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アンドロメダ銀河 その後

数話を予定してましたが、ここで終わってしまいました。

さて、次は、どこへいきますかね?


銀河系評議会 安全保障関係の閣僚報告 抜粋


先に言ってしまおう。

平和・友好条約と激甚災害発生時の相互援助条約の締結は、何も問題なしに進んだ。


それに関した様々な問題は、今まさに協議中だ。

今、深刻な問題は、ただ一つ。


アンドロメダ銀河の政治形態から来る、宇宙航行の一部種族のみによる専有問題。

いわゆる「宇宙空間鎖国問題」である。


最初、この議題を論議するのに猛烈な反対がアンドロメダ銀河側から起こった。


「貴方達、銀河系評議会は相手国家の内政にまで干渉するのか?!これは交渉とかの問題ではないだろう!」


そう言われたが、こちらも引くわけにはいか無い。


「では宇宙救助隊設立は無限延期という事になりますが?大災害が起こっても、今の組織内で迅速な救助や援助に駆けつけることが可能なのですか?」


こちらの返答と疑問に、相手は答えられない。

宇宙航行鎖国体制を解くことは、宇宙救助隊の設立に不可欠な基本条件だから。


だいたい、フロンティア側から基本の救助メカや救助用小型宇宙艇の設計データは渡されているではないか。

後は機材を用意して生産に入るだけ。


まあ、その数が膨大になるのは避けられないが。


「宇宙救助隊の組織は、原則的に各星系に一分隊以上の設置を計画していますからね。宇宙航行の基本的禁止などという法律は、存在してもらっちゃ困るんですよ」


ここまで言っても反対派は頑固だ。


「そんな数、実際問題として設置できるはずがないではないか!銀河系では実働している組織だというが計画より半分くらいの数ではないのか?」


はい、お決まりの反対意見来ました!

でもね。


「では、お手元のデータチップに銀河系での宇宙救助隊、ああ、今では「氾銀河救助隊」と名前が変わっていますが、その分隊や各本部、大隊と総本部の可動状況を転送しますね。はい、それをご覧になると理解できますでしょうか。現在、銀河系では各文明圏の旧軍隊組織全てが氾銀河救助隊の下部組織として組み込まれています。兵器などあっても使わなければ何にもならないですからね。使わない、出動できない軍組織よりも、何時でも稼働できる救助組織のほうが効率は良いでしょう」


ううむ、し、しかしなぁ。

などと、まだ言い張るアンドロメダ銀河側。


ついに、あまりに煮え切らない態度に、アンドロメダ銀河皇帝の声が飛ぶ。


「いい加減にせよ、腐りきった役人ども!朕が、ここに座って聞いているだけでも、どちらが我がアンドロメダ銀河にとり有益か、自然と理解できる!おのれら、一部の独占的な宇宙商人に賄賂でも握らされているのであろうが?!銀河系の方々に対し、見苦しいとは思わぬのか?」


キツイ一言である。

皇帝陛下そのものは汚職とは縁のない崇高な方ではあるが、やはり閣僚や役人がレベルの低い者ばかりだったのが、今の宇宙鎖国とも言える法律を作ってしまったようだ。


(皇帝は法律を自分で造ることはできないようで、なんとか独裁者としての暴走は歯止めがかけられているようである)

まあ、この場合、それが足を引っ張ったのだが。


悪法も法、皇帝自身も人民が作った法律には従わねばならない、のだが、法律を造るものが中枢星域に住む貴族や豪族・豪商ばかりなら、こんな歪な法律にもなろうという事だ。

結局、数カ月以内にアンドロメダ銀河全ての住民を対象に、宇宙航行禁止条項を含む悪法の無効と撤廃を決める総選挙を行う事で決着した。


既得権益を守ろうとした一部の宇宙商人達には、賄賂の関係で当局の捜査が入り、証拠品と契約書のコピーや実物が次々と押収されたとのこと。

これで、アンドロメダ銀河にも賑やかな宇宙船の往来が戻るだろう。


しかし、この大元を計画した、あの伝説の地球人と、銀河系に突如現れてアンドロメダ銀河での騒動を報告し、銀河系との友好条約を締結するためにと、様々な種族の代表を銀河系評議会から半強制的に拉致していた、これも伝説の超科学宇宙船「フロンティア」は、どこへ行ったのだろうか?


まあ、フロンティアは、そのまま現時点の銀河系の科学力でもアンドロメダ銀河と往復できるようにと、255万光年の距離を20隻の大型搭載艇で結んだ飛び石航路を設置してくれた。

現在の銀河系の科学力では、もう少し遠距離までの跳躍が可能であるが、この距離間隔なら故障もトラブルも発生しないだろう。


銀河系と、アンドロメダ銀河は、ついに航路で結ばれた!

まあ、行って半年、帰って半年の往復一年かかる大航路ではあるが、すぐに短縮できるだろう。


以上、報告終わり。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

この報告より300余年、今ではアンドロメダ銀河、大小マゼラン雲、銀河系と、後に追加されたアンドロメダ銀河の近くにある小銀河も含めて、大銀河連合という組織が創設される事となる。

大銀河連合の発足に伴い、アンドロメダの独裁体制の終了と民意制への移行、大小マゼラン雲の種族統合と政治体制の統合、銀河系評議会の解散と、大銀河連合統合議会の発足、とまあ、様々な変化と統合が実施されることとなる。


大銀河連合の発足に関して、全ての重大事案に関わっている地球人と、その乗機であるフロンティアの取り扱いが議案となった。


「もう、お遊びは止めてもらって、大銀河連合の統合議会議長に就任してもらえないものだろうか?」


機械生命体、球状生命体、水素呼吸生命体やアンドロメダ銀河元皇帝らは両手を上げて賛成を示す。

しかし肝心の太陽系代表は渋い顔をして、こう発言するのだった。


「肝心なことは、これを、フロンティアに、誰が伝えるか?という事ですな。お忘れか?皆様。フロンティアは、今現在、我々の観測域から遥かに離れた星雲、あるいは銀河団を飛び越えておるかも知れないと言うことを。我々の科学技術も、300年前に比べたら驚異的な発展を遂げましたが、しかし、フロンティアのような超科学の産物は未だに建造する糸口にも立っていません。そして、もし連絡がついたとしても、あの男が、はいそうですかと、こんな窮屈な椅子に落ち着くかどうか?私は、今の状況のままのほうが未来にとってより良い選択だと思いますがねぇ」


反論は無かったと記録には書かれている。


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