10話
(追記)現実世界[恋愛]日間ランキング一位になっていました。皆様のお陰です。手が震えて今日も六時間しか寢れません。
今までに居なかった、女子である高垣の協力を得られるようになった。とても心強い味方になってはくれたが、その立場に胡座をかく事はしない。意見を貰い、俺がそれを組み込んで実践していかなければならないのだ。頼り過ぎて毒舌が飛んでくるのが怖いとかではない。
それはさて置き、今は一学期。もう少しで始まるのは高校生になって初めての中間テスト。下手な順位を取ってしまえば次の期末テストまでお馬鹿キャラが定着(偏見)してしまう。
そして、そんな不安を寄せているであろう親友達の行動など容易に読み取れる。
「テスト勉強手伝って。テニスに夢中で復習が疎かになってた」
「私にも教えてくださいな!」
「よかろう。けど佑よ、このノート退けてくれ」
放課後になった今、今日は部活が休みになっている佑が席に座る俺に近付き筆箱片手にノートをずいっと俺の顔面に近付けてきた。いつの間にか近くに朱音も居るらしいが眼前には薄青色の表紙と視界のぎりぎり端に映る桜色の結んだ髪が一房のみ。ぶんぶん揺れているがどの様にお願いしてきているのかは見えない。
「あんた達何してんの?」
「浅見と……春辺さんはホントに何してんの?」
右から高垣と蔵元の疑問の声が。佑の方はどうせ無表情でノートを寄せているのは想像できる。天然入ってるし。反対に朱音の方は気になる。一体何をしたらそんなに髪が揺れているのか。
「ヒロに勉強教えてもらおうかと思って」
「私もたすくんと一緒〜」
「いや返事の前に退けてね?」
この格好のまま疑問に答える佑に、俺は呆れながらも自分の手で退かした。案の定佑は無表情で此方を、朱音はノートを脇に挟み仁王立ちをしていた。何で?
「何で?」
「だってヒロ教えるの上手いし」
「うぬうぬ」
思わず口にしていた言葉に、意味は違えど答える佑と朱音。佑は心做しかドヤっとしているが、朱音は大きく二度頷きながらドヤ顔をかます。
貴方達今日は何か変にテンション高いですわよ。
「あ〜じゃあ、図書室とかで?」
「ん〜それでいいんじゃないかな?静かに勉強すれば怒られないよね?」
「ん。俺はそれでいいよ」
「りょーかい。先待っててくれ。準備終わったら図書室向かうから」
早速予定が埋まった為、俺も鞄を手に取り支度を行う。二人が教室を出るのを見送り、そういえば、と高垣と蔵元を放置してしまっていたと思い二人へ視線を向けた。
「うぅ。クソぉ!俺は何で野球部に居るんだ!!居なければクラス一美少女の春辺さんと一緒に勉強出来てたかもしれないのに!」
「……」
俺の隣の机に両手を付き、ガチ泣きをしながら項垂れる蔵元と、それをゴミを見るかのように冷めた目で見る高垣……と、その机で本を読んでたであろう眼鏡女子が蔵元の奇行に驚いたのか本を片手に椅子に仰け反っていた。しかも若干涙目である。
さて、そんなことより俺はしなければならないことがあるのだ。
「高垣はどうする?一緒に来るか?」
「私は用事があるから遠慮するわ」
「うううぅ」
「おっけ〜んじゃばいなら〜」
「さようなら」
「さ、さようなら?」
律儀にも眼鏡女子も挨拶を返してきてくれたので、三人に対して手を振り俺も教室を出た。
蔵元はきっと朱音にお近付きになりたいのだろう。だって可愛いし。
だから話をしてもいいし、勉強に誘っても俺は何も言わない。だがな、佑が許してくれるかなぁ!?あれ、でも佑の事だから『良いんじゃない?』で済ましそうな気も……。
遠くで『許さん!!許さんぞシンドウォー!』と聞こえた気がしたが、俺の名前はシンドウォーなんて格好いい名前じゃなく新藤なので別人に対しての叫びだろう。後、手を叩きつけたその机の持ち主ビビってたからしない方が良いぞ。言わんけど。
☆☆☆☆☆☆
一際大きい扉を静かに開き辺りを見渡す。図書室では中央にある幾つかの長机に既に多くの生徒が腰を落ち着かせていた。中には本を読んでいる者、教科書を広げ勉学を行う者、奥の本棚に大量の本を手に取り運んでいる図書委員であろう者。
二人はどこだろうか、と視線を這わせると周りの生徒より少し距離を取った窓際の席に並んで座り教科書とノートを広げていた。
勉強するため時折喋る必要が出たりするのに二人は周囲に遠慮して離れた席を取ったと推測するが、傍から見ればまるで二人の領域に近付いてはならないと言っているかの様な雰囲気が漂っている。なんならチラチラと二人を見ている生徒も幾つか見受けられる。
そこへ足を向ける俺はさながら聖域を汚す悪魔に見えるのか視界の端には、『一体何を...!』といった驚愕の顔を浮かべた者も。
え、そんな驚く事あります?
「おまたせ〜」
「「しっ」」
周囲に気を配りながら小声で声を掛けたが、二人からは揃って静かにとジェスチャー付きで注意された。
え、これ喋れないやつ?黙々と勉強するパターン?俺必要ある?
よくよく考えたら、図書室で喋らず勉強するなら、遠慮なく声を出せる教室でしたほうが良かったんじゃ。
過去の俺は間違った選択をしてしまったかもしれない。そう思いながら対面の席へ座った。
※思い付きと勢いで書いているため、今後話の内容、矛盾点等を少し訂正する場合もありますが、流れは変えないようにします。申し訳ありません。
※文学少女→眼鏡女子 間違えておりました。
ブックマーク、評価、いいね、感想、誤字報告ありがとうございます。




