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名も無き星からの船 その二

ようやく、名前だけフロンティア登場!

主人公たちの登場は、もう少しお待ちください。


お父さんとお母さんが、言い争いしてた。


僕にはよく分からなかったけれど、船尾にある遮蔽板のことを話題にしてたようだった。

翌朝、起床時間になって二人とも仲良くなってたけど、お母さんの顔には泣いた後、お父さんは何かを諦めたような顔をしてた。


昨晩は、何を話してたのか聞きたかったけれど、2人の顔を見て、やめておいた。

何か、聞いちゃいけない話だったようだ。


今日は学校で、水耕栽培区画の成果物の取り入れ作業を手伝う体験授業だった。

僕の手伝った栽培物には変なところは無かったけれど、友達のクラスでは、三つ葉が六つ葉になった植物が採れたって言ってた。

この頃、水耕栽培区画では、六つ葉の野菜のような変な野菜がときたま採れるらしい。


先生に聞いたら、突然変異と言って、外部からのストレス(宇宙線やら放射線やら、汚れた水も、だって)で変な野菜ができる確率が高くなるんだそうだ。

僕がふざけて、


「じゃあ、先生。人間もストレスが高くなると突然変異するの?」


って聞いたら、先生、にこやかな顔から真剣な顔になっちゃって、


「そうだ、人間も、突然変異してもおかしくない。ただし、野菜と違って人間は生命体として複雑化して高度な生命体だから、その突然変異が外見に出るとは限らないんだ。もしかすると、精神に突然変異の影響が出るのかも知れない」


と、答えてくれた。

先生の話によると、精神の突然変異は、当人にも分からないことがあるらしい。

その、普通じゃない力が発揮された時に、心が普通人と同じなら良いが、心まで突然変異してるようだと常識やモラル、法律などを無視するようなことにもなりかねない、恐ろしい事態になっても不思議じゃない、との事だった。


僕は、何か恐ろしいことを聞いたような気がして、その日は学校が終わったらすぐに家に帰った。

夕食の時間に、お父さんとお母さんに、先生に聞いた話をすると、お父さんもお母さんも真面目な顔になり、僕に言い聞かせるように、


「いいかい、坊や。確かに先生の言うように、この世代宇宙船は、ずいぶんと古くなっているから、推進用爆薬の放射線を、造られた時のようには防護できなくなってきているのは確かなんだ」


「でもね、坊や。お父さんや私、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんたちまで一緒になって、どうしたら、このトラブルに対処できるのか考えているのよ。最悪、防護板の修理が完了するまで推進用爆薬の排出停止を考えているわ」


「そうだ、宇宙船の速度は、もう光速の3%ほどにもなっているから、しばらく爆発推進は止めても大丈夫なんだから」


僕は、ちょっと疑問に思ったことを聞いてみた。


「宇宙船の速度って、そんなに速くなってるのか。でも、それだと宇宙空間から受ける放射線の量が無視できなくなるんじゃないの?いくら水の壁で防いでいるって言ってもさ」


「それは、確かにそうだが。でも、坊やが心配しなくてもいいんだ。私達、大人がアイデアを出して何とかしてくれるさ」


「そうよ、子供は楽しく遊んで勉強してればいいのよ」


でも、そう言ったお父さん、お母さんの顔色は、やっぱり悪かった。


夜、いつもの通り、宇宙の何処かに居る神様に向けて、宇宙が平和でありますように、この世代宇宙船も無事に目的地に到着できますように、故郷の星が無事でありますように、と祈っていた。

普通は、この後、ベッドに入って寝るんだけど、今夜は違った。


僕の祈りに、返事があったんだ!


〈弱い信号強度だが、テレパシーを受信した。こちら、宇宙船「フロンティア」だ。トラブルが起きているようなので、そちらへ向かう。数日後には、そちらとランデブーできるだろう〉


宇宙船フロンティアだって?

第一号宇宙船より以前に世代宇宙船なんか造られた記録は無いよね。

例え造られていても、光速の数%もの速度が出ているのに宇宙船の進行方向を自由に変えて、数日後には僕らの宇宙船とランデブーできる性能……


僕は、もしかして、他の宇宙人が操縦する宇宙船と交信したんじゃないか?!


僕は、ワクワクしながらも、これが明日には大変な騒動になるなどとは思いもせずに、ベッドに入って寝たのだった……


これ、書きやすいなぁ、ホント。

以降の話、こんな形が定番になるかもです(星系や星雲を特に規定しなくても書けるのが良い)


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