何気ない朝の食卓
朝起きるとアカネが横ですやすや眠っていた。
気持ちよさそうに眠っており、布団をはむはむと噛んで眠っている。寝言でピザうま……と言っているので布団がピザに見えているようだ。
私はとりあえず起き上がり、顔を洗いに洗面所へと向かう。
ばしゃばしゃと冷たい水で顔を洗い、タオルで拭う。そしてキッチンへと向かい簡単な朝食を作ることにした。
ベーコンエッグでいいか。卵の消費期限がもう少しだから使い切ってしまわないと。今日は卵尽くしといこう。
ゲームやる時間を作りたいから夜の分まで作り置きしておこう。
朝はベーコンエッグ、昼は玉子丼、夜は親子丼だな。全部卵だ。文句は言うまい。
「おはよぉ……」
「おはよう。いい夢は見れたかい?」
「美味しいピザを食べてた……。マルゲリータ……」
「そうかい。で、カメラ?」
「あぁ、寝落ち配信してるから……。朝ごはん食べ終わった後に終わる……。ほらみんな、クオンのエプロン姿……」
「あまりいいものでもないだろう。アカネ、卵の消費期限がそろそろ切れるから今日は卵デーだからな」
「ん、いいよぉ。クオンの料理は何でもおいしいし」
厚切りベーコンをフライパンの上に乗せ、卵を二つ割り入れる。
出来上がったら皿の上にのせて、ブラックペッパーを少々振りかけたら完成。ベーコンエッグ。私はテーブルの上にもっていき、ごはんをよそってカップみそ汁にお湯を注ぎアカネの前に差し出す。
アカネはわかめ、私はとうふの味噌汁だ。
「いただきまぁーす……」
「いただきます」
アカネはベーコンエッグを噛みちぎる。
私はトロトロの黄身を箸で割り、そこにちょっとだけ醤油を垂らして食べる。
「それよりどうするぅ? 今日、第三エリアを抜けちゃう? 早いとこ抜けたほうがいいでしょ」
「それもいいが……。フェニックスをテイムできたし、イズン、酒呑童子が熱耐性を持ったから割と活動はできるようにはなったんだ。もう少し探索してもいいんじゃないか?」
「じゃあそうしよー。フェニックス……シリウスのレベリングもするよね?」
「するさ。孵化したてだからな」
「レジェンドモンスターって強いけどみんなレベル1からになるのかねぇ。めんどくさいっちゃめんどくさいよね」
「その分スキルとか強さ、ステータスが強いんだろう。贅沢は言うべきじゃない。どうせすぐにレベルは上げられる」
インダラも今現在レベルは38、酒呑童子とかチェシャ猫は一向にレベルが上がってないが、テイムした時からすでにレベル60を超えていたので当たり前といえば当たり前。
こういうレベリング作業は嫌いじゃない。シリウスの能力はまだわからないからな……。
「それに、火山もだんだん面白くなってきたからな。もっと探検したらもっと何かが起きそうだ」
「なんかクオンが来てからアナオンすげえカオスになってる気がする」
「そうかい?」
「私が近くにいるからそう感じてるだけかもしれない。でも……それはそれで楽しいね、クオン」
「あぁ……。というか、今日はやけにぐいぐい来るね」
「だって……」
アカネはちらっと玄関のほうを向く。
「この前みたいなことになって、何も言えないままお別れになるっていうのは嫌だから」
「それもそうか。まぁ、滅多にないだろう」
「あったから怖いんだよぉ……。だから後悔しないように、ちゃんと言葉で伝えることにしたんだよっ」
「そうか。それがいいかもな」
私は味噌汁を飲み干した。




