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16話

『たすくん緊急事態だよ!ヒロくんが年上美人と一緒に街でご飯一緒だって!』


『何それ。部活終わったから様子を見に行ってみる?』


『はりー!四十秒で支度して!』


『まだ学校に居るから無理だよ。それに邪魔をしない範囲でだからね』


 ★★★★★★


 今現在11時55分。大型ショッピングモール。

 休日だけあって昼前のこの時間から今入っている飲食店には既に満席状態。他にジャンクフード屋の持ち運びが出来る店等もあったのだが、高垣はここでナポリタンを食べたいという事で幸いなことに満席になる前に入ることが出来た。


 既に俺は食べ終え、今は高垣が食べきるのを待っていた。携帯を弄る気にもなれないので、視線だけこっそり周囲を見渡す。何人かの男女がこちらをちらりと見ていたりしている。

 視線を正面に戻すと、高垣はスプーンを受けにしてフォークでパスタを綺麗に巻いている。俺はフォーク一本でパスタを食べたが、高垣程に綺麗に巻けはしなかった。


「あんまり見ないでくれる?」


「おっとすまん」


 丸めたパスタを口に運ぶ最中に目があった。女子は確か食べる瞬間とか見られるのを嫌うって雑誌に載ってたな。特に口を大きく開けている時なんか特に。


 取り敢えず他の人と目が合うのも気まずい為、腕を組んで目を閉じておこう。


「食べ終わったら教えてくれ」


「ん」


 さて、この後はゲーセンに行く事になっているが、どうなるんだろうか?


 ☆☆☆☆☆☆


 お会計は昼前から引き続きお礼として俺持ち。これからの事も考慮すると今月の財布は素寒貧だな。何処かでバイトでも探してみようかな。学校が許可を出せばの話であるが。


 店を出た俺達は、数階上にあるゲームセンターへ行くためにエスカレーターで移動している。その最中に横を見てみればレディースの服を扱った店が横にずらりと並んでいる。

 そういえば、せっかくここまで来たのだ。高垣は服とか見に行かないのだろうか。


「高垣、服とか見に行かなくていいのか?」


「もう既にある程度は揃えたから今はいいわ」


「そっすか」


 今の私服以外にどんなファッションセンスを持っているのだろうか。非常に気になるが今は高垣が言っていたゲームセンターで遊ぶことに興味を向ける。


 目的の階に着き、数分歩く。次第にゲームセンター特有のカラフルな点滅と音楽ゲームの音が聴こえてくる。最近行ってなかったからどの様な機材があるのかワクワクしてきた。


「高垣は何のゲームすんの?」


「シューティングゲーム」


「って言うとゾンビとか恐竜とかの?」


「そうよ」


 銃を構える高垣を想像してみる。

 暗闇に潜み、鋭い目でスコープを覗き込み一撃確殺で獲物を狙う凄腕女スナイパーの高垣。


「めっちゃ似合ってんじゃん」


「あんた何想像したの」


「凄腕女スナイパー」


「何それ」


 何かツボにでも入ったのかフフッと小さく笑う高垣。こうして見れば手を口元に添えて笑う高垣は絵になるな。というよりこの光景は中々レア物じゃないのか。誰かに自慢してみたいが、ぽろっと口が漏れた後にスナイパーの如く確殺される所まで想像が付いた。止めておこう。


「んじゃ、空いてたらその筺体に入ろっか」


「そっちは何かしたいことある?」


「ん〜クレーンゲーム?」


「ぬいぐるみとかフィギュア?」


「何を取るかはその時の気分次第かな」


 そんな会話をしながらシューティングの筺体の近くに行くと、垂れ幕にはゾンビがびっしり載っており、生存率1%と謳い文句が強調されている。


「やってやろうじゃない」


 横の高垣を見ると、何やら燃えていた。風景がメラメラと揺れて視えるのは幻覚だろう。

 ちょっと茶化してみようか。


「ふっ俺のプレイスキルを見て惚れるなよ」


「自惚れないで」


「すんません高垣さん」


 俺の茶化しに反応して此方を見る高垣。炎が、瞳の奥に炎を宿していらっしゃる。

 一体どれ程こういったゲームが好きなのだろうか。もしや家では俗に言うFPS女子というやつだろうか。

 今日だけで高垣の印象がごっそり変わってしまった。これからの高校生活で、前みたいに高垣に接する事が出来るだろうか。違いに吹いてしまいそになるかも。


「んじゃ、入りましょ」


「へへへ。着いていきますぜ姐さん」


「キモいわ」


 ☆☆☆☆☆☆


「呆気なかったわね」


 無事?最終ステージをクリアした俺達は筺体の外へ移動していた。中での高垣はやはり想像通りの姿だった。俺の目に曇りはなかった。


 幾度となく立ち塞がるゾンビや画面端から飛び出て脅かしに来たゾンビ、形状しがたい何かしらのボス。それらを全てを高垣は怯えることなく撃退していた。俺は隣でちまちま銃を打ってサポートしていただけに終わった。


「高垣」


「何よ」


 取り敢えず、これまでの行動を鑑みてこれは言っておかないとと思った。


「お前、面白いな」


「う、うるさいわよ。私だって気分が上がるときだってあるわよ」


 頬を少し赤くしてそっぽを向いた高垣。俺に言われて自分の行動を振り返って見たのだろう。その姿を見て俺は口角が上がるのを感じた。


「ウケる」


「っ!」


 キッと此方を睨む高垣。

 だが残念だったな、今のお前に凄まれても俺には効かない。お前の弱みを掴んだからなぁ!


「今日はテンション高いですね〜高垣さん」


「はっ倒すわよ」


「急に真顔になるじゃん」


 俺にいじられていると気付いたのかスンと真顔になる高垣。しかし今の俺は無敵なのだ。がはは、勝ったな。

 というか、今の俺達がやったこと、あの二人にも出来ないものだろうか。肩と肩が触れ合う状況。ゾンビに慌てる朱音に、そんな朱音を静かに宥めながら撃退する佑。


 想像してみると、結構使える。まさか、高垣はこういったシチュエーションもあると遠回しに教えてくれていたんではないだろうか。

 流石だ高垣。直接教えてくれなかったのは今後の俺が構築しなければいけないからなのか、自ら身体を張って俺に伝えてくれるとは。尊敬しか沸かないぜ。


「ありがとう高垣」


「は?何よ急に?」


「見つけた!」


「「ん?」」


 ふと、聞き覚えのある声が聞こえた。高垣も片眉を上げ心当たりの在るような顔をしていた。目を合わせ、二人して声の主へ顔を向けた。


「き、奇遇だね~ヒロくん……と、えっと、あれ?もしかして」


「ん、やっほーヒロと高垣さん」


「え、詩織ちゃん!?嘘、綺麗〜!」


 声を掛けてきたのはまさかの私服姿の我が親友達。

 おや、もしかして二人はデートしてたのかな?いいぞ、もっとやれ!!

※思い付きと勢いで書いているため、今後話の内容、矛盾点等を少し訂正する場合もありますが、流れは変えないようにします。申し訳ありません。


ブックマーク、評価、いいね、感想、誤字報告ありがとうございます。

モチベーションがどんどん上がりますね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 海外ではパスタを食べるときにスプーンを使うのは幼児だけと聞いたことがあります
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