PKの横行
ホラーコインが着々と集まってきていた。
今のコインの数はざっと1000くらい。クエストをこなしてほどほどの強敵を倒したら割とすぐに集まった。
ただ1000を目標にはしていない。どうせなら一番いいものであろう最大ホラーコインで交換できるレアスキルの書というのを狙ってみることにする。
”あ、やばい。クオン気を付けたほうがいいよ”
と、視聴者が声を上げた。
”ホラーコイン、どうやらほかプレイヤーから奪える仕様になってるらしい”
”PKが横行するかも”
ということだった。
どうやらホラーコインはほかプレイヤーをキルしても少し奪えるようだった。なぜそんな仕様にしたのだろうか……。
PKが横行するかもしれない恐怖がある。人間は基本的に楽をする生き物なので、楽ができるとわかったらそっち方面に舵を切る愚か者がいてもおかしくは……。
歩きながら視聴者と話していると。
「死ねッ!」
と、ほかプレイヤーを襲っているプレイヤーが見えた。
すぐ現場を目撃してしまったな。
襲われたプレイヤーは剣で防御をしていた。だがしかし、襲ったプレイヤーのほうがレベルが高いのか、戦闘がうまいのかは定かではないが襲ったプレイヤーのほうが押している。
私は見てしまった手前無視をするのはいかがなものかと考え、とりあえずインダラを向かわせた。
「ワォオーーーン!」
「なんだこの狼……! ぐあっ!」
襲ったプレイヤーが一撃で倒れた。
不意を突いたのもあるが、そこまで防御が高くなかったとみるべきだろう。私は襲われていたプレイヤーに声をかけた。
「大丈夫かい?」
「は、はい……」
「周りを警戒しておくことだ。こういうことをする輩が少し増えるだろうからね」
「わかりました……」
私はインダラにまたがりその場を後にする。
人から奪う、それが最高率になったら少しまずいと思うが。集めた人からPKして奪い取ったほうが楽となるのはものすごい混沌を招くだろう。運営はどのような意図でこんなイベントシステムにしたんだ。
まぁ、運営の考えは読めないか。気にしているだけ無駄だな。私はとりあえずホラーコインを集めることに専念しておこう。
私はインダラの背に乗って探していると、急に地面に落とされた。
インダラの召喚時間が過ぎてしまっていたようだ。私は立ち上がり、とりあえず自分の足で歩くことにした。
周囲を警戒しつつ、妖怪たちを探す。
「隙あり!」
「アイルス」
とびかかってきたプレイヤーをアイルスで迎え撃つ。
アイルスのしっぽで薙ぎ払われ、吹き飛ばされるプレイヤー。私はそのプレイヤーから逃げるわけでもなく、アイルスに指示を出し凍らせる。
凍って動けなくなる相手。凍ったのは初めてなのか戸惑っている様子だった。
「な、なにすんだよ! やめろ!」
「先に吹っ掛けてきたのはそっちだろう? 自分はやるがやられるのは嫌だなんてそんなこと通じると思っているのかい?」
「やめ……」
「アイルス」
アイルスはその頑丈な顎で相手にかみついた。
襲ってきたプレイヤーは消え、ホラーコインが突然出現する。モンスターがドロップするような感覚で落ちているな。プレイヤーもモンスターっていう考えなんだろうか?
いや、まぁいい。とりあえず回収しておこう。




