ボス討伐にいこう!
部屋の中にコーヒーのバリスタの音が響き渡る。
私の前に猫のマグカップが出され、砂糖が目の前に置かれた。
「あ、いらなかったっけ」
「いらないよ。それよりも……今日は配信するのかい?」
「うーん……。どうしよっかなぁ~。帰ってきてまだ直後だからゆっくりしていたい気持ちもあるしぃ~。一度休むと休み癖ついちゃうんだよねぇ~」
と、ぐでーっとテーブルに突っ伏した。
私は苦いブラックコーヒーを飲みながら、SNSとかを確認する。アカネで検索してみると、茜のことをつぶやいている人のほうが多い。
私はあまり実感がなかったが茜は人気なんだなぁと思いながらスライドしていくと。
「…………」
あまりよろしくない投稿も見かけた。
アンチというものでもなさそうだが、なんかわからないが妙に拒絶するような感じのアカウントだった。アカネの良さを熱心につぶやいているが、なんだか碌な奴じゃないという感じがする。
表面上の判断でしかないが、女の勘はよく当たると言われている。関わり合いになりたくないため私はそっとミュートしておいた。
「いよしっ! やるっ! やる気でない時こそ配信してやる気を高める!」
「そうかい。じゃあ、そういう予定ということにしておこうか」
「思い立ったが吉日! 今やるよ!」
「急だな。少し待ちたまえよ」
急いで部屋に向かうアカネ。
私はコーヒーを飲み干し、重たい腰を持ち上げる。私も自分の部屋に戻り、アナオンの世界へとダイブするのだった。
景色が移り変わり、私はアカネと合流すべくアカネの最終ログアウト地点へと向かう。
「あ、クオンーーーーっ!」
「待たせたねぇ。今日はボス攻略かい?」
「そう! メインだよ! まぁ? 今のクオンになら余裕だよ!」
アカネがそういうのでたぶん大丈夫なんだろう。
私たちは早速ボスがいる次の町へと続く道へと歩みを進める。
アカネはボスの正体を教えてくれない。
ネタバレになるからといって、そういうのは基本教えてくれないんだ。私は別にネタバレがあっても楽しめるので構わないのだが……。
私たちが歩いていると「そろそろ来るよ」とアカネが笑う。
その時だった。
頭上から何かが落ちてくる。私はとっさに避けると、そこに立っていたには豚の顔を持った二足歩行の人間みたいなもの。
オーク……とでもいったところだろうか。
「グギャギャギャ。ココハトオサンゾォ!」
「最初のボス、メタボリックオークだよ」
「メタボオークねぇ……」
いかにも不健康そうな名前ではないか。
私はインダラを召喚する。バチィと雷が落ち、インダラが目の前に現れたのだった。
「じゃ、インダラ。手早く済ましてしまおう」
「ガウッ!」




