戦争当事者の想い 少マゼラン雲、今日も戦線に異常なし。
視点変えてます。
小マゼラン雲の生命体、一兵士の視点ですから、そのへん、お間違えなく。
今回は短いです。
ここで切らないと、変に長くなっていく気がしたもんですから。
あ〜、今日も今日とて、交代で敵勢力の行動監視任務だな〜。
やる気、出ねーな〜。
この頃、戦線も膠着状態で、ドンパチは一日に数回しか無いし緊張感無くなるよな〜。
エネルギーの争奪戦だから、こっちもあっちも無駄なエネルギー使う余裕がないってのは分かるけどさ〜、それでもな〜。
変な戦争だよな。
俺達連合軍が勢力いっちゃん大きいのに、兵力を多く大きく動かせば動かすほど、こっちの余剰エネルギーが減っちゃって戦争を続けられなくなるって、おっかしいよな〜。
なんか、こう、でっかいエネルギーの塊みたいなやつがこの宇宙に来てさ、そいつを奪い合うような状況になりゃ、この戦争も終わりが見えるんだろうけどな〜。
まあ、そんなカモネギみたいな幸運が来るんなら、俺、神様だって信じちゃうんだけどな〜。
ん?
これまたドでかい隕石……
か?
あれ?
巨大隕石だ、よ、な?
自由航行しているような気がするんだが……
とりあえず、上に報告入れとこ!
何もない宇宙空間にいても仕方がない。
俺はフロンティア(頭脳体)に命じて、付近にいる、どの勢力でもいいから軍隊の近くに行くように命じることにした。
センサーによると、ごく近く(跳躍航法使わなくてもいい距離)に一番大きな勢力の艦隊が、中規模勢力と睨み合ってる戦場があるとのこと。
とりあえず、びっくりさせたくない(ショックで大規模戦闘になる恐れがある)ので、巨大な浮遊隕石のような形で、ちょうど最前線の中間を横切る形で介入することに決めた。
フィールド推進により加速できるフロンティアは、高加速している時も加速圧を体験しなくていいから楽だな、さすが異銀河で造られた超科学船だ。
あ、フィールド推進にしたのには理由があると、以前に聞いたことがある。
フロンティアの正式な形は球形なので、外から見たら自由航行惑星に見えるのだそうだ(今でも巨大隕石体だけどね)
このような巨大質量体を自由自在に動かすためには、フィールド推進以外では都合が悪いのだそうだ(加速・減速に時間がかかりすぎるのと、前進・後退以外の推進軸がズレやすいという最悪の欠点がある)
やってやれないことはないと思いますが、と前置きしてから、
「微惑星や衛星規模の物体に噴射口があったら、それこそ不自然ですよね?」
と、フロンティア。
まあ、そりゃそうだな、うん。
とまあ、そんなわけで、俺達は「怪しい巨大浮遊隕石」として、小マゼラン雲の生命体達が対峙している戦場へと、歩みを進めていくのだった……




