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廃墟の町

 サイネリアとの一件も終わり、一息ついた。

 アカネはこのエリアを案内してあげると意気揚々と歩きだしている。私は歩くのが面倒になったのでカーバンクルに変身したままアカネの頭の上に乗っかっていた。


「アカネの旧友か。噂には聞いている。改めて……。ワシの名はクソジジイとでも呼んでくれたまえ」

「……あまり気乗りはしないがいいだろう」

「人の悪口を言うのはためらうタイプかな? ふふ、優しいのだな」


 クソジジイ、アカネと二つ目のエリアを練り歩く。

 始まりの街である最初のエリアは草原が広がっていたが、二つ目のエリアは荒廃した土地だった。遺跡のようなものもちらほらある。


「設定ではね、ここはもともと栄えていた国の王都だったらしいんだ」

「ふぅん?」

「はるか昔にこの大陸を支配していたユ・ロ帝国の成れの果て。あそこに見える廃墟の城はユ・ロ帝国の城だったらしいんだ。あそこにはまだ入れないんだよね」

「入れないねぇ……」


 栄枯盛衰は世の常である。

 私たちもいつかは栄光の時が終わり、衰退していくのであろう。人が支配する世の中もいつかは終わるのかもしれない。

 なんとなく、淋しさというものをこの廃墟の町から感じ取れる。


「すごいな」


 王城の前に立つ。

 門が固く閉ざされ、中に入ることができなくなっているようだった。橋は残ってはいるがボロボロであり、いまにも崩落しそうなくらい風化している。

 私は人間形態へ戻り、一人で周囲を探索してみることにした。魔物も出るから気を付けてと念を押されて。


 ここにはアカネの話曰く入れないらしい。

 だがしかし、入れないということはないはずだ。私が以前入った不思議な遺跡はたぶん通常じゃ入れない。何か条件を満たしておく必要があるはず。

 その条件のヒントが周囲にありそうなものだが……。プレイヤーは事細かく本当に探したのだろうか。


 橋から飛び降り、水の中にダイブする。

 水は透き通るようなくらい透明だった。山から流れてくる水はとても清らかで、川の底が見通せるくらい透き通り、流れも穏やかであった。


 水中を泳ぎながら探索していると、なにかうっすらと川の底に文字のようなものが見える。なんて書いてあるかはわからない。

 というのも、見たことのない文字で描かれていた。古代ギリシア文字でもなく、独自の言語みたいなものだった。これがヒントなんだろう。

 これを解読する必要がある……というわけか。となると私がすることはまず解読するために必要な資料を探すことだ。


 かつてユ・ロ帝国が栄えていた時代に記された文献……を探してみる必要があるのかもしれない。


「ぷはっ」


 酸素ゲージが尽きかけていたので一度水面へ浮上する。

 わからない言語の解読か。相当時間がかかるな。まずは資料を探す必要がありそうだ。


「さて、どう地上へ戻ろうか……」


 地上まで遠い。

 壁をよじ登っていくしかないんだろうな。ゲームだからよいものの、現実世界だったら一生脱出不可能だっただろう。

 地上へ這いあがり、今度は廃墟の中へと入っていく。


 こういうのは周りの廃墟にも何かヒントというものがありそうなものだが。

 川底の文字は『@*+¥』という文字。まずはこの文字の解読から始まるのだが……。


「うおっ」


 ふらっと入った廃墟にはたくさんの文字が壁一面に書いてあった。

 五十音表とも思ったが少し違うように感じる。数が50より明らかに多いことと、同じ文字も多く登場するということ。

 となると、この壁に書かれたものは五十音表ではまずない。これを解読したらわかるか。根気がいるな……。











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