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36. ミシェル ― 我が世の春


うふふふふ♪


やったわ!やってやったわ!


遂にあのムカつく女を追い払って攻略対象を独占することが出来た!


私は攻略対象に囲まれて最高の日々を送っている。


料理対決の時に私のチャームを施した超強力媚薬を混ぜてやったのよ。


あの偉そうなイザベルにお願いするのは癪だったけど、あの女は王宮で顔がきくし使えるわね。


第二の試練をゲーム通り料理対決にして貰って、上手く薬を仕込めば後は私の思い通り。


イケメン天国だわぁ~


私は隣に座るクリスチャンの手を握りながら、反対側の隣に座るダミアンにしなだれかかった。


イケメン度ヤバすぎ。


更に正面には真正イケメンのアランが座り、アランの隣にフランソワが座る。


きゃ~~♪もうまさに天国じゃない?


クリスチャンが顔を赤くしながら、


「ミシェル。今度良かったら一緒に図書館で勉強しないか」


と誘ってくる。


図書館デートね。真面目なクリスチャンらしいわ。でも、私は勉強が嫌い。


「勉強よりもっと楽しいことしようよぉ。今度私の部屋に忍んで来て。んふふ」


と言うとクリスチャンがトマトみたいに真っ赤になった。


純で可愛いぃ。色々教えてあげたいわぁ。


ダミアンが私の顎をクイと持ち上げて、


「おい、規則違反だ。・・・それに他の男を誘うな」


と私を甘く束縛する。


んん・・・。堪らない。このままキスしてぇ・・・と目を閉じて迫ったら、


「・・・ここは公衆の面前だ」


とアランが咳払いをする。


いやん、アランたら。妬いてるの?大丈夫よ。私の本命はあ・な・た♪


私はダミアンとクリスチャンを振り切って、アランの隣に座る。


アランは少しツンデレ設定が入っているのかも。


クリスチャンたちに比べると甘さは多少足りないかもしれないけど、この国の王太子だし顔面偏差値は攻略対象の中でもトップだわ。


透き通るような碧い瞳。輝くような金髪。高い鼻梁。端整な顔立ち。スベスベのお肌。この横顔を見ているだけでも価値がある・・・と見惚れてしまった。


「あのねぇ。アラン様・・・。私ねぇ。酷い嫌がらせを受けているの・・」


泣きそうな表情を作ってアランに訴える。


するとアランは真剣な顔で


「それは本当か?!」


と心配してくれる。


いやん、やっぱり最高。


「そうなんですぅ。アクヤクレ・・・いや、公爵令嬢のぉ、オデット様から酷いいじめを受けているんですぅ」


しおらしく俯きながら訴える。


アランは


「そうか。それは放っては置けないな。フランソワ。エレーヌを呼んできてくれないか?」


ときびきびと指示を出す。


ああ~ん。男らしくて素敵・・・。


フランソワはすぐに立ち上がって、若い事務員を連れてきた。


大仰な筆記道具を持っている。


アランが私の目をじっと見つめて


「君に何かがあったら困る。君が受けたという嫌がらせを全て彼女に話して欲しい。特に日時や場所、具体的に何をされたのかが重要だ。間違いがないように気をつけてくれ」


と言い募る。


そんなに私が心配なのね・・・。いいわ。私なんでも話すから。


私はそのエレーヌとかいう事務員にオデットから受けた酷い嫌がらせの数々を語った。全部嘘だけど。


エレーヌは真面目な顔で私の話を記入し、大きな印鑑のようなものを押した。


書式に証人欄というのがあって、そこにアランとフランソワがサインをする。


アランが私の手を握って


「これで公爵令嬢に正式に抗議することが出来る。君の身を守るためだ。だから、他にも何か嫌がらせをされたら、すぐに私に話して欲しい」


と熱く見つめる。


彼の瞳の熱心さに強い愛情を感じて、私は蕩けそうになってしまった。腰砕け・・・。色っぽ過ぎる。


やっぱり本命はアランルートね。


「・・あのぉ。アラン様とオデット様の婚約を考えると私、辛くって・・・。婚約破棄とか考えてらっしゃいます・・か?」


「・・・ん?・・・ああ、まあな」


というアランの答えに私の士気は上がった。


「じゃあ・・・例えば卒業パーティで婚約破棄とか・・・どう思いますぅ・・?」


と体を摺り寄せながらおねだりしてみる。さりげなく自分の胸をアランの腕に押し付けると、アランが困ったように顔を赤くした。


もう、みんなピュアなんだからぁ。


「いや・・・。わざわざ卒業パーティという公の場でなくてもいいんじゃないか?」


というアランの言葉に


「でも彼女は私に酷いことを沢山しているんですぅ」


と上目遣いで見つめる。ついでに胸をアランに押し付ける。


アランは顔を赤くしながら


「・・・そ、そうだな。考えてみる。卒業パーティはまだ先の話だしな・・。君は次の聖女の試練のことを考えた方がいいんじゃないか?」


と答える。


やっぱり私のことを心配してくれるのね。愛情深い旦那様。素敵。


するとクリスチャンが拗ねたように


「アランばっかりずるいな」


と私の腰に手を回す。


ダミアンも


「そうだな。少しは俺達にも関心を持ってくれ」


と私の髪の毛を一房持ち上げてキスをした。


もう一生このままでいい!と私は心の中で絶叫した。



その時、あのムカつくオデットが通りかかった。オデットは私達のことを視界に入れようとせず、無表情で通り過ぎる。


その周囲を女三人が彼女を守るように歩いている。


本当はオデットが孤立するようにあの三人にもチャームを掛けたんだけど、効かなかったのよね。


あいつらお弁当だから薬を混ぜることも出来なくて。でも、いいの。モテない女同士でつるんでなさい。


私は学院の他の生徒たちにも片っ端から私はチャームをかけまくった。


だから、もうあいつの味方はほとんどいないはず。ザマ―ミロ。


リュカからラッキーアイテムの宝石を貰ったのに何故か全属性にならなくて不満だったけど、今となってはどうでもいいわ。


私はチヤホヤしてくれるイケメンに囲まれてるんだから。


後は、オデットが公衆の面前で辱められて没落していくのを眺めていたい。殺されるのも見物だわ・・・。うふふふふ。


やっぱり卒業パーティでの婚約破棄、断罪イベントは外せない!


ああ、楽しみ・・・・。


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