表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
300文字で、3つのとびら  作者: たかさば


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/6

あはは!

……()()()は、人生をやり直すことになりました。


頑張ったのに残念な結果になってしまいましたね。

気の毒なので、チャンスを差し上げようと思います。


あなたは両親のもとを飛び出しお笑いの頂点を目指した結果、ここに来ました。


…3つの扉をご覧下さい。

扉の向こうに選ばなかった人生を用意していますよ。


扉:1

お笑いは見て楽しむもの、毎日大笑いしながらゆかいに過ごす

予想される寿命は78歳 


扉:2

養成所に入りきっちりお笑いの基礎を学んで、賞レースに挑む

予想される寿命は48歳 


扉:3

働きながら、お笑い芸人のラジオにはがきを送りまくる

予想される寿命は62歳



さて、あなたは…どの扉を開きますか?




「コネがなくて失敗した、次こそ…」

あなたは、2の扉を開きました。


大反対する両親を二年かけて説き伏せ、あなたは念願のお笑い芸人養成所に入りました。

ダンスや歌の授業など苦手なものまでやらされることに辟易しつつ、一年間という短い期間なのだからまじめに取り組んでおこうと腹をくくり無遅刻無欠席で頑張っています。


渾身のネタがウケなかったり適当に書いたコントがべた褒めされて戸惑う事もありましたが、成績は上位で注目を集めました。

何人かに相方になってくれというオファーをもらったものの、くせの強い人ばかりでしっくりきません。

そんな時、慕っている先輩から俺と組まないかという誘いを受け、それを了承しました。


コンビを組んで早々、あなたは新人賞を獲得しました。

決め言葉の『あはは!』が流行語大賞に選ばれて、レギュラーももらいました。

お笑いライブにも積極的に顔を出し芸を磨いていたのですが、金にだらしない相方がバイトに精を出すようになってしまい少しずつ関係がこじれ始めました。


ピンで舞台に立つことが増え、コンビは解散することになりました。

ちょうどその頃、目をかけていたピン芸人の後輩にコンビの話を持ち掛けられたあなた。

自分のネタに自信を無くしかけていたこともあり、後輩のネタを引っ張る形で進化させ、二度目の新人賞を獲得しました。


地道にライブに出てファンを増やし、大きな賞レースの三回戦まで進めるようになった頃、相方が事故を起こして謹慎することになりました。

ピンの仕事をしながら頑張っていると、謹慎中の相方が俺のネタで飯を食うなと抗議してきました。

口げんかは大喧嘩に発展し、怒りが抑えきれなくなった相方に突き飛ばされたあなたは後頭部を強打し意識を失いました。


倒れたまま放置されたあなたは連絡がつかないことを心配したマネージャーに発見されましたが、もうすでに息絶えていました。


…いかがでしたか?


そうですか、笑い飛ばすことで前を向くような笑えない展開はもうこりごりだというのですね。

なるほど、よし今から笑うぞという意気込みありきの笑いにはもう関わりたくないのですね。


願いが叶うと良いですね、お疲れさまでした!



~おまけ~

扉:1→就職先でゆかいな新人と認識される→飲み会や結婚式の席で注目を集める→テレビの素人参加番組に応募して準優勝→芸能事務所に入りながら仕事も続ける→退職後愉快な市議会委員として活躍→地域住民にたくさんの笑顔を届けたのち老人ホームに入居→いつもの笑い声が聞こえてこないのを心配したヘルパーが息をしていないことに気付き救急搬送されるもそのまま他界


扉:3→出すはがき出すはがきすべてが読まれて芸人たちの間に認知が高まる→SNSで『画像を見て一言』『大喜利』を始めたところ、瞬く間にフォロワー数が増える→ツイート集が販売されベストセラー→作家にならないかとオファーを受ける→会社を辞めて上京→複数の芸人にネタを提供→売り出し中のピン芸人と結婚→ハニトラにかかり一家離散→酒の量が増え始める→連絡が取れないのを心配した姉が自宅を訪ねたところ浴槽内で沈んでいるのを発見される


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ