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ぷりちークオン

 私の種族がエルフからカーバンクルへと変化していた。

 頭の宝石がカーバンクルの証らしく、取り外すことができない。ずいぶんと目立つなぁと思いつつ、ウェザーと街を練り歩く。

 これどうアカネに説明したものか。信じてもらえるのか?


「カーバンクルは回復特化の種族なんだな」

「そうらしい。攻撃スキルが一つもなかったな」


 カーバンクルは回復に特化した魔物らしい。

 状態異常回復魔法、回復魔法は使える。消費魔力によって回復する量が変わるようだった。普通の回復魔法には消費MPが決まっているらしく、回復量を調整できるカーバンクルは割と回復役ヒーラーとしては偉いようだ。

 普通の回復魔法はそれぞれ回復する数値が決まっているのに対し、こちらは回復する数値を指定できるので効率よく回復をかけることができるので便利なのはこちらだろう。

 だがしかしというべきか、回復魔法を使えるのは魔物モードのときだけだった。通常時はカーバンクルの特性である状態異常の無効化、デバフ、状態異常の反射以外にはあまり恩恵はない。

 戦う際は魔物モードでいるといいのかもしれない。


 ウェザーとカーバンクルの特徴について話して歩いている時だった。


「誰その男……」


 聞き覚えがある声が聞こえた。

 振り返ると、赤い髪をしたアカネがジト目で私を見ている。


「アカネ? ログインしていたのか」

「してたよぉ……。その男の人だれ……? か、彼氏……?」

「そんなわけないだろう。大学時代の友人だ。ゲーム内で偶然出会ったからな。一緒に遊んでいただけだ」

「そ、そっかぁ」


 ほっと一息吐くアカネ。


「あ、俺ウェザーっていいます。よろしゅうお願いします……」

「いいのいいの。ごめんね! アカネって言います。よろしくね!」

「い、いつも動画見てます……」

「そうなの? ありがとー! ごめんね、いろいろ迷惑かけちゃって」

「い、いえ! いいんや! あ、いや、いいんです! また配信するの待ってます!」


 ウェザーは緊張しているのかどぎまぎしていた。


「君は全く初対面の女子には弱いねぇ。私に対しては普通なのにねぇ」

「好みのタイプとちゃうんや! 美人系より俺はかわいい系のほうが好きなんや!」

「私はかわいくないとでも?」

「あ、ちゃうで? クオンは美人系っちゅうことや! キュートとクールは違うやろ?」

「まぁ、そういうことにしておこうか」


 ま、別に好みのタイプじゃないと言われても傷つくことはないが。


「……あれ? クオン、なにそのオデコ」

「あぁ、これかい? 私はカーバンクルになったのさ」

「???」


 アカネは首をかしげる。

 見せたほうが早いだろう。私はスキルを使用し、カーバンクルに変身した。蛍光色の緑の体毛が目立つ。


「……わぁ! かわいい! すごい! なんでこうなったの!?」

「いろいろとな。それよりもだが……。持ち上げるのはやめてもらえないかい?」

「かわいい~~~~!!!」


 アカネは私を持ち上げて抱きしめる。


「カーバンクルってすごいねぇ! 何ができるの!?」

「回復魔法をかけることができるだけさ……。いろいろと検証している最中だからあまり詳しくはわからないよ私も」

「そっかぁ。私もいろいろ手伝ってあげるねぇ」

「頬ずりをやめろ」


 人間不信気味も相まってか動物に対する愛はすごい。

 ゲーム機という精密機械を置いている都合上、ペット飼えないんだよねぇとぼやいていたな。ゲーマーという道を選んでなければたくさんのペットを飼育するんだろう。

 テレビも動物番組ばかりだしな。


「クオンかわいい~! 不思議の国でも相当可愛かったのにクオンが動物になるとこんなにもっとかわいくなっちゃうんだねぇ~」

「私に対して猫なで声はやめろ……」

「……いい」

「ウェザーも止めてくれよ。いいと言ってる場合ではないぞ」

「あ、いや、その中に俺が混じるのはいけない気がするから無理や……」


 何言ってるんだお前は。
















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