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13話

 その日の晩、自室のベッドの上で横になって漫画を読んでいた俺の携帯に、メッセージの着信が鳴る。

 誰だろうか、と画面を見るとそこには可愛らしい犬のアイコンと高垣の名前。そして―――


『今日のは何のマネ?』


 その文を読み今日の高垣の、此方を射殺さんばかりの鋭い目を思い出した。

 怖い。めっちゃ怖い。返事するのが怖すぎて手が震える。だが出なければ週明けの登校日、俺は血の海に沈んでいるかもしれない。

 南無三!と念仏を唱え返信を送る。


『報告が遅れて大変申し訳ありません。周りに憧れられる作戦というものを考えてまして―――』


 ☆☆☆☆☆☆


『あんた馬鹿?』


 今日の行動、動機を適当に纏め送った長文の返事がこれだった。この言葉だけで画面の向こうで呆れているであろう高垣を想像出来る。

 だが高垣の言うとおり、あれは失敗だ。


『高垣の言うとおりだよ。あれは失敗だった。反省もしてるし後悔もしてる』


 ぽんっと『ホントに呆れるわ』と書かれた言葉と可愛いらしい女の子の、何らかのアニメキャラクターのスタンプが送られてきた。高垣はもしかしてアニメ好き?


 非常に聞いてみたくなるが、今はそれは置いておこう。

 今日の作戦、二人は勉強も出来る作戦だが、本当の狙いは佑と朱音が周りに改めてお似合いなカップルの様だと改めて認識させる事が狙いだった。基本一緒に居ることが多く、今回成績の良かった二人、そしてその姿を見たクラスメイト達。俺達若者が持つ恋愛フィルター越しに導き出される答えは、想定通り女子の一人が俺の考えと同じく声に出していたものと一緒。周りもうんうんと頷いていたのが証拠。


 そう、周りの認識は俺の作戦と一致していた。そうしてわいわいと恋愛トークなるものを話していくものだろうと思っていた。

 だが、俺は自分の事は度外視していた。優しい二人の事だ、よくよく考えれば俺が関わっていたと伝えてくる事を予想するのは容易だった筈。周りには朱音を取ろうと、二人の影に潜む不安の種に見えていたことだろう。

 そうではなく、俺は二人の為に動いているのだと見てもらいたいものだが。これもどこかで挽回せねばならない。

 二人の事になると周りが見えなくなる。高垣にも言った通り俺の悪癖だ。


 はぁ、と溜息を付いたとき、高垣からメッセージが届いた。


『何、既読無視?いい度胸してるね』


 まずい。トーク画面を開きっ放しにしてしまっていた。今度は青筋を立て机に指をトントン、と打つ高垣を想像してしまう。


『考え事していた。すまんな許せ』


『ん。許す』


 あらやだ、優しいね高垣さん。何か言ってくるかと身構えてたけど、これ飴と鞭の一環だったりしませんよね?


『それで、ちょっと今後の事で聞きたい事があるんすけど』


『電話でいい?文字打つの面倒くさい』


 確かに、このままメッセージで相談すればその都度文字を打つ事になるし目と指も疲れる。俺の考えが足りなかったな。


「……もしもし」


「あーもしもし?今大丈夫だったか?」


「大丈夫よ、明日は休みだし」


 今現在21時。そういえば今時の女子高生は夜更しはどの位するものなんだろうか。

 本題に入る前に場を和ごまそうと聞くことにした。


「今21時だけどまだ寝なくていいのか?夜更しは美容の天敵って聞くけど」


「それを聞いてあんたはどうするの?」


「え?いや、何もしないけど!?聞いただけじゃん!」


 ちょっと喧嘩腰過ぎませんかね。あ、もしかしてプライベートな事は聞かれたくない感じだろうか。

 まぁ和んだ?と思って本題に切りだそう。


「あ〜それで、相談何だけど」


「どうせ来月の体育祭での事でしょ?」


Exactly(その通り)


 流石だ高垣。俺の思考を読めるとは。やはり協力者になって貰って良かった。


「ちょっと話長くなるかもだけど良いか?」


「えぇ良い……わ、ちょっと待ちなさい」


「え、はい」


「すぐ戻るわ」


 高垣がそう言ったきり、スマホ越しに何かを置く音とドタドタと慌てた様な足音が聞こえる。何があったんだろうか。

 切らずにすぐ戻るという事だったのでスマホを耳に当てながら、さっきまで読んでいた漫画の続きを読み始め……ようとして、スマホから何か声の様な音を拾った。


 高垣の母親?であろうか、『誰と電話してるの〜』やら『彼氏〜』と少し途切れながら声が聞こえる。それに対して高垣は普段聞かない様な声で『ママ違うから!』やら『ただの馬鹿な友達だから!』とこっちははっきりと聞こえた。いや高垣さんや、誤魔化すにしてもそんな慌てるとむしろ怪しいし、なんか俺に対して酷すぎません?もしその母親にあった時、俺はこの子が例の馬鹿な子なのね、とか思われないといけませんよ?というか、高垣は母親の事ママって呼んでるんですねぇ。


 普段の高垣とはかけ離れた声を聞いていたら何故だか聞いているこっちが緊張してきたと同時に面白いと思っている俺がいる。

 あれ、こんな事をしている俺は変態なのか?


 最後に『あらあら〜』、とおっとりとした声を最後に、今度はまたもやドタドタと大きい足音が聞こえ始めた。平常心を保てよ俺!


「……ねぇ、何か聞こえてた?」


「いや、何かあったの?」


 ここでヘマをやらかす男では無い。既に心構えはしていたから心拍数100を保てているぐらいだ。(ドキドキ)


「ちょっとお母さんがさ……」


「あ〜ママさんがどうかしたか?」


「……」


「あれ?」


 無言の高垣に通話を切られた。またママさんが覗いたりとかしていたんだろうか。画面を見ていると高垣から店の名前が入ったマップの画像が送られてきた。


『明日、此処に10時集合。今日の事の反省と今後の事を聞かせなさい』


『りょ』


 俺の返事に既読が付き、それ以上は返信が来なかった。きっと高垣は寝始めたのだろう。

 さて、明日は用事が出来たことだし俺も寝よう。

※思い付きと勢いで書いているため、今後話の内容、矛盾点等を少し訂正する場合もありますが、流れは変えないようにします。申し訳ありません。


ブックマーク、評価、いいね、感想、誤字報告ありがとうございます。

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