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Angel In Online  作者: 一狼
第15章 Brave
71/84

65.殺す覚悟と殺される覚悟

 俺はGGに止めを刺すために右手の妖刀村正を頭上に掲げる。

 GGのHPは残り僅か。

 多分この一撃でGGを倒すことが出来るだろう。


 GGは大人しく俺の止めを待っている。

 今は麻痺1状態なので動けないので大人しくしているが、多分麻痺状態でなくても俺の一撃を大人しく受け入れるだろう。


 俺がこの一撃を振り下して『勇気ある王』――GGを殺してエンジェルクエストをクリアすれば――


 そこでふと考えてしまう。


 俺がGGを殺す?


 エンジェルクエストクリアの為に人を殺すのか?


 それでいいのか?


 考え出したら止まらなくなってしまった。

 人の命を奪う事、生きてここを出る事、他の人に手を汚させたくない事、同じことをぐるぐる考えてしまう。

 今まで敢えて考えないようにしていたのか、いざ実際に人の命を手に掛けようとしたときに人を殺すことの恐怖が俺に襲い掛かってきた。


「・・・・っ!」


 ただ右手の妖刀村正を振り下せばそれで終わりだ。

 だがたったそれだけのことが出来ないでいた。


 何時まで経っても来ない一撃に流石に不振に思ったGGが顔を上げて俺を見てくる。


「おい、どうした。とっとと止めさせよ」


「・・・分かっているわよ」


 そうは言うもののどうしても刀を振り下すことが出来ないでいた。

 頭ではやらなきゃいけないと分かっているが、感情が追いついてこない。


「・・・ちっ、まさかここにきて怖気づいたのか。

 フェンリルにはそれなりに期待はしていたんだが、な。所詮そこまでの奴だったって訳か・・・」


 そう言いながらGGは起き上がる。

 麻痺状態はとっくに解けていた。それでもGGは止めを待っていたのだ。

 俺はGGが立ち上がるのを黙って見ているしかなかった。


「俺に止めを刺せないんならもういいぜ。

 代わりに俺がお前に引導を渡して俺はこの世界で生き続けてやるよ」


 GGはアイテムストレージから剣と盾を取出し装備する。


「フェンリルを殺せばもう俺を殺せる奴は居ない。そうなればもうAI-On(アイオン)は俺の天下だ。

 ああ、フェンリルを殺す前にあいつらを殺しておくか。下手に敵討ちと復讐心に走られたら流石に手こずるからな。

 丁度いいところに1人現れたしな」


 GGが入口の方を見るとそこには鳴沢が戸を勢いよく開けて入って来たところだった。


「フェル!」


「さて、まずはベルザから片づけるか」


「そんな事させない!」


 GGが鳴沢の方を振り向いて駆け出そうとした瞬間に俺はその進路に割り込んでGGの行く手を阻む。


「ああん? 俺に止めを刺せないような人間が邪魔するんじゃねぇよ。

 今さらどうやって俺を止めるんだ?

 何も出来ないんだったら・・・大人しくしてなっ!」


 GGの言う通り割り込んだはいいものの、俺はそれ以上何も出来ないでいた。

 そこへGGは進路上の俺を排除すべく思いっきり蹴り飛ばして壁に叩きつける。


「ぐぅっ!」


 壁にガダンッと叩き付けられると壁のどんでん返しの隠し扉が作動して俺は壁の向こう側へと追いやられてしまった。

 思わず壁を叩くが一方通行の扉らしくこちら側からは開かなかった。


 くそっ! 俺は何をやっているんだ!


 俺が躊躇ったせいで今鳴沢がピンチに陥っている。

 ここが一方通行の隠し扉なら別ルートで再び天守閣に向かわなければならない。

 だがその間にも鳴沢が倒されないとは限らない。

 今ここで別ルートから移動することは鳴沢の死を意味している。


「くそっ! 邪魔するなよ!」


 俺は八つ当たり気味に隠し扉を斬りつける。

 ここで躊躇っている暇があったら少しでも早く別ルートからでも天守閣に向かわなければならないのに、俺は自分の行動にイラついていた。

 そこで俺は先程八つ当たりで斬りつけた隠し扉に傷が入っているのを見つける。


 通常であれば建物の壁は破壊不能オブジェクトとなっており、どんなに攻撃しようと壊すことが出来ないようになっている。

 その反対に破壊可能オブジェクトも存在する。

 こちらはある一定以上の攻撃を加えると永久に破壊することが出来るというものだ。

 そして一部例外ではあるがその2つの中間で再生可能オブジェクトというのも存在する。

 地面とかが再生可能オブジェクトになっている。

 火属性魔法や土属性魔法で地面を破壊・変形をすることが出来るが、時間が経てば元に戻るという仕組みになっているのだ。


 俺が今斬りつけた隠し扉は、傷が入ったという事は破壊可能オブジェクトか、再生可能オブジェクトと言う事だ。


 俺はそれが分かると剣舞(ソードダンス)で思いっきり隠し扉を斬りまくる。


「うああああああああああああああああっ!!!」


 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!! バガンッ!!!


 俺は隠し扉を破壊し再び天守閣の中に入る。


 そしてそこで見たものは鳴沢がGGの剣によって喉を貫かれているところだった。


 喉を斬りつけられれば数秒間言葉を話すことが出来なくなる。

 それは魔法を使う職業にとっては致命的隙となる。

 そして何よりも喉は人体の急所の一つであり、AI-On(アイオン)においてはクリティカルポイントの一つだ。

 下手にクリティカルポイントを斬りつけられれば一撃でHP全損もありうるのだ。


「っ! GG――――――――――――――――――――――っ!!!!」


 その光景を見た俺は我を忘れGGにプチ瞬動で一気に間合いを詰める。


 俺に気が付いたGGは剣から手を放し、鳴沢を突き飛ばして向かって来る俺に左手で盾を構える。

 俺はプチ瞬動で近づきながら右手の妖刀村正でGGの盾を弾き、そのまま左手の月読の太刀をGGの体に突き刺す。

 そしてGGを突き刺したままプチ瞬動の勢いで突進して、GGを壁に叩きつけそのまま刀ごと壁に縫い付ける。


「がはっ!」


 GGは俺の突進突きと壁に叩きつけられた衝撃でHPが削られるが、俺はそのままGGに構わずにすぐさま踵を返して鳴沢の方へと移動する。


「ベル!」


 鳴沢の喉に刺さっていた剣を抜き取り、鳴沢の様子を伺う。


「ごほっ、ごほ、うん、大丈夫」


「大丈夫って・・・喉に剣が突き刺さっていたのよ。HPだって下手すれば全損してたかも・・・」


 そこで俺は鳴沢のHPを見て驚愕する。

 鳴沢のHPはクリティカルポイントを貫かれたにもかかわらず、一切減ってはいなかったのだ。


「どういう・・・こと・・・?」


「その剣・・・攻撃のための剣じゃなく、回復用の剣みたいよ。

 GGがどういうつもりでそれを使ってきたのかは分からないけど・・・」


 鳴沢に言われて抜き取った剣を見てみる。


 治癒の剣

 カテゴリー 剣

 攻撃力   300

 耐久力   390/1000

 ※RARE ITEM

 ※譲渡可能/売却可能/破棄可能

 ※アビリティ:ダメージHP転化(この剣で攻撃はダメージの分だけHPが回復する)


 ダメージHP転化・・・!?

 するとGGは始めから鳴沢を殺すつもりはなかった・・・?


 俺は思わずGGの方を振り返る。


「はっ! やればできるじゃねぇか。始めっからそうしろってんだよ。

 いいか、絶対エンジェルクエストをクリアして外の世界へ戻れよ。お前はもうそれしか許されないところまで来ているんだ」


 GGはとっくにHPが0になっており、身体(アバター)の構成が保てなくなり光の粒子に変わろうとしていた。


「あの世からフェンリルがエンジェルクエストをクリアするのを願っているぜ。

 ―――じゃあな」


 GGはそう言ってそのまま光の粒子となって消え去ってしまった。




 ――エンジェルクエスト・Braveがクリアされました――


 ――Gの王の証の所有者が死亡したことにより、エンジェルクエスト・Goldがリセットされました――


 ――Jの王の証の所有者が死亡したことにより、エンジェルクエスト・Junkがリセットされました――


 ――Rの王の証の所有者が死亡したことにより、エンジェルクエスト・Roundがリセットされました――




◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 その日の夜、俺はギルドホームの真っ暗な自分の部屋のベッドの上で膝を抱え込んで蹲っていた。


 コンコン


「フェル、入るわよ」


 鳴沢がドアを開けて俺の部屋の中へ入ってくる。

 無言のまま鳴沢は俺の隣に腰を下ろす。


 どれくらいの時間が経ったのだろう。お互い言葉を発せずにただただ黙っていた。


「・・・大丈夫?」


「・・・大丈夫、なのかな? よく分かんない」


 エンジェルクエストをクリアするためにはどうやったって『勇気ある王』――GGを殺す必要があった。

 それは頭では理解している。だけど人を殺したという事実が言いようのない恐怖となって俺の心にわだかまっていた。


「わたしね、最初は仕方のない事だから、これはみんなの為だからって悲劇の主人公になった気分で自分に酔っていたのかもしれない。

 前に『軍』の軍曹に自分の正義を押し付けて自分に酔っているだろって言ったけど、わたしも偉そうなこと言えないね」


「そんなことない。フェルは軍曹とは違うよ。

 軍曹は自分のプライドを満足させることしか考えていなかったけど、フェルはちゃんとみんなの事考えてくれたでしょ」


 そう言ってもらえると、少しは気持ちが救われる。

 自己満足の為にGGを殺したわけじゃないんだ。


「・・・わたしも自分に酔っていたのかもしれないけど、GGも自分に酔っていたのかもね。

 GGはね、初めからわたし達に倒されることを望んでいたのよ」


「え? ちょっと待って、それどういう事?」


「自分が自ら悪者になって殺されようとしたのよ。

 GGを殺すのに憎んでいた方がトラウマにならないだろうって、わざわざわたし達の気持ちまで考慮してくれてたみたい」


 GGが『GGG(スリージー)』で酷いことをしていたのも、全てはこのためだったのだと思われる。

 実際、システム上仕方のないこととはいえGGを殺さなければならないという事は、普通の人にとっては心に罪の十字架を背をわせる事になる。

 GGはそれを軽減させるために敢えて憎まれ役を買って出たのだと予測できる。


 今となってはGGが本当にそう考えていたのかは謎のままだ。


 あの時のGGの死にたくないと言った言葉には嘘偽りはない心の叫びだったはずだ。

 だからあの傍若無人の振る舞いも本当にこの世界で生きていくためのものだったのだろう。


 生きて出られないのならこの世界で自由に生きる。そしてその自分の暴走を止めてくれる奴を求めていた。

 そう考えるとGGの行動は納得できるものがある。

 特に最後の攻撃を躊躇った俺を後押しするために、鳴沢に治癒の剣なんかで攻撃を仕掛けたふりをして俺を挑発したのだろう。


 そしてそれが分かってしまったからこそ、GGを殺したことの事の重さが俺に圧し掛かっているのだ。


「GGも馬鹿ね。わざわざ自分から悪者になりに行くなんて」


「うん、馬鹿よね。でもわたしは『勇気ある王』に相応しい行動だと思うよ」


 そう、彼はその名の通りみんなの犠牲になるために自ら死を選んだ『勇気ある王』だ。

 俺はGGの犠牲を無駄にしないためにも必ずエンジェルクエストをクリアしてAngel In Onlineの外へと出なければならない。


 その後はお互い暫く沈黙が続いたが、鳴沢が意を決意したように話してくる。


「・・・ねぇ、フェルはあたし達に手を汚させたくない、責任は自分一人で背負うなんて言ってたけど、あたしはまだそれには納得していないわ」


 まぁ、そのあたりは俺が強引に話を進めたからな。


「フェル・・・ううん、大神君。あたし大神君の事が好きよ」


「はぇ!?」


 ちょ!? え!? はぁぁ!? いきなり何を言っているんですか鳴沢さん!?


「あたしは好きな人が苦しんでいるのを見たくない。

 そして好きな人に殺しの罪を全て投げつけたままのうのうと生きていくつもりも無いわ」


 鳴沢はそう言いながら俺に抱き着いてくる。


「大神君、自分一人で抱え込まないで。

 あたしにも一緒にその重さを背負わせてよ。

 一人で背負うよりは二人で一緒に背負おうよ。

 あたしがずっと大神君の傍にいるからさ」


 ああ、馬鹿だな俺は。

 鳴沢に手を汚させたくない、苦しさを味あわせたくないと言って自ら手を汚したのに、結局別の意味で鳴沢を苦しませているじゃないか。


 そうだな。

 生きて外に出れば俺一人でその罪の重さに耐えきれないかもしれない。

 だけど鳴沢が傍に居てくれるなら、一緒に俺の罪を背負ってくれるなら、俺は頑張れるだろう。

 惚れた女の為に精一杯生きてやろうじゃないか。


 「・・・鳴沢、ありがとう」


 俺は鳴沢をギュッと抱きしめる。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇


1月15日 ――168日目――


「フェンリル、大丈夫か?」


「お姉様、無理しないでもいいんですよ?」


「今日は休んでいてもいいんだぞ」


 ギルドホームの会議室に集まっていたみんなは、部屋に入るなり俺に気を使う言葉を掛けてくる。


 はは、結局鳴沢だけでなくみんなにも心配をかけてしまっているわけか。


「わたしは大丈夫よ。こんなことでへこたれている暇はないからね。

 ここまで来てしまった以上、わたしには後ろを振り返って嘆いている暇はないわ。みんなにも辛い道を歩ませることになるかもしれないけど付いて来てもらうからね」


 俺の言葉にみんなは当たり前だとばかりに笑顔で頷く。


「さて、早速だけど復活した王の対処をしないとね。

 まずは何と言っても早急にGの王を何とかしないと」


 俺の言葉にヴァイが思い出したように声を上げる。


「ああ! ジパン帝国の姫さんを狙うもう1人のロリコンの王か!」


「そう、『黄金の王』は再びジパン帝国のシャルロット王女を狙ってくるわ。

 その対処としてわたしとヴァイとヴィオ、後は『9人の女魔術師(ソーサレスナイン)』に連絡を入れて紺碧さんと真桜ちゃんにも応援を頼んだわ」


「あら、それだったらいっその事マリーやユニ君を呼んだらどうかしら」


 ヴィオの言葉に俺は一考する。

 そうだな、どうせなら水龍討伐PTで行った方がいいだろう。


「そうね、それならヴィオにマリーとユニ君に連絡をお願いしていいかな?」


「いいわよ」


「後は、『円卓の王・Round』だけど、これはベルにお願いするわ。

 疾風と唯ちゃんはベルと一緒に付いて行って。

 ベル、『9人の女魔術師(ソーサレスナイン)』と『大自然の風』にも応援を頼んだからメンバーを選定して『円卓の王』の攻略をお願いね。

 前の時は12騎士相手にトーナメントをやったって話だから、多分また12騎士が相手になると思うわ」


「了解したわ。

 ただ砂漠の王国までの移動にかなり時間が取られるけど、こればかりはしょうがないわね。

 フェルはあたしが居なくても無茶はしないでね。


 ・・・折角両想いになれたのにいきなり離れ離れなんて・・・」


 最後の方は小声で喋っていたので他のみんなには聞こえていないが、サブマスターとして俺の隣に座っているので俺の耳にはしっかりと聞こえていた。

 まぁ、出来れば俺もずっとそばに居たいんだが、戦力的にPTを分けるのでこればかりは仕方がない。


「『廃棄の王』はクリスをPTリーダーにして残りのメンバーで対処をお願いね」


「ああ、了解した」


「あ、あとるるぶるさんだけは申し訳ないんだけど、引き続きAの王の情報を集めて欲しいの。

 Aの王は残りの25人の王が倒された時点で現れるという噂だけど、一応Bの王『勇気ある王』が倒されたことによって何か情報が出てきてるかもしれないからね」


 クリスをリーダーにしてPTを組むと、舞子、天夜、アイちゃん、リム、ジャスティ、フリーダと7人になってしまうのでるるぶるさんが余るのだ。


「気を遣わなくても大丈夫ですよ、マスター。

 私はもともと情報収集でお役にたつために『Angel Out』に入ったんですから。

 それにマスターの言う通り確かに『勇気ある王』が倒されたからAの王の情報も出てきてもおかしくありませんからね。調べごたえがありますよ」


 俺達はそれぞれ復活した王を倒してAの王に備えることにする。

 因みに王の証を3つ手に入れてもユニーク職の勇者(ブレイヴ)には転職することは出来ない。

 今の時点では、唯一の(ユニーク)職と言うことで勇者(ブレイヴ)の職業はGGだけだという事だ。


 今の時点で、と言うのはBの王の証が関係しているからだ。(Bの王の証は俺が持つことになった)


 Bの王の証

 『勇気ある王』を倒した証。

 ※QUEST ITEM

 ※譲渡不可/売却不可/破棄不可

 ※王の証を所有した状態で死亡した場合、勇者の職業の権利が復活します。

 ※特殊スキル「Brave」を使用することが出来る。

 効果:24分間、PTメンバーに勇気を与えることが出来る。

    特殊スキル効果終了後、24時間「Brave」のスキルが使用不可能になる。



 王の証にもある通りBの王の証が存在している以上、誰もがユニーク職・勇者(ブレイヴ)に転職することが不可能なのだ。

 もし仮に勇者に転職したければ、Bの王を持つ俺が死亡して勇者職業の権利を復活させなければならない。


 こうして見るとこの王の証とユニーク職の関係を作った人物はものすごく悪趣味だと思われる。

 勇者になるには王の証が3つ必要で、勇者になったら『勇気ある王』に立場が変わる。

 『勇気ある王』を倒せばBの王の証が手に入るが、3人の王が復活する。

 そしてBの王の証を持った人物が死ねば勇者職は復活するけど、同時にまた別の3人の王が復活する。


 まるで死の螺旋だ。


 これがデスゲームでない通常のVRMMOだったらそれなりに面白い趣向だったのだろう。

 だけどデスゲームになった以上、これは俺達をクリアさせないために殺しにかかっているようなものだ

 これを考えた奴、そしてAngel In Onlineの最高責任者の榊原源次郎が何を考えてこのようなシステムを作り上げたのだろうか。

 もしできる事なら現実の世界に戻った時に聞いてみたいものだ。



 何はともあれ俺達は何の問題もなく、復活した3人の王を倒す。


 ――これで残りの26の王はAの王ただ1人――




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 エンジェルクエスト攻略に関するスレ22


492:シルクロード

 おおおおおお! 遂に! 遂に! 26の王は後1人!!


493:光の王子

 や、その前に復活した3人の王が居るけどね


494:ジャッジメント

 >>492 気持ちは分かるが先走り過ぎだw


495:虎武流

 気が付いたらBの王が倒されてた・・・

 と言うか、いつBの王の正体が分かったんだ?

 誰か情報PLZ!!


496:西村ちなみ

 う~ん・・・ちょっとBの王の事は言いづらいんだよね~^^;


497:ジエンド

 >>495


 つ ギルド間情報交換スレ10

 つ ギルド間情報交換スレ11

 つ AI-Onの鬼畜仕様についてpart5

 つ エンジェルクエスト攻略に関するスレ21


498:バーニ・リザー

 俺はあいつが倒されて清々したね


499:クリムゾン

 ん? 498は何かあったん?


500:クロワッサン

 自業自得と言えばそれまでだけどね


501:バーニ・リザー

 俺の彼女があいつのギルドに入ってたんだよ

 くそっ、あいつに慰み者にされてたと思うと・・・!


502:ジャッジメント

 つーか、手を出されていることに気が付いてなかったのかよ


503:バーニ・リザー

 いっつもギルドに行っても門前払いされてたし、メールでも大丈夫だって送ってきたから分からなかったんだよ

 それがまさかこんなことになってるなんて・・・

 ああ! 暢気に構えてたあの時の俺をぶん殴ってやりたい!


504:ライジングサン

 気持ちは分からないわけでもないけど・・・


505:華麗なる管理人

 ここはエンジェルクエスト攻略に関するスレです

 議論討論に関することは他のスレにてお願いします


506:バーニ・リザー

 ああ、すまん

 ちょっと熱くなり過ぎた


507:シェリー

 そう言えば復活した王を倒して王の証3つ手に入れたらユニーク職勇者に転職できるのかな?


508:西村ちなみ

 うわ~よくこんなことになってるのに勇者になろうと思えるね


509:光の王子

 王城に居るユニーク職転職NPCのピエロに確認したけどユニーク職は全て固定されてしまったから転職は不可能だって


510:シェリー

 あ、いや、だってもう『勇気ある王』は倒したんでしょ?

 だったらもう勇者は大丈夫なのかなって


511:素晴らしき世界

 ああ、じゃあもう王の証をわざわざ3つ集める必要は無いのか


512:シェリー

 なんだユニーク職にはなれないんだ


513:ジエンド

 ちょい補足

 Bの王の証所持者が死亡すればユニーク職の勇者の権利が復活するらしいぜ


514:クロワッサン

 あれ? でもそれって・・・『勇気ある王』も復活するって事じゃない?


515:クリムゾン

 それだけじゃないな

 今Bの王の証持っているのってソードダンサーだろ

 彼女が死亡すればまた3人の26の王が復活するってことだぜ


516:シルクロード

 そして『勇気ある王』が倒されてまた3人の王が復活、とw


517:シェリー

 うわ~ 何その鬼畜仕様

 うん、前言撤回

 勇者になんてなるもんじゃないわね


518:ジャッジメント

 そう言えば復活した3人の王はどうなっているんだ?


519:光の王子

 今攻略ギルドが中心になって再びクリアに向けて攻略し始めたみたいだよ


520:素晴らしき世界

 ほうほう

 因みにどこがどうなっているのか分かる?


521:ジエンド

 えーと、確か『黄金の王』は『Angel Out』と『9人の女魔術師』と『Noble』の合同PTが向かったって聞いたな


522:ファイト1発

 『円卓の王』は『Angel Out』と『9人の女魔術師』と『大自然の風』の合同PTで攻略するって話だな


523:ハルシフォム

 残った『廃棄の王』は廃棄の塔で『Angel Out』の目撃情報があるけど

 その他にも別のギルドやPTがこぞって向かっているみたいだよ


524:素晴らしき世界

 なんだ、俺達が入り込む余地が無いじゃないか


525:ジャッジメント

 俺達が何もしなくても攻略ギルドが進んでクリアしてくれる件

 と言うかこれでいいのか、俺達?w


526:ライジングサン

 デスゲームクリア間近で下手に動いて死んでしまうよりはマシかとw


527:光の王子

 だけど確かに少し悔しいものもあるね

 折角だから廃棄の塔に向かってひと暴れでもするか?


528:シルクロード

 よっしゃ! 最後のひと暴れと行くか!


529:ライジングサン

 そしてこれが528の最後のセリフだった・・・


530:シルクロード

 ちょ!w マジ止めてくれ!!www






ストックがなくなりましたので暫く充電期間に入ります。


                          ・・・now saving


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