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僕は無事にお見合いを終わらせました

母親から言われたお見合いに稔は挑みます。

「母さん! いきなり見合いって聞いてないよ!」


「でも、見合いだなんて言ったら、稔は帰って来てくれないでしょう?」


 コロコロ笑う母さんはいつもこんな感じなんだ。忘れてたよ。でも、両親には心配かけたくない。一度死のうとしたなんて言えないよ。


「カッコよくなったから聞きたいんだけど、もしかして彼女できたの? そしたらお母さん、悪いことしたかな?」


 うー。それも言いづらい。振られて生まれ変わりを目指したなんて言えない……

 

「彼女はいないよ……見た目が少し変わったのは色々と思うところがあったからだよ。とりあえず、明日は会うよ。それでいいだろ!」


「よかったわー。家族で撮った年始の写真でお見合い写真作ったんよ。そしたら先方も会ってくれるってー。」


 え? ダイエット前の僕の家族写真で見合い写真作ったの?てか、母さん適当すぎるよ!


「あなたは心優しいから、いい人がくるといいと思ったんよー。相手の人の写真あるけど見る?」


 僕は母さんから渡された写真を見ると、そこには美しい女性の姿が写ってる。なにこれ? こんな綺麗な人が僕とお見合い? なんか間違って言ってきたのかな?



 見合い当日、僕は静江さんの前に座っている。彼女の名前は藤堂静江といい、今回のお見合いの相手となる。

 正直いって写真以上に美人さんです。僕がこんな綺麗な人と話をするなんて!


「まあ、お写真よりずっと、素敵な方なんですね。お写真より良いことはないと叔母から言われていたので、ビックリしました。」


 静江さんの第一声はこれである。不摂生してたからなぁ。でも、僕にとっては、正直で好感が持てる言葉だよ。

 だから不誠実にならないように話さなきゃ。


「写真は失礼いたしました。不摂生が祟っていた時のものですから……あと、仕事も転職してしまっているので、身上書の内容もかわってます。また、僕は此処に住んでおりませんし、Uターンするつもりもないので、そのことを期待されているなら貴女を裏切ることになります」


 静江さんは、ゆっくり微笑んで話し出す。


「そんなこと気にしないでください。その……私も見た目が昔と違ってます。その……太っていました。整形はしていませんが、痩せました。でも、その後、急に周りの人達の態度が変わって、なんとなく人間不信気味になったんです。だから、一生ついていく方なら心優しい人がいいなって思って、お見合いで優しい人がいないか叔母に聞いたんです」


 彼女は僕と同じで努力したんだ。そう思うと凄い親近感が湧いてくるよ。


「僕が写真を撮った時は不摂生で太っていました。ある人から清潔でないといけないって言われたので痩せました。でも今は、そういう努力が大変なものだと僕はわかりました」


 あ、静江さん、笑ってくれた。なんかいい人だなぁ。


「Uターンの事を気にされていましたが上申書の通り私も都内に住んでるんですよ。ご縁をいただけるなら、向こうで一緒に遊べるかもしれないですね!」 


 ほんのりと頬を赤くしてる静江さんは美人の上に可愛いなぁ。こういうのを癒やしって言うんだろうなぁ。いいなぁ。また会いたいなぁ。



 次の日、僕が帰ろうとしてると由美ちゃんが訪ねてきた。そうだった、由美ちゃんと約束したっけ? 


「僕は今日戻るから、一緒にお昼ご飯食べるって感じでいいかな?」


「うん! 私は夜の電車のチケット取っちゃったから一緒に帰れないけど、それで許す!」


 ん? 一緒ってどういう事? てか、なんか由美ちゃん嬉しそうだな。由美ちゃんにとってオジさんの僕といて楽しいなかな?


「一緒ってどういう事?」


「お兄ちゃんは、私の話を聞いてなかったんだね! プンプンだよ! 私はお兄ちゃんの会社の近くの大学に通ってるの!」


 会社の側に大学? あ……前の会社かな? 母さんが教えたのかな? でも、近くに女子大あったっけ?


「そうなんだ。でも、僕は転勤したから近くの大学じゃなくなったかな」


 ん? 由美ちゃんの様子が変だな? だから最近……とかブツブツ言ってる。どうしたのかな?


「今はどこに勤めてるの? お兄ちゃん」


 あれ? いきなり笑顔だ? まあ、いいか。教えても問題ないし。


「プログラムスタイルって会社だよ。ベンチャーだから知らないでしょう?」


「え? プログラムスタイル!」


 また、由美ちゃんブツブツ言い出したよ。あそこはレベル高すぎるとか言ってるけど、知ってるのかな?


「もしかして、知ってるのかな? あ、就職活動かな? よく調べてるね」


「あっ、うん。就職活動で聞いたことがあって、ベンチャー企業もチェックしてるから……」 


 あれ?なんか由美ちゃん落ち込んでるな……と思ったらいきなり元気になったよ。


「私も都内に住んでるからお兄ちゃんと、偶然に会うかもしれないね! それだとお兄ちゃん大変だから、由美とメッセージ交換しとこうよ!」


 由美ちゃんが友達と会ってる時に僕が突然話しかけたら、たしかに由美ちゃんが困るよねうん、良いアイデアだよ。あと、電話番号も交換されたけど、何故か由美ちゃんは大喜びだったなぁ。こんなおじさんと連絡先交換して何が嬉しかったんだろ?



上申書の存在を最初忘れていました。でも、なんとか矛盾はなくなったのではないでしょうか?

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