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チーム仏恥義理

 アスリタの所属するチーム、仏恥義理(ぶっちぎり)というらしい。一昔前の暴走族か?

 そのアジトは廃墟風の見た目だった。アスリタは中へと足を踏み入れる。


「ちーっす、リーダーいるかー?」

「なんだァ? アスリタてめえ。何のようだコラ」

「ちょっと聞きてーことがあってよ〜。話聞いてくれよ」

「いいだろう……。そっちは?」

「私のツレだ」

「ふん、そうか。じゃあそいつ関連だな? 来い」


 リーダーと呼ばれた女性は奥の部屋へと消えていく。


「ヤンキーのロールプレイングっす。役になりきってるだけなんで気にせんでください」

「わかったよ。リーダーはゲームが得意なのかい?」

「いや、そこそこっす。ただ色々ゲームの攻略とか漁ってて詳しいんすよ」

「フゥン……」


 まぁ、知恵を借りられるなら何でもいいが。

 私たちはリーダーが入っていった部屋に入っていく。ソファが用意されており、ソファに腰をかけた。

 リーダーの背後には仏恥義理とデカデカと掲げられた旗が飾ってある。


「んで、何を聞きてえ」

「私は初心者でね。いい金策はないものかと思案しているんだ」

「金策……か。そうだな……。初心者(ビギナー)なら始まりの街にある裏路地にたまに開催されている闇市……。そこにいつもレアドロップの確率を上げるブレスレットが売ってる。それを買ってモンスターを狩りレアドロップを売りまくるのが一番効率がいいとされている」

「ほほう。そういうのがあるのか」


 裏路地で開催されてる闇市ね……。良くないものも販売していそうだ。


「感謝するよ。早速購入したいがいつ闇市がやってるかわかるかい?」

「不定期だから予測は出来ねえ……。私らも毎日見てみてはいるが、法則性がねェ。月曜の夜だったり水曜の昼だったりする。毎日通ってみるといい」

「了解だ」


 不定期か……。毎日足を運んで確認する作業はあまり気が進まないな。


「感謝するよ」


 私は立ち上がり早速向かおうとすると「待て」と引き留められた。


「なんだい? 聞きたい事は済んだ。君には引き留める用事もないだろう。……あぁ、情報料か? いくらだい?」

「いらねぇよ。そんなに急がなくてもゆっくりしていけ。世間話でもしようぜ」

「世間話ねェ……。まぁ、急ぐ必要もないし構わないよ」


 私は再びソファに座り直した。


「お互い自己紹介がまだだよな」

「そういえばそうだね。私はリーダーとしか知らない」

「アタシはドンナ・アンナ。まぁドンナとでも呼んでくれ」

「ドンナ・アンナ……。ドン・ジョヴァンニか」

「知ってるのか!?」

「モーツァルトのオペラだろう。オペラ鑑賞はした事ないが知識としては知っている」


 オペラが好きなのか?


「いや、アタシも最近っつーかつい一年前から観始めた新参者だけどよ……。なんつーか、ちょっと面白く思ってな。最初に友達と見たドン・ジョヴァンニの登場人物から取ったんだ」


 名付けとしてあるあるではあるな。

 物語などから名前を拝借するパターン。困った時や憧れから名付けられる。

 ドンナもそういう感じだろう。


「話が合いそうな気がするぜ! お前の名前も教えてくれよ!」

「クオンだ」

「クオン! フレンドになろう!」


 ドンナからフレンド申請が届いたので認証しておいた。


「リーダーって割とフレンド登録することないのにすぐした……」

「なぁ、オススメのオペラとかあるか!?」

「そうだねぇ……。私個人の感性だし有名ではあるがトゥーランドットは好みだよ」

「いいよな!」


 あまりオペラは見た事ないがね。

 大学時代、オペラが好きな友人に数本見せられただけだが。

 トゥーランドットに感化されて友人は私のことを「愛」と呼んでいた。気色悪いからすぐに辞めさせたが。


「君は他に好きなものとかあるかい?」

「そうだな……。私だけじゃないが、仏恥義理のメンバーは基本アカネのファンで構成されてっから……。あぁ、アカネって分かるか? プロゲーマーの動画投稿者なんだがよ……」

「あぁ、知っているとも」


 よく知っている。


「最近リアルの仕事が忙しすぎて見れてねーけど、でも好きなんだ! アカネの可愛さもさることながらよ……。見た目とは裏腹にゲームが超うめえ!」

「あれは天性のものだろうねぇ」

「だよな! お前もリスナーか!?」


 リスナーみたいなものだろう。

 アスリタはリーダーに近づき耳打ちした。そして、顔を青ざめさせている。


「アカネの友人で一緒に配信してるクオン……!? ば、ばかやろ……なんでそれを早く……」

「だって言う間もなく話早に進んでくんすもん……」

「アカネさんに一番近いお方じゃねえか……! く、クオン、さん」

「別にさん付けはいらないよ。クオンと呼んでも……」

「いえっ! そういうわけには!」


 意外と面倒臭そうだぞドンナ。


「最近加入したばかりさ。新参者だがよろしく頼むよ」

「い、いえこちらこそアカネさんとの交流を楽しく見させていただきます……」

「リーダー、役取れてる取れてる」

「うるせえ!」


 それにしても……。あまり実感はなかったがアカネの人気は割と凄いんだな。

 容姿と……ゲームの腕前が惹きつけるんだろうか。











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