孵化
卵はもらって1時間程度で孵化するらしい。
アニマが買った卵と一緒に卵の経過を眺める。隣に座っているアニマはワクワクしながら今か今かと卵の孵化を待ちわびており、私は期待半分、不安半分の気持ちで眺めていた。
1時間も卵を見続けているわけだが。
「そろそろじゃねえか?」
「そろそろだねぇ!」
そういった瞬間、ピシっ、と卵に亀裂が走る。
まず最初に卵が割れたのはアニマのほうだった。アニマの卵からはモモンガが出てきた。人間の顔サイズのモモンガが飛び出し、アニマに飛びつく。
「キラーモモンガだねっ! Gランク!」
安いからGランクなのだろうか……。
私のほうはというと、割れるのに時間がかかっていた。少しずつ卵に亀裂が走っていく。そして、卵が光りだしたかと思うと、目の前には巨大な恐竜が現れていた。
口から白い息を吐きだし、鼻の先には氷の角のようなものが生えている。ティラノサウルスを一回り小さくしたような魔物だった。
「え、なんだこの魔物……」
「何この魔物!?」
二人も知らない魔物らしい。
その魔物は私に近づき、私の顔をべろりと舐める。
「見た目は……マグマサウルスに似通ってるけど……」
「マグマサウルスってAランクの魔物だろ……? となるとそいつに似てるこいつもAランク相当か……?」
「マグマサウルス?」
「えと、第三エリアの火山地帯に出現する魔物で、ボスではないけどボス的な存在の魔物でいるんだよ。それと似てる……。もしかして、変異種?」
「……変異種? 存在したのか?」
「なんだいそれは」
「えっとね、私も見たことがないから確実とは言えないんだけど、ネットでささやかれていたんだよ。普段生息してない魔物、図鑑にも載っていない魔物が出現するって。図鑑には載ってないけど、見た目は図鑑に載っている魔物にそっくり。でも違う属性を扱うこともあるっていう……」
「マジか。噂程度にしかアタシも聞いたことなかったぞ……?」
要するにめっちゃレアな個体っていうことだろうか。
「うわー……。マジで実在してたんだ。驚きだよ。マグマサウルスに似通っているからマグマサウルスの変異種で、通常種は火炎属性を扱うけど見た目的にこの子は氷を扱いそうだね」
「卵からも変異種って生まれるもんなんだな……。ネットの情報、あながち間違いじゃないのが多そうだ」
二人は驚きのあまり言葉を失っていた。
私はとりあえず自分のテイムモンスターとなったマグマサウルス……もとい、見た目でアイスサウルスと勝手に呼ぶが、アイスサウルスに名前を付ける。
「お前はアイルスだな」
「ギャオォン♪」
アイルスは嬉しそうに鳴く。
テイマーブックに恐竜の足跡のマークが印字された。
「とりあえず召喚解除しておこう」
まずはアイルスのレベル上げをしないとな。
アカネが知ったら驚くだろう。アカネの反応が楽しみだ。
「……変身できるならこういうかっこいい恐竜のほうが嬉しかった」
「なっ……カーバンクルも……かわいいよ?」
「いや……私はかわいい路線は求めてないから……」
クオン「スケアリーモ〇スターズ!」
変異種はポ〇モンでいう色違いみたいなものと思ってください。能力変わるけど。




