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不定形生命体とのファーストコンタクトです。 どっかで聞いたような話だってのは無しで。

ちょいと長くなりそうなので、次の回でも不定形生命体との会談は続きますよ。


さあ、ついに待ちに待った不定形生命体との出会いだ!

と、ワクワクしてた時期が俺にもありましたとさ。

ワケは後から分かるよ。


〈太陽フレアの回数が目に見えて減った。太陽の中の機械体を破壊してくれたのか?〉


不定形生命体からの連絡が入った。

もう、か細いテレパシーではなく強く、たくましい印象を受ける。

俺も返事を返す。


〈太陽の中で君たちの主星を操作していた機械体は太陽の中から撤去した。そのことで詳しい話をしたい。どうやったら君たちと会えるのか?〉


〈ちょっと待ってくれ。主星に向いていない側から我々の地下都市へ入れるようにする。準備が出来るまで、この星の夜の側に入っていてくれ〉


〈了解、連絡あるまで夜の側で待機する〉


さて、向こうの連絡待ちだ。


「プロフェッサー、この機械体について質問したい。これを作った生命体や文明って、どういうものだと思う?」


「はい、我が主。私の主観でありますが相当な技術力があるのは間違いないでしょう。超高温の太陽の中へ入れても壊れず故障せず、それも数万年以上の長きにわたって性能を発揮し続ける機械体というのは少なくとも地球や火星では開発することすら無理だと思われます。で、そこまで長きに渡り敵とする相手を憎めるものでしょうか?世代が交代しても憎み続けるような一種、狂った生命体と文明だと推測します」


ふむ、超技術を持った狂った文明か。

それが事実だとしたら困ったもんだな。

もう少しフロンティアやプロフェッサー、エッタとも、この話を煮詰めたかったが、その前に連絡が入る。


〈お待たせした。会談の用意が出来たので君たちの搭載艇が入れる入口を開ける。すまないが、そこまで大きな宇宙船は入口が狭すぎる。では今から20分後に入口を開く〉


おっと!

宇宙船の大きさまで精査されているのか。

じゃあ、ここは中型の搭載艇で行こう。


「全員で行くぞ!フロンティアは頭脳体、プロフェッサーもエッタもついて来い」


宇宙船の操縦は?

そんなもん宇宙船自体がやります。

パイロットがいなきゃダメな旧式じゃありません、フロンティアは。

俺達の乗った搭載艇は、ぽっかり開いた地下都市への入口へと降下していった。


入口を通ると果てのないような穴が下に見える。

搭載艇は、そのでかい穴の中を静かに降りていく。

かなり深いところに都市を作ったな、これは。

数kmあるかも知れない。

かなりの時間、降下すると、ようやく下方に光が見えてくる。

ここまで深くしないと太陽フレアの大きな物には抵抗できないのか?


俺達は、ついに地下都市の宇宙港へ到着する。

俺達の搭載艇の他にも様々な宇宙船が停泊していた。

一様でないデザインだが何か共通項のような物も感じられる。

これが宇宙を飛び回って宇宙法を伝えまわっていた頃の不定形生命体の宇宙船だろうな。

俺は、そう思った。


〈到着した。貴方方は何処にいる?〉


〈もう少ししたら君たちの搭載艇のポジションへ到着する。そこで会おう〉


ということで俺達は搭載艇を出る。

人体に有害な細菌やウィルス、呼吸器に障害を及ぼす希ガスが含まれていないことはチェック済みだ。

妙な形の浮遊物が見えてきた。

ブロックを赤ん坊が勝手に積み上げて、それをぶん投げたようなデザインだ。

その空飛ぶガラクタ(?)は俺達の近くに来ると、降下して着陸する。

あると思えなかったキャノピーが開いて、ガラクタが扉となり、開く。


そこから出てきたのは、黒い粘液の塊。

20世紀の米国人や、その世紀末から数10年くらいの日本人なら某ラヴクラフトの液体生命を想像するかも知れないな。

しかし、俺が想像したのは上記の時代の日本漫画家、横山某氏の漫画に登場する「ロ○ム」であった。

いやー、昔のビブリオグラフ愛好者で本当に良かったよ。

3つのしもべの一つに会えるとはね。俺の好意が分かったのだろう、粘液の塊は意外な驚きで、


〈おや?あなたは私の姿をみても嫌悪感を抱かないのですか?初見で嫌悪の感情にさらされるのは慣れていますが、こうも好意的な感情を向けられたのは、あなたが初めてですよ〉


ふっふっふふふふ。

古代日本人のイマジネーションを舐めちゃいけない。

たとえラヴクラフトの邪神群だろうが日本人の「萌え」には敵わないのだ。


〈はい、少なくとも私は、あなたに好意を抱いています。大昔、私の星で描かれていたコミックというものの一つに、あなたのような不定形生命体を使役する正義の主人公が活躍するものがあったのですよ〉


〈そんな昔から、あなたの星では私達の事が知られていたのですか?〉


〈うーむ、どうでしょうか?作者の想像力にしては、あなたの姿や色は、あのコミックシリーズに似すぎているような気もしますが……あの頃、我々の星には、ようやく自分の星の衛星に到着するのが精一杯の宇宙ロケットしか無かったはずなんですがね〉


〈そうですか。我々は、ここに引きこもるまでは長い間、宇宙のそこかしこに宇宙法を伝道してましたからね。遭難した一体の我々の同族が、その方とお会いした可能性は、けして無いとは言えません〉


おおっと!

驚愕の事実!

そう言えば横山某先生、漫画に出てくる宇宙船とか、かなりスマートなデザインだったな。

不定形生命体にアドバイス貰ってたのか?


〈その可能性は、ありますね。でも、その話ですと、あなた達は何にでも変われる生命体であるということになっていましたが、もしや?〉


〈おお!よく分かりましたね。その通りです。大昔の先祖たちは不定形の粘液の塊でしたが我々も進歩します。細胞を組み替えて短時間に様々な生命体へと変われるようになりました。例えば、このように!〉


グニャッと変形したかと思うと、グニャグニャとうねるように、ある形に変化していく……


「ア、あ、あー。いかがでしょうか?」


うわ!

俺になっちゃった。

双子じゃない、俺のそっくりさんでもない正真正銘の俺が目の前にいる。

ドッペルゲンガーだな、こりゃ。


「す、すごい能力!すごいです!横山某先生も同じ描写をされてましたが……本当に、あなたの同族の方に会っていた可能性が高いですね」


「まあ、長時間、この姿でいることは出来ませんが。まあ、100時間くらいは大丈夫ですよ」


すごい、不定形生命体って!


後の話は次回へ続きます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 懐かしいバビル○世のロ○ムが出てくるとは笑笑
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