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不可思議な遺跡 ①

 杢屋と話してだいぶ機能のストレスは収まってきた感じがする。

 今現在、杢屋とフィールドを闊歩していた。


「杢屋は今何してるんだい?」

「俺か? 俺は今地質学者をしとる」

「マイナーだね」

「ええねん。昔から活断層とか好きやったから夢を仕事にした感じでええよ」


 そうか。杢屋も幸せそうで何よりだよ。

 フィールドを世間話しながら歩いていると、何やら建物のようなものが見えてきた。街……といったいでたちではなく、デカい建物がその場に一つ鎮座している。

 私の隣で杢屋……もといウェザーが「なんやアレ」とつぶやいていた。


「知らないのかい? 私より先にプレイしているのにねぇ」

「俺かて始めたんはあんたよりちょっと前ぐらいや。知らないことのほうが多いねん」


 私たちはその建物に近づいていく。

 石造りの建物。蔓が伸び、苔生している。入口のようなものもあり、だいぶ年季が入った古い建物だった。

 これはいったい何なのか。だいぶフィールドから外れた位置に存在するこの建物はマップには表示されているが名称が”???”となっている。


「入ってみようか」

「え、入るんか? これ絶対ダンジョンやろ」

「怖いのかい?」

「こ、怖かないわ!」


 私はその建物の中へと足を踏み入れる。

 二人ともその建物の中に入った時だった。ガガガガと地鳴りが起きたかと思うと、突然建物の入り口がふさがっていく。

 入った瞬間こういうこと起きるのか。


「やっぱ入っちゃまずいものやったんやないか!? 出られへんくなってんけど!」

「かもしれないねぇ。だが、こうなってしまった以上私たちがやるべきことは先へと進むのみだろう」

「あ、相変わらず物怖じせんなぁアンタ……」


 私は先へと進んでいく。

 ゲームだからというべきか、日光が入っておらず明かりのようなものも見えないのに道が見えるぐらいにはだいぶ明るい。

 まぁそれはいいのだが。


「これはなんだ? 壁画……だろうか」

「ほーん……。なんちゅうか、儀式みたいな絵やなぁ。こういう儀式がここで行われてたんとちゃう?」

「かもしれないねぇ。だとしても、何の意味を模しているのかはさっぱりだ」


 壁には謎の壁画が描かれている。興味はあるが、それ以上に興味をそそられるのはこの先のことだ。

 だいぶ不思議なことが今起きている。


「変だ」

「何がや?」

「魔物の姿を一体も見ていない」

「言われてみれば」


 外には魔物がはびこっていてよく遭遇するのだが、ここでは一切目に入っていない。

 外にいたとき、ウェザーはダンジョンになってるとかそういうことを言っていた。私もダンジョンというのは以前にアカネから耳にしていたので、どういうものかは理解している。

 だからいつ魔物と遭遇してもいいように構えていたのだが、魔物の気配がそもそもなかった。


 ダンジョンじゃないのだろうか。

 だとしたら、ここは何のために存在しているんだろうか。


「トラップダンジョンかと思うけど……。今のところトラップみたいなものもあらへんしな」

「異質」


 そう、きわめて異質。

 トラップもなければ魔物もいない。ただただ、変な建物……もとい遺跡の跡を練り歩いているだけ。何も起きないというだけで逆に不気味ではあった。

 ここはいったい、なんなんだ?


 どうやったら、ここから出れるんだ?











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