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友達としかみられない  作者: ルン
二章 割引券盗難事件
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2-4 死神盗難事件

 翌日、悪夢のせいで上手く眠れない俺が惰眠をむさぼろうと四苦八苦していると、いきなり電話がかかってきた。

 画面を見ると、発信者は貴理。面倒事の予感しかしない。

 ガンガン鳴る着信メロディーが、寝不足の頭に重く響く。

 数回無視したが、何度もしつこくかけてくるので仕方なく出ることにした。


「もしもし……」

「ちょっと! なんですぐでないわけ!?」


 案の定怒り狂った大声が耳元から聞こえてくる。スピーカーに切り替えてはいないはずだが……


「貴重な休暇にかけてくるお前が悪い」

「今日は水曜よ!! それに、今は昼過ぎだからね!? 私が悪いみたいに言わないで!」


 それは確かにそうだが、俺の中では今日は休日で、かつ今は深夜なのだ。


「で、何の用なんだ?」

「あんた、私が送ったライン見てないの?」

「ブロックしてるから見れない」


 賢明な俺は、心中で『今度からは電話の方も着信拒否しておこう』と決めたことは口にしない。


「っ……!!」


 息をのむ音が聞こえた。危険な気配を感じ取り、スマホをベッドへ放り投げて手で耳を塞ぐ。


「――っ! ……!!」


 耳を塞いでいるので何を言っているかは分からないが、貴理が何かをがなり立てているのは分かった。

 しばらくそのまま待ち、ようやく貴理が落ち着いた頃を見計らって話を進めるよう促す。


「……それで、何の用なんだ?」

「あんたさっき言ったこと何も聞いてなかったでしょ……」

「まぁな」

「はぁ……いい? 今度はよく聞いて。また被害者が出たの」

「被害者? 何の?」

「昨日の事を忘れたの? 例の『死神盗難事件』よ!」


 死神だなんて物騒な単語を言われて思い浮かぶのは、例のタロットカードと記事のコピーだ。

 新世界の神を目指す天才犯罪者に取り憑いている黒いのも出てきたが、このタイミングでそんなことを口にしたらこの部屋が貴理によって火の海にされかねない。


「あー、あの悪戯ね。知らない間にずいぶんと大層な名前になったな」

「ネーミングは私がしたわ。どう? センスしかないでしょ?」


 その欠片も感じられない。そのまますぎる。

 それに、これでは死神が盗んだのか死神が盗まれたのか、それとも死神に関する何かが残されていたのか、あるいは失われたのか、全く判別できない。

 しかも実際は、盗まれたのは割引券で、死神要素は残されたタロットにしかない。


「そっすねセンスの塊っす。貴理ちゃんすごーい」

「そうでしょ! って、そんなことより、今日も被害が出たのよ。午前中に、かんしょうけんを盗まれた人がいたって」

「かんしょうけん?」


 パッと漢字が思いつかなかった。

 悪夢でブルーになっていることも相まって、『感傷権』なんてよく分からない単語すら脳裏に浮かんでしまう。

 少し考えて、『鑑賞券』だと分かった。


「あぁ、映画のチケットのことか」

「そうそれ。とにかく、詳しいことを話したいから北公園まで来てくれる?」

「えぇ……なんであんな所まで行かなきゃならないんだ。話したいならお前が来るのが筋じゃないのか?」

「被害者がそこで作業してるのよ。良いから来て!」


 結局いつも通り貴理に押し切られ、最底辺を横ばい中のテンションのまま、出かける準備をした。

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