季節にもよるでしょうが夜明けの時刻で空が白んでくるような時間帯です。この頃は男性が夜の間に女性の元へと通って朝には自宅に戻るのですから、夜明けは恨めしいものかもしれませんよね。うまくいく恋にしても、うまくいかない恋にしても。

 今でも有明の月を見るとつらいんだよ。

 時が経っても胸をしめつけられるほどの恋、だったのでしょうね。

♪次回予告

031 月のように

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