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名も無き星からの船 その五

ジュヴナイルの書き方ですよね、これ。

やっぱり子供の頃から熱心に読んでたジュヴナイルSFが自分の根底にあるんでしょうか。

書きやすいです。


異星人とのファーストコンタクト(通信)が僕達に知らされた、その翌日。


朝から統率者の自宅へ、様々な人が押しかけてた。


「異星人って、どんな姿形なんだい?先頭グループ(運行管理班の事を、こういうんだ。船の先頭部に入れる人たちだからね)から情報貰ってるんだろ?」


とか、


「異星人は害悪、邪悪なんだから、撃滅せねばならない!情報を教えてくれ、ダイナマイト巻いてでも相手の宇宙船に損傷与えてくれる!」


とか、


「異星人と交易できないか?彼らが望む物があれば、こちらとの交易から貿易へ進めるんじゃないか?」


とか、色々、勝手な意見を言ってた。

統率者は、様々な意見を勝手に言う人たちを前に、こう言っただけだった。


「船長はじめ、運行管理班からは、昨日言った情報の追加事項は入ってきていない。皆、不安だろうが、ここは追加情報を冷静に待って欲しい。後数日で、歴史的瞬間が目撃できるんだから、な」


過激派は、それでも満足できないようだったけど、自分たちだけで宇宙船の外へ出る方法がないため、ここはしぶしぶ引き下がるしか無かったようだ。

あ、船外作業船とか、緊急避難用の個別ポッドは用意されてるよ。

だけど、操作が難しくて、船外作業班の人たちにしか扱えないんだ(個別ポッドには操縦装置は付いてないんだ、避難用だから)


半日ほど過ぎたとき、僕は学校にいたんだけど、横から押されるような、変な力に気付いた。

先生曰く、


「現在、世代宇宙船は方向転換モードに入ったんだ。君たちが横から押されるような力を感じたのは不思議じゃない、船が逆向きになるために回ってるためだ」


先生は、コリオリの力とか、僕達が普通に立っているのは居住区が回転してるからだとか、色々教えてくれた。

こういう時でないと実感する授業はできないよ、なんて言ってた。

夕方になると、反対側の横からの力を感じた。

数時間後、いつも前と思ってる方向から引っ張られるような不思議な力を感じた。

お父さんやお母さんに聞くと、宇宙船が逆噴射モード(向きを反対にして、推進爆薬を破裂させる事を言うんだって)に入ったかららしい。


これから世代宇宙船は、徐々に速度を落として宇宙船フロンティアとランデブーするんだそうで、フロンティアそのものは、もう世代宇宙船のレーダー索敵範囲内に入ってるらしい。

この船が今の速度(光速の3%超え)を保っていると、あまりに速すぎてフロンティアでもランデブーは危険らしい(やろうと思えばできるらしいよ、と、お父さんが言ってた)

ので、今の速度の半分くらいになれば安全にランデブーできるんだって。

それでも光速の2%弱だよ!

凄い性能だよね、宇宙船フロンティアって。


この宇宙船に搭載されている画像通信セットと、フロンティアの画像通信セットじゃ、あまりに精度や解像度の違いがありすぎて、未だに画像は送りあえないんだって。

こっちの画像通信セットも、造られた時には最新型だったんだけどな。

やっぱり超科学の産物、宇宙船フロンティアには通用しないのかな?


「でね、お父さん。今朝、統率者の家にたくさんの人たちがやってきてて、その中に、異星人は邪悪で害悪でしか無いから、やっつけなきゃダメだって叫んでる人がいたんだよ。お父さんたちも、船長達も、そういう意見なの?」


一番、僕が聞きたいことだった。

僕の気持ちは、テレパシーで交信した時に決まってた。

あんな温かいテレパシーを送ってくる人が悪いわけないよ。


「正直なところ、私達も船長含めた先頭グループの人たちも、この事態に戸惑ってるんだよ」


え?


「戸惑ってるって、どういうこと?助けようと手を差し伸べてくれる人、人とは限らないかも知れないけれど、少なくとも手を差し伸べてくれてるんだから、手を取れば良いんじゃないの?」


お父さんは、寂しそうな顔で答えてくれた。


「坊や、それほど簡単な事じゃないんだ、我々にとってのファーストコンタクト、歴史上、初めてとなる異星人の宇宙船との出会いだからね。今の気持ちは確かに嬉しいけれど、未来に、この関係がどうなるか?それも考えてるんだよ」


それは変じゃないかな?

僕は、お父さんを信用することにして、決定的なことを打ち明けようと決心した。


「大丈夫だよ、お父さん。お母さんも、お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも、心配しないで大丈夫。僕、宇宙船フロンティアの船長と一昨日の夜、話したんだ。宇宙船フロンティアって親切な人たちの集まりだよ」


お父さんたちの顔色が変わった。

まずいこと言ったかな?


「坊や!おとといの夜と言ったね?まだ、宇宙船フロンティアの通信も存在も、全く知られていない時じゃないか!?どうやって、向こうの船の船長と話したんだ?!」


真剣な顔で問い詰めてくるお父さん。

こうなったら、あの夜の話をしよう。


「一昨日の夜、寝る前に、いつものように神様にお祈りしてたんだよ。この船と故郷の星が無事でありますようにって。そしたら、返事が帰ってきたんだよ、僕の祈りに。トラブルがあるなら助けようじゃないかって。テレパシーって言ってたよ」


僕以外、皆の顔色と部屋の空気が、今度こそ完全に変わった気がした。

僕は、嫌な予感がした……


ようやく、事態が動き出しました。

さて、スラン(名作ジュヴナイルSF)みたいに書けるかな?


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