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ハートの女王とハートのキング

 ハートの女王に招き入れられ、私たちはハートの城へと入っていく。

 中の装飾はトランプを意識しているのか、ハート以外にもダイヤやスペード、クローバーのマークがあしらわれている。


 広々とした玉座の間に招かれ、片方にはハートの王冠を被った王様が、片方には先ほどのハートの女王が玉座に座る。


「さてと、貴殿らよ」

「はい」

「端的に聞こう。貴殿らは異世界からやって来たな?」


 ハートの女王が肘をかけながら尋ねて来た。


「はい。その通りです」

「ふむ……。我らの国の金色ウサギが貴殿らの世界に迷い込んだ影響故だろうな。貴殿らは金色ウサギを従えてしまったから迷い込んでしまったのだ。貴殿らとこの世界の因果が絡みつき、呼び寄せたとでも言おうか」

「不思議なこともあるもんじゃのぉ」

「昔もあっただろう。アリスとかいう少女がこちらの世界に来たことが」

「あったあった。お前は荒れていたのう」


 やはり不思議の国のアリスか。

 ただ、アリスという少女は随分前に迷い込んだらしい。


「どうやったら帰れますか!?」

「帰る方法は一つ。この世界に存在する因果を操作する化け物……チェシャ猫を倒すことだ」

「チェシャ猫……」

「彼奴には我らも困っていてな。我らとしても倒してもらうと助かるのだ」


 話によるとチェシャ猫はこちらの世界でイタズラばかりしている悪猫らしい。

 トランプ兵たちにもイタズラをされて辟易しているのだとか。


「だがしかしチェシャ猫を倒すには……」

「わかっている王よ。貴殿らには特別な力を授けねばな」

「特別な力?」

「チェシャ猫はその特別な力がないとまず攻撃を当てられん」


 ハートの女王は指を鳴らすと、トランプ兵がゾロゾロとやってきたのだった。


「まずは貴殿らの力を見せてみよ。我らがトランプ兵を倒してみせよ。話はそれからだ」

「やっぱバトるのね! やってやりましょうか!」

「…………」


 まずは力量を見せる必要があるようだ。

 私はインダラを召喚する。インダラはバチィ!と稲妻を迸らせ現れる。

 今のこの姿で見るととてつもなくでかい。


「インダラ、好き放題暴れるといい」

「ガウッ!」


 そう指示を出すとインダラは稲妻のように駆けていく。

 そして、遠吠えをすると、周囲一体に雷の雨が降り注いだ。トランプ兵は感電し倒れていく。


「インダラに負けてられないな! 嵐を纏え我が剣よ! "嵐穿"!」


 アカネが鋭い突きを放った瞬間、嵐がトランプ兵を吹き飛ばした。

 インダラが暴れ、残ったトランプ兵をアカネが倒していく。ものの数分でトランプ兵を掃討したのだった。


「インダラ、戻れ」

「ガウ」


 インダラは戻っていく。


「見事だ。あれだけの数を短時間で制圧するとはな。いいだろう。力量も充分だ。ではこの四つの中から選ぶとよいぞ」


 そういってハートの女王は四つの本を取り出してきたのだった。

 本にはスペード、クローバー、ハート、ダイヤのマークが描いてある。

 

「これスキル……だよね? どれがいいのかなあ」

「どれでもいいだろう。スキルの詳細は分からんのだから適当に運任せで選ぶといい。私は……」


 私はスペードの本を手に取った。

 本を開くと、脳内にアナウンスが響き渡る。


《スキル:斬雨を取得しました》

《スペードの力を取得しました》


 というものだった。

 斬雨の効果を見ると私を中央として周囲に斬撃の雨を降り注ぐと書いてある。

 なるほど。いいんじゃないだろうか。


「私はこれだ!」


 手に取ったのはハートの本だった。


「お、回復系スキル! 助かる〜」

 

 ハートはどうやら回復系のスキルらしい。

 私たちに力が行き渡ると、ハートの女王が本を回収する。


「ではチェシャ猫の討伐をよろしく頼む」

「任せてください! で、チェシャ猫はどこにいるんですか?」

「それなのだがな……」

「我らも場所はわからん。探すのを含めてお願いしたい」

「えー……」

「なにせあいつは場所を転々とするのだ。一定の場所に留まることがない」


 なるほど。場所を把握してもすぐに移動されるってわけか。

 ……エンカウント大変だろそれは。なにかしら確実にエンカウント出来る方法がありそうなものだが。


「情報は我らより城下町の帽子屋の方が知っているだろう。そいつに聞くといい」

「帽子屋?」

「一応地図を渡しておこう。ここに帽子屋があるのだ」


 帽子屋の位置を確認した。

 ここより少し離れた場所に街があり、その街の中に帽子屋がいるという。

 帽子屋……か。狂ってるんだろうな。









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