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◇雲外蒼天 ②

 楽しい。グレオンと戦っていて思っていたのは楽しいの一言だけだった。


「あぁ……。強い……! なんて強いんだろう……!」


 ”アカネってマゾだよな”

 

 と失礼なことも言われているが、私は高難易度が好きであるからマゾみたいな感じがあるのは否定ができない。

 高難易度をクリアした時に出る脳汁の快感は代えがたいものだ。苦労して、頑張って得られる成果。達成できた時にはとてつもない幸福感と達成感がある。

 私はそれが好きだ。

 

 グレオン。ものすごく強い。

 攻撃力が尋常じゃなく、一撃でも被弾してしまえばほぼ死ぬ、そんなミスが許されない状況。厳しければ厳しいほど、難しければ難しいほど、達成した時の快感はデカくなる。やりがいというものを感じる。

 今、まさにその状況。気分が高揚しない、わけがないのだ。


 グレオンは横に剣を薙ぎ払う。

 飛び上がり避けてそのまま刀で切りつける。動きは大体読めてきた。読めたということは私がすでに慣れてしまったということ。

 慣れてしまったのならもうすでに消化作業に近い。万里一空以外の強力なスキルはないし、万里一空はすでに避けられる。


「大体慣れた。じゃ、そろそろ終わらせるとしようかな」


 私は防御を捨て、攻めに転じる。

 攻撃を躱し、攻撃を叩きこんだ。グレオンの攻撃は全部見切れている。気を抜かなければまず被弾することはないだろう。

 動きがわかったらあとはもう簡単なんだ。初見が私苦手なだけなんだ……。


 私は攻撃を加え続けて、ついに。


「おしまいだよ」


 刀で左胸を貫いた。

 グレオンは「おぉ……」と呻き声をあげて、そのまま倒れてしまう。そして、クオンのとおそろいのアイメラのブレスレットをドロップしていた。

 私はそのブレスレットを拾い上げ、装備する。


「クオンとおそろ~」


 クオンとは色違いのピンク色。クオンのは水色だったからなー。

 でもクオンとおそろいというのが何よりもうれしい。私にとってクオンがすべてだから……。クオン驚くだろうなぁ~。


「あ、配信時間みじか……。グレオン倒したら終わろうと思ってたんだけど意外と早く終わったんだ。うーん、今の時間で終わるのもなんか嫌だしなぁ……。なんかしてほしいこととかある?」


 ”クオンの寝顔凸”

 ”クオンが本当に寝ているか確かめに行こう”

 ”クオンが寝ているか確かめに”


「現実世界で配信開きなおしになるじゃん……。ま、でもそれもいいかもね。クオンの可愛さをみんなに知らしめるチャンスかも。一回配信閉じるよじゃあ」


 私は配信を閉じて、宿屋に戻りログアウト。

 そして、現実世界に戻りカメラを回しながら配信を続けていた。スマホでコメントを確認しながらクオンが寝ている部屋へとそろりそろりと足を運ぶ。

 久遠の部屋の扉を開けた。ベッドですやすやと眠っているクオンの寝顔。


「やばっ、超かわいい。うちのクオンかわいすぎワロタ」


 ”声出したらばれる”

 ”綺麗な寝顔……。っていうか息してる?”

 

 すぅ……すぅ……と可愛い顔をして眠っていた。

 クオンは昔から眠りが深い。ちょっとやそっとのことじゃ起きないのを理解している。私は久遠の寝ているベッドにもぐりこんだ。


 ”ナチュラルに添い寝”

 ”あら~~~”

 

「睡眠配信にします……。おやすみ……」


 久遠に抱き着いて、私は目を閉じたのだった。










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― 新着の感想 ―
アカネ殿、出番が少ないから気づきにくいけど、結構ヤバいタイプの人だった そりゃそうか、クオンと一緒にゲームするために、失業初日によびたして、家に連れ込んで、VRゲーム機器用意して、収入折半という名の…
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