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名も無き星からの船 その七

ジュブナイルって、いいなぁ……

ということで、このところ毎日更新です。


ちょっと古ぼけてるけれど、居住区10の行政府の建物になるはずだった場所へ連れて来られた。


建物の前には、少し痩せ気味だけど、普通の格好をした「市民」(宇宙船の各班の仕事をしてない人のことを、市民って呼ぶんだ)が、僕を迎えに来てた。

保安班の人が口を開く。


「久しぶりに見つかった突然変異の子供を、そちらへ引き渡す。なお、普通者たちとの接触は未だに禁じられているので厳守してくれ。では!」


僕は、これから居住区10に住むことになるようだ。

保安班の人たちは、僕だけを置いて、中央プロムナードへ戻っていく。

僕の引き取り手の人が、話しかけてきた。


「ようこそ、異能力者の居住区10へ。名前は、おっと、まだ子供で名前はないんだったな。じゃあ、坊や、とりあえず、この町の説明と案内を任された者だ。行こうか」


彼は、そのまま踵を返すと建物の中に入っていく。

僕は、あわてて彼の後を追いかけた。

ここが僕の死ぬまで居る場所なら、取り残されてたまるもんか!

建物の中に入って手近な椅子に腰掛けると、彼は、僕にも座るように指示してくれた。

僕が手近な椅子に腰掛けると、


「じゃあ、坊や。まず、君の仮の名前を決めなきゃならない。昔は、生まれた時に名前を付けて、それが一生、パーソナルネームとして使用されたんだが、この世代宇宙船では、成人になるまでに死んでしまう子供も多くてね。いつからか、成人になってから名前をもらうってことになっちまった」


へえ、そんな理由があったのか。

じゃあ、僕の仮の名は、どうなるんだろ?


「とりあえず、坊やの仮の名は「サミー」とすることになった。成人の命名式には、仮の名から、自分が名乗りたい名前に変えることができるから安心してくれて良いぞ。じゃあ、この町の設立された経緯と、歴史から話そうかな……」


と言って、案内人の彼は、僕に仮の名を付け、居住区10が異能者と呼ばれる突然変異者達専用の街になった経緯と、歴史を話してくれた。

長い話だけど、かいつまんで要点だけ書いてみることにしよう。


*かつて、世代宇宙船が、まだ第一号宇宙船と普通に呼ばれていた頃、計算機による人工授精でありながら、生まれた子供に、わずかな確率ではあったが、精神的な突然変異が現れるようになった(肉体的な疾病や欠陥の可能性は、人工授精の段階で大幅に減らされるようになってるんだって。この点では自然分娩よりも安全かつ確実な受精になるみたいだね)


*その子供たちを、初めは普通に育てていたんだけど、そのうち普通人とは違う、超知能や各種の超能力(テレパシーやサイコキネシス、千里眼や過去幻視・未来幻視も含む)が見られるようになり、普通人と、「新しい者達」との摩擦が無視できなくなってきた。


*故郷の星では、新しい者達の存在も受け入れられて、社会活動でのエリート扱いされてたらしいんだけど、この宇宙船内では、計算機と先頭グループの判断・決断のほうが重視されるため、新しい者達に対する社会的迫害があちらこちらで起きるようになった。


*いくら特殊な宇宙船内部の環境とは言え、法律の大半は故郷の星のものを流用しているため、普通人と、新しい者達の対立を避けようと、新しい者たちだけの「町」を創ろうということになった。


*そこで、探したところ、危険性が高いということで「予備部屋」扱いされていた居住区10が候補に上がり、先頭グループや計算機にも反対の声は上がらなかったため、新しい者達は全て居住区10に引っ越すことになった。


*普通人の人たちには、新しい者達は保安班に全て連れて行かれたという説明をしたために、保安班はいわれのない別称「死神」と呼ばれるようになる。ただし、これは保安班も承知済みだったんだって。


*新しい町は人口が少ないだけで、順調に生活できるようになったため、これから生まれてくるだろう、後に続く「新しい者達」も、居住区10の町で受け入れることにしたんだって。


ということで、この居住区10の町の設立から現在までの歴史は分かったんだけど、どうも僕にはわからないことがある。聞いてみることにした、


「ありがとうございます、説明はおおよそ、理解しました。あと1つ、分からないことがあるんですが、良いですか?」


「ああ、良いよ。私で分かることなら説明してあげよう」


「この町の統治機構って、どうなってるんですか?ざっと見たところ、普通に統率者がいるような感じじゃないですよね。意思の統一とか、意見のすり合わせとか、どうしてるんです?」


「おっ?!もう、それを疑問として聞くか、さすがに長老が推す天才児だな」


「やめて下さい、僕は天才でも何でもないし、知能指数だって普通の中ですよ。テレパシーが使えるだろうってことは自分で理解してますけどね」


「違う、君は、サミーは、自分が何者なのか、まるで理解していないんだな。まあ、無理もないが。じゃあ、早速、その答えを理解するためにも、そろそろ、この町を案内して、長老の家に行くとするかね」


そう言うと、案内人の彼は、席を立って、僕を促すように見てきた。

僕も立ち上がり、彼の後についていく。


長老に会うって言ってたよね。

長老って、どんな人なんだろうか?新しい人たちを率いてるんだから、顎鬚はやしたおじいちゃんかな?

僕は、期待と不安が混ざってる複雑な気持ちで、彼が町の案内をする声を聞きながら、町の各所を歩き、見ていった。


しかし、ストーリーが進まない!

これだけが欠点だね、この書き方。


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