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【超訳】小倉百人一首   ~百の彩り 百の想い~  作者: 桜井今日子
さあ本編 まず飛鳥から 平安初期 月を眺めて 景色を愛でて
17/110

015 この想いは誰のため?

15 君がため 春の野にいでて 若菜摘む わが衣手に 雪はふりつつ

 きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ


【分類】恋 (男子・ラブラブ)


【超訳】君のためなら

キミのために若菜を摘みに来ているんだ。春だと思っていたらまだ雪がちらついて服が濡れるけれど、ヘーキ、ヘーキ。キミのこと考えながらなら全然気にならないよ!


【詠み人】光孝天皇こうこうてんのう

58代天皇。55歳で即位したが、4年で崩御。和歌や琴に通じた文化人として後世に名を残している。


【決まり字】きみがため は(6)


【雑感】若菜とは今でいう春の七草のことらしいです。セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロのことですよね。このころは贈り物にも和歌を添える習慣があったので、春の七草を送るときに一緒に添えて贈った和歌だとされています。

 春と言っても旧暦のことだからまだ肌寒い季節。七草を摘むために春の野に出る。空からはちらちらと雪が舞い降りてくる。音もなく。薄い砂色の空。煙のような雲。手に取ると溶けてしまう雪。若草はうっすらと白く染まる。薄絹をかけたように。天皇だからおつきの従者がお衣装が濡れてしまうから戻りましょうとでも言ったのでしょうか。そんなことは構わないんだよ。たいせつなあの人のためなんだから、とお答えになった天皇。本当に即位後も野草を摘みにお出かけになるような気さくなお人柄だったと伝えられています。

 「君」というのが、不明だそうです。恋人だったとか時の実力者、藤原基経ふじわらのもとつねだとか言われているそうですが、ここはロマンチックな方を選びました。即位する前とはいえ、ゆくゆくは天皇になろうかというお方が、実力者に「あなたのためにならなんでもします」なぁんて言っても、なんかゲンナリしちゃうでしょう? 

 それよりは女性のために「別に服が濡れたって、風邪をひいたって構わないよ。キミのためならね」と歌ってくれたほうが「あら、素敵」って思いませんか? 「君のためならたとえ火の中、水の中」って想われるのって2次元としては理想ですよ。3次元でリアルにされると……、ストーカーと紙一重? いやいやそれでも大事に想われたいのは女子の理想。え? 男子も? まぁ、お互い大事に想い想われるのが理想でしょうね。

♪次回予告

016 再会のおまじない

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