妖魔界へGO!
妖魔界。
妖怪の国らしい。アカネは「いいなぁ……」と指を咥えていた。
私はカメラを回し、配信しながら行くことになったわけなのだが。
「ここから先は妖怪以外立ち入り禁止だからな……」
と、ゲートらしきものを潜った瞬間に、私の身体が変化していた。
私の頭には角が生えてきて、控えめだった胸がボインと大きくなっている。
いきなりのことに視聴者たちもビックリしていた。
「酒呑童子になった?」
(妖怪以外立ち入り禁止だつったろ。アタシをテイムしてっからアタシの姿になったんだ。言っておくがアタシ以外は呼び出せねえからアタシの姿でアンタが戦うんだぞ)
脳内に声が響き渡る。
なるほどな……。妖怪以外立ち入り禁止だから必然的に妖怪の姿に変えられてしまうというわけだ。
隣にいたアニマは玉藻前の姿になっている。感激のあまり泣いていた。
「狐耳スパダリイケメンになれたよ私……!」
「泣くほどかね。ま、さっさと行こうか」
アタシは仕方がないので金棒を手にする。
パワーは酒呑童子になっているのか、軽々と振り回せた。
早速妖怪を見つけ、私は金棒で不意打ちをかます。
「狐火ー!」
アニマが狐火を放った。
スキル……使えるんだったか。私はステータスを確認すると、スキルで"オニゴロシ"と"鍛高譚"というものがあった。
オニゴロシを使用してみると、身体が勝手に動き出す。そして、大きく薙ぎ払い衝撃波が妖怪たちをぶちのめした。
「サポートしてくれるのか。ありがたいな。私では出来ないからな」
運動神経が悪いので自分で戦うのは向いていない。
視聴者もなにその技と驚いていた。
「ん? 街だ」
「行ってみよう! 流石に街に入ったらバトルダメそう」
「かもしれないね」
赤い橋が見えて来ていた。
赤い橋を渡った先には店などが立ち並んでいる。物珍しさに歩いていると、妖怪たちがこちらを向いてギョッと驚いた顔をしていた。
「しゅ、酒呑童子様と玉藻前様だ……!」
「何しに来たんだ!?」
なんか怯えられている。
「なんで怯えてるんだい?」
(そりゃアタシらは格式高い妖怪だぜ? オメーら人間で言う……身分が高いってやつだ。この妖魔界ではトップに一番近い妖怪様だぜ)
「なるほど。そういった理由か」
それに酒呑童子の凶暴さも相まって怯えられてるんだろう。
とりあえず私は怯える妖怪たちを無視して酒呑童子の言いなりになり目の前の和の城を目指して歩いていく。
(ここにトップの妖怪がいる。ま、気楽にいけよ)
「挨拶しろってことかい?」
(そういうこと。ま、アイツはどーせお前らが人間だって見破るが問題ねえからな)
いいのか?
私たちは言われるがままに中へと入っていく。
城の中は至って普通だった。中学の修学旅行で行った大阪城に近い構造。
天守閣に妖魔界を束ねる王がいるらしく、酒呑童子、玉藻前の私たちはすぐ面会することが出来るのだという。
首が長く伸びるろくろ首、赤い顔と長い鼻が特徴の天狗に案内されて、天守閣の中へと入っていく。
「よく来たな」
そこにいたのは、閻魔と書かれた帽子を被ったイケメンだった。




