エピローグ. オデット ― ジルベール帰還、それから・・・?
結婚後、私はマルタン伯爵邸に引っ越した。
使用人も皆あたたかく歓迎してくれた。
リュカは私が王宮での仕事を続けるのを認めてくれて、私は忙しい日々を送っている。
毎日幸せだなと思うことばかりだ。
リュカは愛情深くて優しい旦那様だ。甘やかし過ぎじゃない?と心配になることもあるけど。
そんな中、ヴァレリーから連絡があった。
ジルベールが目を覚ましたという。
私とリュカは慌ててお見舞いに駆け付けた。
病室に入るとジルベールはベッドに起き上がり、何かを書いているところだった。
「オデット様、リュカ様」
穏やかな笑みを浮かべるジルベールは以前と何ら変わりなかった。
「無事で良かった・・」
私は安堵で大きな息を吐いた。
「ヴァレリーに叱られました。心配かけるなと」
ジルベールは苦笑いだ。
「あの・・サットン先生は、無事に元の世界に戻ったんですね?」
「はい、スズ様は異世界で健やかにお過ごしです。初めてリシャール王国にやって来た時と同じ姿に若返っておられました」
ジルベールは少し寂しそうだったが、何かが吹っ切れたように話を続けた。
「スズ様には恋人も出来たようで、毎日溌剌とお過ごしでしたよ」
私たちは何とも言いようがなく黙っていた。
「それで私も戻るつもりだったのですが、スズ様がある日新しく発売された乙女ゲームを買って帰宅されたのです」
「へ!?」
思わず変な声が出てしまった。ジルベールの言葉の一部を理解することが出来なかった。
「スズ様は私たち・・特にオデット様に伝えたいことがあったんだと思います」
「何をだ?」
眉を顰めてリュカが尋ねる。
「一言でお答えするのは難しいのですが・・・。スズ様は勘の良い方です。気配で私がいることに気づかれた、と思います。そして、新しいゲームを買って来られると実際にそれをプレイしながら、独り言のようにゲームについての解説を始めたのです」
ジルベールの答えは分かるようで理解できない。
「ゲーム?」
私の質問にジルベールは頷いた。
「乙女ゲームと呼ばれるそうです。スズ様によるとこの世界は乙女ゲームの世界なのだそうです。預言書もそれに基づいています」
「全く意味が分からない」
リュカは少し焦れているようだ。
「申し訳ありません。今スズ様から教えて貰ったことをまとめて書いているところです。情報量が多すぎるので整理する時間をください。スズ様が独り言で『オデットに伝えられたらいいのに』と仰っていたことがあるのです」
「それは何?」
「・・・ゲームの続編が出たとのことです。『Destiny: 神龍の呪い』と呼ばれる続編で、ヒロインがスザンヌ・マルタン伯爵令嬢。バッドエンドで呪われる可能性があると・・・」
私とリュカは顔を見合わせて絶句した。
こんな終わり方ですみません(汗)。今すぐは投稿出来ませんが、続編はリュカとオデットの娘の物語を書きたいと思います。続編は別タイトルになる予定です。今考えているタイトル(仮)は『乙女ゲームのヒロインですが、私の好きな人は攻略対象じゃないんです!どうしたらいいですか?』です。出オチ感半端ないですが、出オチにならないよう頑張ります。オデットに片思いするフランソワ、に片思いするスザンヌが主人公です。
こちらにはリュカとオデットの糖度高めの新婚生活とか、リュカがぷくに嫌われて落ち込む話とか、まだ書きたいことがあるので、今後不定期に番外編として投稿するつもりです。でも、本編が終わったので、一旦これで完結にしたいと思います。
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