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38. ミシェル ― 第三の試練

私の学院生活はバラ色になった。アラン達と一緒にいるせいで女生徒たちから羨望の眼差しで見られるのも最高に気分が良い。


その上、他の男子生徒たちも私の歓心をかおうとチヤホヤしてくる。


最高の学院生活に満足していたし、神龍の聖女のことなんて正直もうどうでも良かった。


でも、聖女になってムカつくオデットを潰してやりたいという願望はあるので、一応第三の試練の場に向かった。


当然ながらアラン達も私に付いてくる。


ゾロゾロとイケメン達を連れて練り歩くのはいい気分だわ。ふふ。


指定された教室に行くと、既にオデットが席についていた。


相変わらず澄ました顔をしているわね。平然としているその態度がムカつくのよ。


公の場で婚約破棄されてもそんな顔をしていられるかしら?あんたの泣き顔を見るのが楽しみだわ。



学院長が入ってくると、私を見て恍惚とした表情になった。


うふふ。もう年配だけど学院長もイケオジなのよ。ウインクしてあげたら嬉しそうに悶えている。


そうよ。みんな私に夢中になりなさい。私を崇め奉るのよ。


第三の試練の説明を終えた学院長は、小箱と一緒にそれを開けるための鍵もくれた。


やったね。オデットはそれを横目で眺めながらも何も言わずに教室を出ていった。


そういうところが可愛げが無いのよね。ちょっとでも悔しそうな顔をすればいいのに。


まあ、いいわ。この試練、私の勝利は確定しているのだから。


私はこのゲームをクリアしたことがある。神龍の卵の場所も分かっているのよ。


直接卵の場所に行ってもいいけど、攻略対象たちが私のために必死になって暗号を解くのを眺めるのも悪くないわ。


オデットは鍵を開けるのにも暗号解読にも時間がかかるだろうし、イザベルが引き続きオデットを襲撃する暗殺者を送り込んでいるはずだから、時間は余裕なはず。


空いている教室に皆で座り、学院長がくれた鍵で小箱を開けると四つ折りにした暗号が入っていた。


クリスチャンが「俺は暗号が得意なんだ」と早速暗号を解きだす。


まあ、私はどこに神龍の卵があるかはゲームでやって知っているから余裕だけど、一生懸命なクリスチャンが可愛いわね。


ただ、卵を取りに行く時に彼らが一緒なのはまずいわ、と真剣に考える。


というのは卵を見つけると、その場に神子の里中すずが現れるはずなのよ。


・・・神子の里中すずはクラスメートだった里中すずと同じだ、と思う。


私が幼い頃に会ったのが召喚された元クラスメートの里中すずだとしたら、もうおばさんになっているだろうけど、あいつは可愛らしい顔立ちをしていて前世で男にすごくモテていた。


攻略対象がミシェルではなく里中すずに惹かれてしまうというバッドエンドがあった。


だから、攻略対象にはあいつに会って欲しくない。


卵を取りに行く時は一人で行くことにしよう。


それに卵を見つけたすずとミシェルはその場に神龍を召喚するのよね。


そこで卵が孵って神龍が赤子に甘露を与えるの。神龍の赤子に導かれて魔王との戦いに向かうんだけど、私は面倒くさいからそういう戦いとか興味ないのよね。


聖女だって肩書きさえ貰えれば、後はすず一人に魔王との戦いを任せちゃっていいかなと思ってるし。勝手にやって頂戴って感じ。


私はここでイケメン達の顔を見ているだけで幸せだわぁ。


イケメン達は喧々囂々と暗号について話し合っている。みんな素敵・・・と見ていると、ついに暗号が解けたらしい。


In the box under the nunね。やっぱりね。ゲームと同じだわ。


攻略本にはヒントしか書いてなかったから、プレイヤーが自分で解かないといけないの。


なかなか解けなくてイライラしたのを思い出したわ。


私はどこにあるか知っているけど、攻略対象はそこに行かせたくない。


「ねえみんな。各自バラバラになって探してみない?」


と提案した。


みんな戸惑っていたけど、私の言うことは絶対だからね。


攻略対象たちは散り散りに走って行った。


私は独りで学院の中心にある教会の礼拝堂に向かう。


礼拝堂の片隅に一人の修道女が描かれた絵画が飾ってあるの。その真下に目立たない箱が置いてある。


神龍の卵はその中に入っているはず。


私はそっと薄暗い礼拝堂の扉を開けた。


人の気配はしない。


私はそっと中に入り、真っ直ぐに目当ての絵画のところに向かった。


修道女が絵の中から真剣な表情でこちらを見つめている。


その絵の下に木製の箱が置いてある。


私は苦労しながらその箱を開けた。


そして、そこには・・・・・



何も入っていなかった・・・。空っぽだ。


何で――――――!?私は心の中で叫んだ。

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