014 許されない恋
14 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに
みちのくの しのぶもぢずり だれゆゑに みだれそめにし われならなくに
【分類】恋 (男子・悲恋)
【超訳】一体誰のせいなんだよ!
「しのぶもぢずり」の乱れ模様のようにオレの心の中も乱れているんだよ。一体誰のせいなんだよ! お前のせいなんだよ!!
【詠み人】河原左大臣
天皇の皇子であったが、皇族を離れて源氏姓を名乗る。京都六条に豪華な邸宅を建てたことから、『源氏物語』の光源氏のモデルのひとりとされている。
【決まり字】みち(2)
【雑感】「しのぶ」という言葉が「忍ぶ恋」=「許されない恋」を連想させるので、恐らくは身分違いとか人妻への許されない恋を詠っているのではないか、ということだそうです。
詠み手は光源氏のモデルのひとりとされている河原左大臣。この百人一首には光源氏のモデルとされた方が複数登場します。まあ、紫式部さまも実在のいい男のいいとこどりをして光源氏を作り上げたのかもしれませんね。
恋してはならないお前を好きになったのは、オレが悪いんじゃないからな、オレを落とすお前が悪いんだからな、こんな気持ちにさせやがってってこと? あるいはあなたが魅力的すぎるから道ならぬ恋に落ちてしまうんだよ、ってこと? 許されないことはわかっているけれど、あなたが素敵すぎるのがいけないんだ、そのくらいあなたが素晴らしいってこと? だんだん解釈が寛大になってきます? ワタシ。
まぁねぇ、許されないからより気持ちも盛り上がるのかもしれませんねぇ。秘めた想いだけれど歌には詠んじゃった。お相手が誰かがわかっていないので、そこは秘めましたか? けれどもその許されない恋を詠った歌が数百年も秀作として遺っており、読むワタシ達の胸をしめつけたり、ときめかせてくれるのは確かなのですけれどね。
♪次回予告
015 この想いは誰のため?




