元の世界へ帰ろう
私は全力で駆けていた。
「待ってよクオンちゃーん! お待ちになってぇ~~」
「もう十分堪能しただろう! あまり撫でまわさないでくれたまえよ!」
怪獣を倒した後に、サツキさんが私を撫で繰り回してきた。
私が死なずに戦えたのはサツキさんの援護ありきだとは理解しているし、感謝のしるしとして多少撫でられることは許容したのだが……。
なんというか、手つきがとても厭らしい。身の危険を感じるくらいには手つきが危なっかしかった。
感謝こそしているが、もう撫でられたくないという一心で全力で人間形態で逃げ回っている。
「クオン、諦めたら?」
「断る。私はそこまで撫でられるのが好きではない。なぜ私の周りにはこうも変態ばかり集まるんだ……」
「同族嫌悪かしら?」
「同族ではないっ……!」
私はこけてしまう。
そして、捕まってしまい、私は膝の上にちょこんと座らされる。
「……ジュエリーカーバンクル形態になってもいいのよ?」
「断る……。もう十分撫でさせてやっただろう……」
「でもこの状況、子供みたいで尊厳破壊になるわよね」
「まだそちらのほうがいい……」
「強情ねぇ。あ」
私たちの目の前には元の世界に戻りますかというウインドウが表示されていた。
ジャバウォックの時と同じ、この世界に残るかどうか選べるようだ。まぁ、この世界に私たちは残る理由はほとんどないが……。
「んもう。クオンちゃんったら強情で時間が来ちゃったわ。またね、今度は、楽しく遊びましょ」
そういって、消えていくサツキさん。
その去り際の言葉は少し怖かったのは秘密にしておこう。
「それで、アカネはどうするんだい? まだこの世界にいるのなら戻らないでおくが」
「うーーーーーん……。この世界観光してみたいけど……」
「けど?」
「東京がもう更地になっちゃってるしなぁ」
「仕方ないだろう。あんな巨大怪獣の進軍で更地にならないほうが変だ」
「だよねー。現代日本なら現実でめぐりゃいいし、私たちもあっちの世界に帰ろっか」
「さんせー。てかうちもー疲れて無理ぴ……。うちログアウトするしぃ……」
「お疲れ、モカちー」
私たちも戻るを選択すると、私たちがいた元の島に戻ってきているようだった。
周りには透き通るような海。もともとアルラウネがいたこの島は、島を牛耳っていたアルラウネがいなくなりモンスターの姿も見えなくなった。
ロゼッタ以外のモンスターがいなかったこの島を私たちのこの島での拠点としていた。
「んじゃ、うちログアウトしまっす! ばいちゃ!」
「ばいちゃ!」
コメントがばいばいというコメントであふれていた。
そういえば配信していたな。すっかり頭から抜けていた。
「さてと。そろそろいい時間だし私たちもいったん終了しまーす! みんな、お疲れぃ!」
”乙”
”楽しかった”
”乙!!”
配信が切られ、コメントがなくなる。
そして、アカネは溜息をついた。
「つ、疲れた……」
「お疲れ。よく頑張ったね」
「クオン~~……」
アカネの頭を撫でてあげた。
久しぶりに描きました。モチベがちょっと上がってきたので。
久しぶりすぎてちょっと忘れてる面もあるかもしれません。




