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次、どこ行きましょう? 有名になりすぎて動きがとれなくなってます。

フロンティアの、まったりとした日々を描いた回です。

何もしないのも、また苦痛なのでしょうかね?

あー、身動きが取れない。

ちょいと短期間に銀河中で大きなトラブルを数件解決しちゃったら、フロンティアって、どうしても目立つ超巨大船のせいもあり銀河中の種族の間で有名人になっちゃったのですよ、これが。


有名になるだけならいいんだけど、ちょっとしたトラブル解決まで依頼してくる星系政府が多すぎて。

太陽の暴走とか、ちょいとした宇宙戦争とか、なんてレベルのトラブルじゃない物が大半なんで、経緯を詳しく聞いてトラブルの現場へ行ったら瞬時に解決するものばっかしでね。


気分は銀河のボランティアですわ。

トラブル解決が仕事、じゃないから(生活物資はフロンティアがスペースデブリから何でも造り出すし食料も同様。でもって収集したデブリの残りやトラブル解決してあげた星系政府からもらった物資を利用してフロンティア自身は今も修復工事の真っ最中。ようやく修復作業も軌道に乗ったようで今じゃ直径10km超えです。完璧に巨大小惑星サイズになってるので下手に交通量の多い星系内には入れません)半ば趣味状態になっているのが現在の状況。


俺も今まで銀河狭しと飛び回っていた状況から、ご近所星系をちょこちょこと改装なった搭載艇でパーセク単位で飛び回るついでにテレパシーやサイコキネシスの強化練習もしてる。

重大トラブルの場合はトラブル解決に脳内エネルギーを回すことを重視するため、そういったものがない時間に、いわゆる「超能力」を強化しているわけ。

あ、俺以外のメンバーも、あっちこっち飛び回ってるよ、当然のことながら。

プロフェッサーとエッタのコンビと、フロンティア(頭脳体)とライムのコンビで動いてるようですな。

最初、エッタとライムが俺の取り合いを始めたんだが、それを2体のロボットが止めた。

どうせなら小さなトラブル解決のついでに各星系の歴史や文明を見て回るほうがエッタやライムの教育になると思ったらしい。


俺?

俺についちゃ頭の中に別人格もいたりするし、ね。

自分の判断に迷いが生じたら見方を変えるために別人格に登場願ったりしてますよ。

もう、そのくらいは自由自在に出来るようになりました。

テレパシーについちゃ俺のテレパシー波はフロンティアより強力になってしまったと言われた。


(え?こんなドデカイ宇宙船のテレパシー波より人間の俺のほうが勝ってるってどういう事だ?と聞いたら到達距離じゃなくて理解度・了解度が俺のテレパシーのほうが段違いに上らしい。アナログの強み?)

サイコキネシスも、この頃じゃ、ずいぶんと強化されてきた。

まだ、地球にいる軍用エスパーには敵わないが数百kgの物体なら重力1G状態でも自由自在に空中へ持ち上げられるようになった。


変な感覚である。

とても生身の状態では持ちあげられない物体がサイコキネシスを使うと手も触れずに持ち上がってしまう状況を考えてみて欲しい。

もう手足要らないんじゃないか?

と思ってしまった球状生命体の気持ちが今では感情的に理解できる俺だったのだよ。


現在、俺は災害救助の要請で、とある星系へ来ている。

近傍を巨大惑星が通過したので互いの惑星の重力変動で巨大地震が起きてしまい、その惑星住民の救助に駆りだされたのだ。

文明の発展状況は宇宙空港以外は農業設備や畑が広がる、のどかな風景だったのだろうが、現在は酷いものだ。

潰れた家をサイコキネシスで持ち上げてやり、救助者がいるなら助け出す。

埋まった人がいるならテレパシーで呼びかけて返事があれば、そこへサイコキネシスの見えないスコップを放つ。

あっちへこっちへと飛び回り、即死でなければ全て助けだしてやり、


「こんな大災害で、ここまで少ない死者は初めてだ!」


と地元星系政府から感謝感激雨あられ状態となる、ところを抜け出し、何でも無いことだよ、と手を振って去っていく。

まあ着ている服はドロだらけだったりするけど宇宙救助隊には名誉の勲章だ。


こんなことやってるからかな?

ここいら辺りの星系政府(小さい星系政府が寄り集まった、ちょうど村々の合同会議のようなものを作っていると思うと間違ってないよ)代表者が連名で、俺に宇宙救助隊組織を作ってくれないかと依頼してきた。

話を聞いてみると、ここいらの星系には、争いは(まあ、小さな小競り合いは通常のこと)ほとんどないが、今回のような自然災害が多いのだという。

連星星系や複雑な軌道を回る双子星系なんて変わった物もあるから、分からないでもない。


で、今までは各星系の代表者が救助要請を出したとしても他の星系の用意や準備が間に合わずに、救える命を救えないという場面も多かったと言う。

今回は俺という星系政府に縛られない者がいたために救助活動が素早く始められた事が奇跡的な救助活動に繋がったので、これを恒常化した組織にしたいと言うことだった。


良いじゃないの。

一も二もなく提案に乗った俺は、他のクルーにも知恵を貸してもらい、救助隊の構成、救助器具、資材、人員の案を提示していく。

ここで注意するのは、あくまで俺を中心としないこと。

俺は計画の外にいるべき人間である。


人員も組織も装備も運用も、全て合同星系の担当でなければいけない。

そうでないと俺達が去った後、組織が運用できないなどというバカな話が現実になる。

幸いなことに恒星間駆動の理論は同じもののため、その改良は容易なものだった。

図面を見ると、


「どうして思いつかなかった?」


と各星系の技術者達は悔しがった(さすがに銀河間駆動や、それ以上は提供しない。文明には、それ相応の技術と思想が必要となるからね。それを自力で開発した時に、その文明がブレイクスルーする時だ)

装備も同様。

技術段階が低い、俺が覚えている地球の救助資材や機材を図面で見せてやるだけで、すぐに改良版を提案できる技術者が揃っているのだが、発想が固定化されているようで、新しい救助作業専用機械や専用宇宙船は、俺が提案するまで思いつきもしなかったようだ。


まあ、色々や様々あったが、なんとか宇宙救助隊は発足した。

これからは、訓練と実地に励んでくれたまえ、諸君!


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