57.氷の都市と雪女
コンコン
氷で覆われたドームの壁を叩く。
氷のドームの奥には凍らされる瞬間まで普通に生活していた住人がそのままの姿で閉じ込められていた。
「どう見ても完全に凍ってるわね」
この凍らされた都市を見て何かのイベントかと考えを巡らせる。
「これって雪女の仕業・・・なのかな?」
「多分そうでしょうね。このあたりでこのような事が出来るモンスターと言えばユニークボスの雪女くらいでしょう」
リムの呟きにるるぶるさんが答える。
あー、そう言えばヴァイが以前ツンデレ平原には雪女が居るって言ってたっけ。
あれ? でもそうなると・・・
「でも変じゃないですか?
これだけ大きな氷のドームに覆われているのに今まで誰にも発見されなかったのってありえないですよ」
そうなのだ。フリーダの言う通りツンデレ平原は今の上位陣プレイヤーには決して来れないLvではない。
現にユニークボスの雪女が居ると言う情報が得られているのだ。
なのにこの氷のドームに覆われた都市の事は一つも噂を聞かないのだ。
「多分夜の国と同じである一定のLvじゃないと発見できないようになってるんじゃないかな?」
なるほど。言われてみれば夜の国も一定のLvになるまで発見されないように幻影の魔法が掛けられてたな。
「唯ちゃんの言う通り多分Lvが高くなければ見えないようになっていると思われるわ。
ただ・・・このエンジェルクエスト終盤になっても発見できなかったとなると、かなりのLvが必要だってことね」
「そうですね、少なくとも累計Lv80以上は必要なみたいです。今PTから抜けて見てみましたが私には見えませんね」
るるぶるさんは一時PTを離脱してこの氷の都市の状況を確認する。
どうやらPTを組んでいると高Lv者に引っ張られる形で都市の状況を見ることが出来るみたいだ。
元々情報屋でソロで活動していたせいか、るるぶるさんは今俺達『Angel Out』の中では一番Lvが低い。
俺達は全員累計Lv80を超えているが、彼女だけはまだ累計Lv78だ。
まぁ、ソロで情報を集めながらでそのLvなのはそれはそれで凄いのだが。
「それでどうするの? お姉ちゃん?
この氷で覆われた都市って玄武には関係ないってことだよね?」
アイちゃんの言う通りこれが雪女の仕業であれば俺達が探している玄武とは何の関係もないことになる。
だが一見遠回りかもしれないことが意外と近道なのかもしれないのはよくあることだ。
RPGでは目的の物を手に入れるために遠回りしながら一定の手順を踏むように。
「いえ、この都市を開放しましょ。
確かに玄武とは関係ないかもしれないけどもしかしたら玄武の情報がこの都市の中から出てくるかもしれないわ。
それにもしかしたらAの王とBの王の情報もあるかもしれないし」
そう、このLvになって解放される都市だ。もしかしたらこういうところに最後の王の情報が隠されてるのかもしれないしな。
「るるぶるさん、雪女に関する情報は?」
「はい、ユニークボスである雪女はここから西のプレミアム共和国の国境付近の小屋に居るそうです。
見た目は小柄な美少女で、男性プレイヤーを魅了で惑わす状態異常を掛けて来るそうですが・・・このPTなら問題はありませんね」
意図したわけではないが、偶然にも今の俺達のPTは全員が女性プレイヤーだ。
このPTなら魅了される心配はないだろう。
一般的な物語にある雪女も男を魅了して氷漬けにしてしまうから、男性プレイヤーにとっては天敵だ。
ヴァイや天夜はものの見事に雪女に魅了される姿が目に映る。クリスが惑わされる姿が想像できないが見てみたい気もする。疾風に至ってはメロメロになる姿が想像すらできない。
もっとも魅了耐性のアクセサリーを付ければそれほど脅威ではないが。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
俺達はるるぶるさんから得た情報に従い氷漬けの都市から西へ半日ほどかけて移動する。
氷漬けの都市を発見するのに既に半日を費やしているので、今は日が落ちかけて鮮やかな夕焼けの景色が拝める。
もうそろそろプレミアム共和国の国境付近と言うところで小さな木で出来た家を発見する。
「あれが、雪女の居る家・・・かな?」
「たぶん間違いないかと」
「と言うか、普通に家で暮らしてるんだ・・・」
なんか色んなユニークボスと会ってるせいか最近違和感が無くなってきたけど、モンスターが普通に家で暮らしてるって・・・ないよなぁ。
「これって実は雪女とは関係ないNPCの家だったりして・・・」
ふと思いついたようにリムが呟く。
「・・・ありうるね。
取り敢えずもし雪女だった時の為に戦闘準備だけはしておいた方がいいわね」
俺はみんなに指示をだし各自Buff等を掛け戦闘準備を促す。
一応隊列は俺を先頭にして、その後ろに聖騎士のジャスティと闇騎士のアイちゃんと武棍闘士の唯ちゃんを横一列に、暗殺者のるるぶるさんを挟んで武装法師のリムと魔導戦士のフリーダを配置する。
みんなの準備が出来たところで家のドアをノックする。
「はぁ~い、どちら様ですか~?」
出てきたのは俺と同じくらいの身長で地面まで届きそうなストレートの銀髪の美少女だった。
着ている服と言えば、シンプルでありながら高級感を漂わせた真っ白のノースリーブのワンピースを身に着けている。
おまけに靴も何も履いていない裸足だったりする。
これは確定・・・だな。いくら家の中に居たとはいえこの雪景色の中でその恰好はありえないだろう。
「あー、ちょっと雪女を探しているんだけど・・・貴女で間違いないかな?」
「う~ん、出来れば雪女じゃなく、ここは美しくスノーメイデンって呼んでほしいなぁ。
あたしはスノーメイデンのイヨ・カンヌよ。
貴女のお探しの人物が雪女って事だったらあたしの事ね。それでどういったご用件かな? 最近は狼さん達しか来ないから人のお客さんは久しぶりなのよ。面白い話だったら大歓迎よ」
狼さん? 何の事だろ?
いや、それよりもこの様子だと案外話が通じるのか?
上手くいけば戦闘なしで片が付くかもしれないな。
「ここから東にある都市の事なんだけど・・・氷のドームに閉じ込められているけど貴女の仕業なのかな? 出来ればあの氷を解いて欲しいんだけど」
俺のお願いを聞くと雪女――スノーメイデンのイヨはあからさまにがっかりした表情になり、既に俺達に興味を無くしたような態度を取り始めた。
「なぁんだ。どんな面白い話かと思ったら・・・
残念だけど帰ってくれる? あれはあたしの美しい作品の一つなの。それを壊せだなんて。次来るときはもっと面白い話を持ってきて頂戴」
「こっちもはいそうですかって訳にもいかないのよ」
俺は左右の腰の刀をそれぞれ抜き、戦闘の構えを取る。
それに合わせてみんなも各自武器を構えて戦闘開始に備える。
「あら~? 力ずくって訳? 確かにあたしが消えればあの氷のドームも消えるけど、スノーメイデンの力を舐めない方がいいわよ。
本来なら逞しい男しか作品にしないけど、特別に貴女達もあたしの作品の一つに加えてあげるわ」
イヨの言葉と同時に、イヨの体は氷の鎧に包まれる。
氷の鎧、スカートの様な氷の腰当、氷の手甲、氷の脛当て、氷の冠――雪女と言えば術者のように思われるが、今のイヨの姿はさながら氷の女戦士のように見える。
俺は先手必勝とばかりにプチ瞬動ですれ違いざまにイヨを斬りつける。
だがいつの間にか生成した氷の剣により防がれてしまった。
俺の攻撃が戦闘開始の合図となり、後ろに控えていたジャスティとアイちゃんと唯ちゃんの3人同時でイヨに襲い掛かる。
だがイヨは冷静を保ち静かにその場に佇む。
「歩法・粉雪」
アイちゃんの水鳳の剣と氷月の剣を左右にステップして躱す。躱した隙をついてジャスティの逆袈裟斬りの攻撃を僅かなバックステップで避け、唯ちゃんの槍スキル戦技・三連閃をターンステップで全て躱す。
次々襲い掛かる攻撃をイヨはまるで舞い散る雪のようにひらひらと躱し続けた。
その動きはまるで俺の剣舞のようだった。
「くっ! これならどう!? シャドウバインド!」
痺れを切らしたアイちゃんが闇属性魔法の影縛りを放つ。
シャドウバインドは土属性魔法のバインド同じく3秒ほど動きを封じ込める魔法だ。
影より伸びた触手がイヨを縛り上げる。
「歩法・淡雪」
だが次の瞬間その場から溶けるようにイヨの姿が消えた。
瞬間移動かよ!? ってそれはもう歩法じゃねぇだろ!?
一瞬で唯ちゃんの背後に回ったイヨは唯ちゃんの背後から顔を手に取りそっと口づけをする。
「デスキッス」
イヨを見失っていた唯ちゃんは背後からのイヨの攻撃?にあっさり手に掛かってしまう。
そして口づけに抵抗する暇もなく唯ちゃんの体はビキビキと音を立てながら氷に閉じ込められてしまった。
「なっ!?」
HPバーの下に表示される唯ちゃんの状態見れば、動きの鈍くなる凍結状態じゃなく、氷結状態となっていた。
「・・・流石は雪女って言ったところかしら。まさか雪女らしく口づけで氷漬けにされるとは思わなかったわ」
「あら、スノウメイデンって呼んでって言ったでしょ。
うふふ、その氷は火属性の攻撃なら簡単に溶けるわよ。ただしそれ以外の攻撃が当たったら粉々に砕け散って死んでしまうけどね」
おいおいおい、それって結構やばい攻撃じゃねぇか。即死攻撃とまではいかないが、それに準ずる攻撃だ。もしここで範囲攻撃でも来られたら・・・って言ってるそばから!
「アイスブラスト!」
イヨの氷の散弾の攻撃が俺とアイちゃんとジャスティ、そして氷漬けの唯ちゃんに向かって放たれる。
リムとフリーダは離れて援護していた為、イヨの攻撃の範囲からは外れていた。
るるぶるさんはいつの間にか姿を消している。隙をついてイヨを攻撃しようとしてるのだ。
ついこの間まで知らなかったが、暗殺者の職スキルにある暗殺スキルは隠密スキルとは違い戦闘中でも姿を隠すことが出来るのだ。
このままでは一つでも氷の散弾が当たってしまえば唯ちゃんは粉々に砕け散ってしまう。
しかもこのPTには盾役が居ないため盾スキルで唯ちゃんをかばうことも出来ない。
「マジックシールド!」
俺は圧縮呪文で即座に唯ちゃんの前に魔法の盾を展開し氷の散弾から守る。
代わりに俺は氷の散弾にさらされてHPを削られる。
「フリーダ! 唯ちゃんの氷をお願い!」
俺は追撃されないためにもプチ瞬動でイヨへの接近攻撃を行う。
だがイヨも尋常じゃない速度で俺に向かって突き進む。
「歩法・吹雪」
その移動はまるで俺のプチ瞬動と同じだった。
うおっ!? 何だこいつ!? まるで動きが俺と同じじゃねぇか!?
イヨの動きに動揺してしまった俺は、瞬動と瞬動のぶつかり合いで打ち負けてその場に転がる。
俺は慌ててその場から跳ね起き二刀流スキル戦技・十字受けの構えを取る。
ガキンッ!
転がった俺を見逃すはずもなく、追撃をしようとしたイヨの攻撃を辛うじて受け止めることが出来た。
「あら、意外と粘るわね。それにしても貴女面白いわ。歩法がまるであたしと一緒。 どちらが上か比べてみる?」
「それは興味があるけど、生憎今はあんたを倒す方が先なので遠慮しとくわ」
そう言いながら俺はイヨの剣を跳ね上げ、蹴りスキル戦技・回し蹴りで後ろへ弾き飛ばす。
イヨの背後からはアイちゃんとジャスティが向かってきていてそれぞれ攻撃を仕掛ける。
その向こうでは唯ちゃんがフリーダからの火属性の攻撃で氷漬けから脱出していた。
「くっ! 油断した・・・! もうこうなったら出し惜しみ何てしてられない!
――竜人化!!」
唯ちゃんはドラゴンブラッドスキルの戦技・竜人化を発動する。
瞳が窄み竜眼となり、左右のお団子状に結った髪から竜の角が生え皮膚の一部が竜の鱗のように硬質化する。
この状態になる事により身体能力が飛躍的に上昇する。
その気になれば背中から翼を生やし空を飛ぶことも、口から火を噴くことも可能だ。
このスキルの影響か、唯ちゃんは今では竜姫の二つ名が付いていたりする。
「はぁぁっ!」
瞬動にも勝るとも劣らない速度でイヨに向かって突進する。
アイちゃんとジャスティはイヨに牽制をし咄嗟に離れる。
「アイシクルランス!」
唯ちゃんの接近に気が付いたイヨはすぐさま迎撃の氷の槍を放つが、唯ちゃんは素手で氷の槍を弾き飛ばしそのまま接近して槍スキル戦技を放つ。
「雷鳴一閃牙!!」
唯ちゃんの放った戦技は雷付与が掛かっており、槍スキルの中でも最速の攻撃速度だ。
おまけに竜人化スキルで強化した突進速度も加わってイヨには躱すすべが無かった。
「がっ!」
唯ちゃんの槍がイヨを貫きHPを大きく削る。
イヨは慌ててその場を飛び退くが、その表情には若干余裕が無くなっていた。
「なかなかやるじゃない。でもこれならどうかしら? デスキッスは口づけだけの攻撃じゃないのよ」
イヨは剣を持たない左手の人差し指と中指を口に付け、投げキッスのように唯ちゃんに向かって左手を振る。
そこから放たれたのは青白い矢の攻撃だった。
唯ちゃんは先程の氷の槍のように素手で払いのけるが、攻撃が当たった瞬間に左腕が氷漬けになってしまった。
デスキッスの遠距離バージョンか。
「アイスブリット!」
すかさずイヨの放った氷の弾丸により唯ちゃんの左腕が砕け散ってしまう。
だが唯ちゃんは動揺を見せず、左腕を一瞥しただけで不敵に笑ってイヨに向かって攻撃を仕掛ける。
これに驚いたのはイヨの方だった。
イヨの目論見では片腕を失って動揺すると思っていたのだろう。
だがそんなのもお構いなしに唯ちゃんは果敢にイヨに攻め込む。
それに続いてアイちゃんとジャスティが左右から挟み込む。
イヨは動揺しながらも歩法・粉雪で辛うじて3人の攻撃を躱し続ける。
実は唯ちゃんが冷静にしていられた秘密は竜人化にあったりする。
竜人化を展開中は軽い興奮状態になり、戦闘意欲を増す精神状態に変化するのだ。
竜属性魔法にも似たような戦いを鼓舞するような魔法があるので、似たようなスキルのドラゴンブラッドにもあっても不思議ではない。
イヨには3人が接敵中なので俺は遠距離から魔法で援護をする。
同じようにリムとフリーダもそれぞれ魔法で攻撃を仕掛けるが、フリーダはここで奥の手を使ってくる。
「みんな、衝撃に備えて!
ファイヤーボール・フルバースト!!」
フリーダが放ったのは100を超える火属性魔法の炎の球だ。
無数の火の球は辺り一面に降り注ぎ、イヨのHPを大きく削る。
PTメンバーである俺達にはダメージは無いが、着弾の衝撃はあるのでフリーダはそれに備えろと警告をしたのだ。
フリーダの放ったのは増幅魔法のユニークスキルだ。
増幅魔法にはフルバーストとフルブーストの2つの魔法が存在し、使う魔法の前に増幅魔法を唱えて使用する魔法の効果を増幅するのだ。
実は青龍の戦いの後増幅魔法のスキルブックをドロップしていて、マリー達との話し合いの結果、『Angel Out』で役に立ててほしいと譲り受けたのだ。
俺としては主に魔術師系で構成されている『9人の女魔術師』か、マリー率いるギルド『Noble』に使ってほしかったのだが、マリー達は頑なに受け取りを拒否したのだ。
紺碧さん曰く、中堅どころの『9人の女魔術師』よりは攻略最前線の『Angel Out』の方が役に立つし、マリー曰く『Noble』は殆んどが接近戦寄りのギルドらしいので折角の増幅魔法は上手く使いこなせないだろうと。
紺碧さんやマリーの言いたいことは分からないわけではなかったが、別に最前線でなくても魔術師系に使っても良かっただろうし、『Noble』には魔術師系は1人も居ないわけじゃないので、別に『Angel Out』が特別に貰うものでもないと思ったのだがなぁ。
まぁ、折角譲り受けたので役に立てようとは思ったが、俺だけではなく他のメンバーもサブスキルは既にほぼ固定されていたのでジャスティとフリーダ達が加入するまでは倉庫の肥やし状態でマリー達には申し訳なかったのだが。
そんな訳で、サブスキルに余裕のあった2人は喜んでユニークスキルを受け取ったのだ。
そう、フリーダだけではなく、ジャスティも倉庫の肥やしになっていたユニークスキルを受け取っている。
火の球が降り注いだ一面は雪が解けて水浸し状態になっていた。
唯ちゃんはその水溜りの上を滑るように移動して片手で槍スキル戦技を放つ。
「旋風十字閃!」
「歩法・淡雪!」
イヨは瞬間移動で辛うじて躱してジャスティの背後に現れる。
すかさずデスキッスアローでジャスティの右手右足を氷漬けにし、剣スキル戦技・スクエアでジャスティの手足を砕く。
地面に伏せったジャスティだったがそこには悲壮感や悔しさなどは見られず、むしろ嬉々とした表情だった。
「来た来た来た! ここからはボクのターン!!」
砕かれたはずのジャスティの右手右足が煙を巻き起こしながら再生される。
「なっ!? 再生した!? 魔法も使わずに!?」
驚くイヨを余所にジャスティは剣を上段に構え突進する。
イヨは迎撃の為に剣スキル戦技・ワイドスラッシュを放つがジャスティの体は霧のように消えてしまう。
「ミストドライブ!」
体を霧状にして攻撃を躱したジャスティは、イヨの歩法・淡雪のお株を奪うようにイヨの背後に出現し剣スキル戦技・バスターブレイカーを解き放つ。
ジャスティが手に入れたユニークスキルはヴァンパイアブラッドだ。
彼女は敢えて昼に制限がかけられるスキルを欲したのだ。
ジャスティ曰く「制限付きの方が面白い」との事だった。
そして今は日が沈み夕暮れから夜の時間となっている。
ヴァンパイアブラッドスキルの影響により砕かれた手足は再生され、ステータスが2倍に上昇している攻撃はイヨにとっては致命的だった。
「がはっ、そんな・・・あり得ない・・・このあたしがここまで追い詰められるなんて・・・
せめて1人でも道連れに・・・!」
イヨはデスキッスで俺を氷漬けにしようと歩法・吹雪を使おうとするが、その瞬間辺り一面が光に照らされる。
今まで潜んでいたるるぶるさんが放ったライトの補助魔法だ。
そしてライトによる光球の魔法により照らされ出来たイヨの影にるるぶるさんは刀を突き刺す。
「影縫い」
影縫いは暗殺スキルの戦技で影を刺している間、相手の動きを封じ込める戦技だ。
但し、影を刺している術者もその場から動くことは出来なくなってしまうが。
そして封じ込めるのは動きであって魔法は影縫いには影響されない。
「くっ! このっ・・・!」
イヨは魔法で反撃に出ようとするが、それを見逃す俺ではない。
寧ろこのるるぶるさんの動きは予定されていたものだ。
るるぶるさんが影に潜みイヨの動きを封じ、その瞬間を狙い俺が対雪女の最大攻撃を仕掛ける。
「神降し! ヒノカグヅチ!!
バーニングフレア・クアドラプルブースト!
――天牙十字閃・火鎚!!!」
ズガァァァァァァァァァン!!!
ヒノカグヅチによって強化された火属性魔法と二刀流スキル戦技の魔法剣によりイヨは溶けるようにして光の粒子となって消え去った。
これであの都市の氷は解除されているだろう。
玄武の情報はもとより、Bの王やAの王の情報があればいいのだが。
「う~ん、ちょっとムキになりすぎちゃった・・・おまけに油断もしすぎ・・・
唯、反省・・・」
「そうかな? スノウメイデンのデスキッスはあれはやばかったから全力で倒すのは妥当だと思うよ?
ボクも夜にならなかったらちょっとやばかったと思うし」
「うん、流石に唯さんが氷漬けになった時は焦ったからね。あの攻撃はやばかったと思うよ」
唯ちゃんが今回の戦いを反省しているのをジャスティとフリーダがそれぞれフォローをする。
確かにデスキッスはやばかったよなぁ。即死攻撃は存在しないと思ってたらそれに近い攻撃あるんだからな。
「取り敢えず今日はここで泊って明日の朝一であの都市に向かうわよ。
ちょうど泊まれる家もあることだしね」
俺はイヨの住んでいた家を見てみんなに休息の指示を出す。
「え~~、折角夜になったのに休んじゃうの? 勿体ないなぁ・・・」
そう不満を言うのはジャスティだ。
まぁ、夜に真価を発揮するヴァンパイアブラッドだから今の時間帯が一番絶好調なんだろうけど。
それを分かってて選んだんだろうって突っ込みたいんだが。
俺達はイヨの家で一夜を明かした。
因みに雪女の家らしく、家の中には暖炉などの暖房器具は一切なかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ソードダンサーに関するスレ11
769:囁きの旅人
( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!
770:AVENGERS
( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!
771:フュージョンマスター
( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!
772:愚か者の晩餐
( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!
773:天夜
( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!
774:Dインパクト
( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!
775:ジャンハワード
( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!
776:ジャンハワード
いや待て! 裏切り者が居るぞ!
777:ラッキーボーイ
777げと
778:囁きの旅人
はっ!? 者どもー! であえであえー! 裏切り者をつまみ出せー!
779:愚か者の晩餐
773をつまみ出せー!
780:Dインパクト
裏切り者は773か!
781:天夜
ちょ!? 何で俺が裏切り者なんだよ!?
782:ジャンハワード
>>781 貴様が裏切り者じゃなければなんだっていうんだ! このリア充めが!
783:AVENGERS
リア充は爆発しろ!
784:フュージョンマスター
爆ぜろ!
785:囁きの旅人
もげろ!
786:サザーランド
バカ信者はほっといてソードダンサーの新しい技について検証しようぜ
787:ラッキーボーイ
新しい技って言っても『イメージ効果理論』の応用なんだろ?
788:愚か者の晩餐
「魔法剣」「輪唱呪文」に続く第3の「圧縮呪文」だっけ?
789:シルクロード
既存呪文の短縮詠唱って・・・普通そんなこと出来ないよね?
790:メイプル
まぁ普通は無理ですよね~
791:チキンオブハート
そこはソードダンサーだからとしか言いようがないなw
792:justice
それこそ魔法少女クオリティwww
793:ラッキーボーイ
>>792 懐かしいなw 魔法少女クオリティww
794:ジャンハワード
で? 圧縮呪文ってどうやってるの?
795:天夜
圧縮した言葉を呪文の1節毎に見立ててイメージしてるって話だよ
例)ファイヤーボール
炎よ 集いて 敵を撃て → ファ・ヅ・テ
796:フュージョンマスター
うん? 炎よがファ、集いてがヅ、敵を撃てがテってことか
797:メイプル
そのファ・ヅ・テって言葉じゃなければ駄目なのかな?
798:天夜
いや、本人のイメージしやすい言葉でいいみたいだから何でもいいみたいだよ
799:愚か者の晩餐
なぁ、これってゲームシステムを逸脱してね?
800:シルクロード
だよなぁ・・・ますますソードダンサーがAccess社側の人間に見えて来るよ
801:フュージョンマスター
だけどこれって俺達でも使えるってことだよな
802:チキンオブハート
>>801 使いこなせればなw
803:愚か者の晩餐
でも使いこなせれば魔法使いにとっては超便利
804:メイプル
そうだね。少なくともソードダンサーは隠していないからあたし達にも使えるかもね
魔法剣や輪唱呪文も使えてる人が増えてきているし
805:天夜
ああ、ただ当の本人も圧縮呪文の成功率は限りなく低いから使いこなそうとしたら相当時間が掛かることを覚悟しておいた方がいいよ




