表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Angel In Online  作者: 一狼
第11章 Night
51/84

47.夜の国と夜の国の王

主人公、砂漠の国へ行く

主人公、ベルザのピンチを見る

主人公、ベルザを助けるために『死を撒く王』を倒す

主人公、『大自然の風』に『不死者の王』から助けられる

主人公、ユニーク職・神薙に転職する

主人公、ギルド『Angel Out』を設立する

主人公、王会議でユニーク職の割り振りを決める

                       ・・・now loading


10月12日 ――73日目――


 補助魔法の色とりどりのライトにより、現実(リアル)でのネオンのように夜の街を幻想的に照らしていた。

 俺達は夜とは思えないほど賑わった町の大通りを歩いていく。

 今俺と一緒に居歩いているのは、鳴沢とヴァイとヴィオ。

 クリスと疾風と唯ちゃんは別行動だ。


「おばちゃん、クレープ4つ頂戴」


「あいよ」


 俺は大通りに並ぶ店舗にAI-On(アイオン)では珍しいクレープ屋があるのを見つけ久々に現実(リアル)の事を思い出し、懐かしさに覚えながら仲間の分のクレープを注文する。


 そう言えば現実(リアル)では10月になっているんだよな。

 とっくに夏休みは過ぎている。今さらながら現実(リアル)に戻った時の事を考えると、俺達の今後がどうなるか心配だな。


「はい、出来立てのクレープ4つ毎度あり」


 受け取ったクレープをみんなに渡して、清算ウインドウでお金を支払う。


「お嬢ちゃんたち人族の冒険者かい?」


 おばちゃんが俺達を見てそんなことを言ってくる。


「うん、そうだよ」


「へぇ~、人族の冒険者がこの町に来るの久々だね」


「そうなの?」


「そうさね、この町に人族が来るのは3か月に1度の行商人くらいなもんさ。

 なんてったってここは吸血鬼(ヴァンパイア)の都市であり国である夜の国ミッドナイトだからね。

 だから人族が来るのは久々なんだよ」


 そう、ここは夜の国ミッドナイト。

 深緑の森の北にある朽ち果てた都市跡の遺跡と思われていたところは、実は人が住んでいたのだ。

 但し住んでいる住民のほとんどは吸血鬼(ヴァンパイア)だったりする。

 なので、当然昼にこの都市に訪れても誰も現れることはない無人の都市となっているだ。


 何かあると思っていた遺跡だが、まさかこんな仕掛けがあるとは思いもしなかったよ。

 朽ち果てたように見えていたが、実は矢鱈無闇に人族が入ってこないように吸血鬼(ヴァンパイア)たちの幻惑の魔法が掛けられているらしい。

 昼には朽ち果てた遺跡に見えるように、夜には無意識にこの都市に近づかないように働きかける魔法が。

 そして、どうやらある一定のLvになるとその幻惑の魔法の効果が利かなくなるので夜になるとこの都市――夜の国に訪れることが出来るようになる。


 俺達は『不死者の王』が言っていた『夜の国の王』をもとに夜の国を探していて遂に場所を突き止めたのだ。

 今は二手に分かれてこの国と26の王の情報を探っている。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 あの王会議の後、俺達所持者は残りの王の証を集めるべく26の王の攻略を進めていった。


 いままで手こずっていた『リザードの王』は何とあっさり倒すことが出来た。

 『リザードの王』の攻略法は、精霊術師(エレメンター)の特殊アビリティの精霊の目だった。


 普通に精霊を召喚しても戦わせることが出来るが、例えば火のある場所では火の精霊のサラマンダーはその力を増す。

 精霊の目は精霊術師(エレメンター)が精霊の力を十二分に発揮するためにフィールドの精霊力を見るためのアビリティなのだ。

 そして精霊には火、水、風、土、氷、雷、植物などの他に光、闇、生命、精神と言った上位精霊も存在する。

 当然精霊の目もその上位精霊の精霊力を見ることも出来るので、『リザードの王』が透明化しててもその姿を捉えることが出来る。

 『リザードの王』の透明化はプレイヤーの精神に働きかけてその認識をずらすことにあるが、精神の精霊と生命の精霊の精霊力を見ることが出来る精霊の目にはその透明化は効かないのだ。


 そのことを精霊術師(エレメンター)のルーベットの居るギルド『桜花伝』に伝えたところアッシュ達はあっさり倒したと報告を受けたのだ。

 『リザードの王』のAIが学習によって優れたとしても、それは戦術的であって戦力的ではないのだ。

 もともと『リザードの王』は上級職クラスの累計Lv30そこそこで倒せる王なのだ。

 特殊職に転職した今となっては透明化さえ無効にしてしまえばそれほど強い王ではない。


 ちなみに『リザードの王』の攻略に精霊の目が必要な事を教えてくれたのは麗芳さんだ。

 しかしよくよく考えれば上級職で攻略できる王なのに、攻略のキーとなる精霊の目を持つのは特殊職だ。

 このちぐはぐさを麗芳さんに聞くと、元々精霊術師(エレメンター)は上級職だったのが色々な都合で特殊職に変更されたらしい。

 だが『リザードの王』に関してはそのままだったので、このようなズレが生じたとの事だった。


 そしてGG達ギルド『GGG(スリージー)』は『廃棄の王』を攻略した。

 何でも勇者と言えばGとJらしい。

 確かに某勇者王のアニメではもう1人勇者と言っても過言ではないロボが居たっけ。


 もともと『廃棄の王』は廃棄の塔でのLv50までの経験値稼ぎのモンスターを生み出すために生かされていたようなものなので、『廃棄の王』のLv自体もそんなに高くは無い。

 なので、GG達にあっさり倒された。

 今のAI-On(アイオン)では大体の人が特殊職に転職していて、経験値の稼ぎ場も他の場所が色々と見つかっている。

 そんな判断から『廃棄の王』を倒すことにしたのだ。

 だが『廃棄の王』が居なくなった廃棄の塔ではモンスターが一切いなくなり、狩場の1つを消されたことで極少数のプレイヤーから不満の声が上がったりしている。

 なんでも経験値の稼ぎ場だけではなく、ゴルドの稼ぎ場、安定した狩場などの理由があったのだとか。

 だがいつか倒さなければならない26の王だったのだ。

 倒すのが少し早くなっただけの事だ。ここは少し我慢してもらうしかない。


 美刃さん達ギルド『月下美人』は再び深緑の森の地下に広がる地下迷宮に籠ることとなった。

 地下迷宮にはどの王が居るか分からないが、26の王が居るのは間違いないと判断して地下都市を拠点として再び探索に向かったのだ。


 地下迷宮にはムシの森にも出入り口があるように他にもどこか出入り口があると思われるが、地下迷宮はかなり広大らしくアイテム補充や休息が必要な拠点が無いと攻略は難しいとの事。

 なので、地下迷宮の攻略はギルド『月下美人』に任せることにした。


 そして俺達はと言うと、Lvを上げながら26の王の情報を集めていた。

 見つかった王の情報は『婚約の王』と『夜の国の王』。


 『婚約の王』はウエストシティの教会におり、『恋愛の女王』と対をなす王なのだとか。

 俺はこの時点で嫌な予感しかしなかった。

 なんせ、あのセクハラの根源である『恋愛の女王』と対になっているからだ。


 そして思った通り『婚約の王』は『恋愛の女王』と同じく教会の中はダンジョンになっており、男女2人PTしか入れないようになっていた。

 しかも婚約前提というダンジョン仕様になっていたらしい。

 ダンジョンの攻略内容も『恋愛の女王』のダンジョンに負けず劣らずセクハラ紛いの内容だったとか。


 だったというのはヴァイとヴィオがあっさり『婚約の王』を攻略してきたからだ。

 内容はあまりにも恥ずかしいのでとてもじゃないが言えないらしいが、『恋愛の女王』の試練をクリアしてきた2人にとっては何の問題もなかったとか。


 手に入れたEの王の証も2人の繋がりを強めるための効果があった。

 とは言ってもほとんどLの王の証と同じだったりする。

 違う点はアイテムストレージとお金の共有化といった如何にも結婚を意識した効果だった。


 そして『婚約の王』を攻略したことにより、ウエストシティの教会では結婚システムが解放された。

 結婚することによるメリットはお互いのアイテムストレージとお金の共有化だ。

 それに加えて子供を作ることが出来るとか。

 手順としてはお互いやることをやって一定期間後に教会で子供を授かるらしい。

 生まれてくる子供にはAIが組み込まれ、上手く育てれば一緒に戦闘も可能だとか。


 多分これはデスゲーム前の仕様なのだろう。

 今の俺達には子育てをしている余裕は無い。

 子供を授かるまでの期間ははっきり明記されていない。

 ゲームシステムらしく1か月なのか、現実(リアル)に準じて10か月なのかもわからないし、たとえ子供を授かったとしても戦闘に役立てるまで育てる時間はそれこそ1か月や2か月じゃきかないだろう。

 俺達がデスゲームにどれだけ閉じ込めれるかは分からないが、子育てが終わるころにエンジェルクエストが攻略されていては何の意味もない。

 戦闘に関係なく、ただ単純に子供を愛でるために子供を授かるプレイヤーもいるだろうけど。


 そんな訳でヴァイ達には流石に子供を作らないように言ってある。

 2人は不満そうな顔をしていたが、そんなに子供が欲しければ現実(リアル)に戻ってから作ってくれ。


 そしてもう1つ見つかった『夜の国の王』の情報。

 これをもとにして俺達はかつての遺跡跡地、現在は夜の国に訪れていた。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 一通りの情報収集を終えた俺達は、取り敢えず食堂のある宿屋に集合して食事をしながら情報の吟味をしていた。


「それで王様の情報はどうだった?」


「ああ、この国の王は何でも人族との交流に力を入れてるらしい。

 人族の行商人にこの国に入国でき商売をすることが出来る特別許可証を発行している見たいだな」


 俺の問いにクリスが仕入れてきた情報を話す。


「ああ、それは俺達も聞いたな。行商人は定期的に訪れてるみたいだ」


「うん、後は王様は平和を望む穏健派だね。そして吸血鬼(ヴァンパイア)のお約束でイケメン」


「・・・イケメンの情報はいらないだろ」


 ヴィオのイケメン情報にヴァイは憮然とする。


「肝心の26の王の情報はどう?」


「この国の王様が『夜の国の王・Night』であるのは間違いないよ。自分から国民に向かって宣言してるみたいだし」


 鳴沢の言う通り肝心の26の王の情報が無ければこれらの情報はただのNPCの情報に過ぎない。

 だけど唯ちゃんの情報により、この国の王が26の王である裏付けが取れた。


「ふむ、平和を望む吸血鬼(ヴァンパイア)ね。なんか吸血鬼(ヴァンパイア)にしては変わってるわね」


 俺のイメージにある吸血鬼(ヴァンパイア)は愚かな人間を支配すると言った征服系モンスターだったり、過去に迫害を受けた恨みを晴らすべく復讐系のモンスターだったりするんだが。


「そのあたりについては過去に色々あったみたいだよ。

 何でも前王である父親が力による支配を望んでいたみたいで、人族との諍いが絶えなかったとか。そのせいで大勢の吸血鬼(ヴァンパイア)仲間が死んでいくのを見て耐えられなくなり、現王が父親を追い出し今の地位に就いて平和をもたらしたみたい」


 唯ちゃんの説明で俺は納得する。

 なるほどな。父親の方が征服系だったわけか。

 普通なら仲間を殺された恨みで復讐に走りそうなもんだが、今の王は出来た王らしいな。

 ・・・何も裏は無いよな? 実は表面上は平和を望んでいて裏では密かに復讐を進めているとか。

 ああ、自分で思いついておいて何だが、ありそうで怖い。


「ふむ、平和を望んでいるんだったら王の証をすんなり譲り受けてもらえるのかもしれないな」


「う~ん、疾風の言う通りそうなってくれれば嬉しいけど、一筋縄ではいかないのが26の王だからね~」


「ねぇ、それはそうと肝心の王様とコンタクトを取る方法はどうするの?」


「あ~~」


 鳴沢の言葉に俺は思わず唸ってしまった。

 やばい、そっちの方を全然考えてなかった。

 まさかいきなり城に突入して王様に会わせろなんて出来るわけが無い。

 普通であればそれなりの手順を踏んだうえで、それ相応の理由が無ければ会えないものだ。

 うーん、今まで会った王が規格外すぎてそこら辺の常識がすっぽり抜けていたなぁ。


 どうやって『夜の国の王』にアポを取るか悩んでいると、急に食堂の中がざわめき始めた。

 何事かと食堂を見渡すと、食事をしていた人たちは入口に向かって歓声を上げていた。

 特に女性の黄色い歓声が大多数を占めていたが。


 どうやらこの国での有名人が入ってきたらしい。

 180cmの身長に漆黒の黒髪、そして顔は誰もが息を呑むほどの整った顔立ち、そして服装は真紅のマントに嫌味にならない程度な豪華な飾りを付けた青を基調とした衣装を。

 吸血鬼(ヴァンパイア)は整った顔立ちが基本だが、この男はそれすらも上回るイケメンだった。


 その男は周りの客ににこやかに手を振りながらゆっくり俺達のテーブルに向かって来る。


「やぁ、美しきお嬢さん達。ひと時の間僕に時間を頂けないかな?」


「別にいいけど、その前に貴方が何処の誰かを教えてもらえるかしら?」


「貴方は有名人らしいけど、あたし達は人族で今日この国に来たばかりだから貴方の事を知らないのよ」


「美しいって言ってくれるのは嬉しいけど、誰にでも甘い声を掛けてるんじゃないの?」


「唯は美しいんじゃなくて可愛いの。それとお兄さんナンパだったらお断りだよ?」


 声を掛けられた俺、鳴沢、ヴィオ、唯ちゃんがそれぞれ答える。

 ちなみにちゃんと同じテーブルにヴァイ達男衆も一緒に居たりするが、声を掛けてきたイケメンに見向きもされていない。


「あ、あれ? この僕が声を掛けているのに何の反応も示さないなんて・・・」


 イケメンは俺達の思いもよらない反応に戸惑っていた。

 それはそうだろう。

 俺は中身は男だし、鳴沢は確かイケメン過ぎる男は何か信用できないって言ってたし、ヴィオに至っては相思相愛の恋人がいる。唯ちゃんは心身ともに強い人じゃなきゃ駄目みたいな事を言ってたし。

 このイケメン見た目はスラリとした優男だけどれっきとした吸血鬼(ヴァンパイア)だ。実力に関しては問題ないだろうが、多分唯ちゃんにとってはこの場合中身が問題なのだろう。


「だから、わたし達は貴方の事を知らないんだってば」


 戸惑っていたイケメンは俺の言葉に我を得たとばかりに急に元気になり話しかけてくる。


「そうか、そうだよな。この僕を知らないからそんな態度でいられるんだ。

 ふふふ、聞いて褒め称えよ。この僕の名はネイビー・ノル・ミッドナイト。この国の王子だ!」


 あー、なるほど。道理で食堂内の女性陣が騒いでたわけだ。

 そして何時もチヤホヤされていたので勘違い系の王子様って訳か。


「ネイビー様ね。それでわたし達に用があるみたですけど、どういったご用で?」


「あ、あれ?」


 自分の王子の名乗りにも反応を示さず平然と対応する俺達を見て、王子は再び戸惑っていた。


「え、えーと、父上であるミッドナイト王が君たちに会いたいと仰っているんだ」


 王子の発言に俺達は思わず顔を合わせる。

 まさか向こうの方から接触してこようとは。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 この国は日中は遺跡に見せかけるため、そして吸血鬼(ヴァンパイア)が住む国の為城が存在していない。

 城の代わりに都市の中央には大きな屋敷がある。

 そして俺達はその屋敷の地下にいる。


 なるほどね。よくよく考えれば日中は日に当たらないようにしなければならないので、わざわざ外の高いところに棺桶を置く必要は無いわけだ。

 吸血鬼(ヴァンパイア)らしく地下に様々な施設があるみたいだ。

 特に王族での住まいであるこの屋敷も他の国民の家と違って、それなりにかなりの広さを誇る地下施設となっていた。


 俺達が通されたのは毎度おなじみの謁見の間――ではなく、普通の応接室だった。

 応接室には先客がいて、王子に負けず劣らずのイケメンだった。

 ただ王子よりは多少年齢が上とみられ、それなりに貫録がある雰囲気を醸しだしていた。


「よく来てくれた。

 俺は吸血鬼(ヴァンパイア)の国・ミッドナイト国の王、ナッシュ・ノル・ミッドナイトだ。

 そして26の王の1人、『夜の国の王・Night』でもある」


「初めまして。わたしがこのギルド『Angel Out』のギルドマスターのフェンリルです」


 ミッドナイト王は立ち上がり挨拶し握手を求めてくる。

 俺もそれに応えて右手を差し出す。


「噂は聞いているよ。あんたが剣の舞姫(ソードダンサー)だな。そして神速の癒し手・ベルザ、瞬動・疾風、百発百中のクリストファー、美女と野獣のヴァイオレットとヴィオレッタ、月牙美刃と鏡牙彗月の妹の唯牙独孫。

 この層々たる有名人たちが我が国に訪れてくれたのは凄く幸運に思うよ。

 ああ、堅苦しい言葉使いとかはいらないから。今は公式会見でもなく一個人として会ってるからそう畏まらなくてもいいよ」


 多分俺達がこの国に入った時から監視されていたのだろう。

 当然俺の事を調べ上げてるのだろうけど、俺だけではなく他のメンバーの事まで調べ上げてるとは思わなかったな。

 二つ名まで呼ばれたみんなは流石に驚いていた。

 ただ唯ちゃんだけは美刃さんの妹という認識をされていたので少し不満そうにしていたが。


「えっと、それじゃあお言葉に甘えて。

 わたし達に会いたいという事だったけど、ここに呼んだのはただ有名人に会いたかっただけなの?」


「まさか、あんた達に用があって呼んだんだよ。

 まぁ、あんた達も俺に用があったみたいだけどな。と言うかあんた達の目的はこれなんだろ?」


 そう言いながらミッドナイト王は懐からペンダント型の王の証を取り出して見せてた。


「あんた達人族がこの王の証を集めてるのは知っている。何だったらこの王の証をあんた達に譲ってもいいさ。

 ただ条件が2つある」


 戦闘なしに王の証を手に入れられるのであればそれに越したことは無いが、流石にそこまでは上手い話は無いようだ。


「条件って?」


「1つは26の王の1人『不死者の王・Undead』を倒してくること」


 って何だよ! 結局26の王と戦わなければならないじゃないか。

 いや、この場合は1人の王を倒すだけで2つの王の証を手に入れることが出来るのか。

 ていうかあの『不死者の王』かよ。あまり進んで会いたい王だとは思わないけなぁ。


「『不死者の王』を倒してくることは別にかまわないが、何でそれが条件なんだ?」


 俺達『Angel Out』は王の証があと4つ必要なので他の王を倒すのは願ったりかなったりだ。

 ヴァイもそう思ったので倒してくることには了承してるが、何故『不死者の王』なのかの疑問をぶつけてくる。


「別に大した理由じゃないよ。同じ不死者でありながらそりが合わなくてな。

 知ってるか? あいつは自分の駒のスケルトンロードが最強のアンデットだと思ってるんだぜ。

 そりゃあ確かにかつての英雄を素材としたスケルトンロードは強いよ。けど骨だぜ? あのカクカクした骨が最強だなんて笑わせるよ。

 最強のアンデットは俺達吸血鬼(ヴァンパイア)のように強く美しくかっこよくなきゃな」


 そう言えば『不死者の王』も『夜の国の王』を優男って見下してたっけ。

 ていうかやっぱこの人も吸血鬼(ヴァンパイア)なんだな。自分たちの事を美しいなんて吸血鬼(ヴァンパイア)特有の固有スキルかなんかか?


「あー、条件の1つは『不死者の王』の討伐ね。もう1つの条件は?」


「もう1つの条件は『不死者の王』を倒してからだ。ちなみに言っておくともう1つの条件の方があいつよりはやっかいだぜ。それなりに覚悟しておきな」


 てことはもう1つの条件も戦闘系なのか?

 しかも『不死者の王』よりも強力なモンスターが相手なんだろうか。


 こうして俺達はNの王の証を手に入れるため『不死者の王』を攻略することになった。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 チアっ娘を応援しようぜ! part1


1:ファイト1発

 このスレはお助けNPCのチアガールを応援するスレです

 チアガールを見かけた方は報告してくれるとありがたいです


2:ラッキーボーイ

 おお! チアちゃんを応援するスレか!

 あの健気にも応援してくれるのがたまらんw


3:シンドバット

 彼女には何回か助けてもらったことがあるよ


4:ライラック

 チアガールってなんぞ?


5:リリック

 >>4 チアガールって言うのは一般的にはノースリーブのユニフォームにミニスカート、両手にはポンポンを持って踊りながら応援をする女子の事を言う


6:ライラック

 >>5 いやw それは知っているw

 そうじゃなくてそのお助けNPCは何ぞやって聞いてるw


7:リリック

 >>6 サーセンw


8:究極の遊び人

 >>6 戦闘中にピンチになると何処からもなく現れ回復やBuffを掛けてくれるお助けNPC


9:ファイト1発

 容姿は160cmくらいの幼い感じかな?

 髪型はポニーテールで踊るたびにぴょこぴょこ揺れるのがまた萌える><


10:DOGS

 噂は聞くけど残念ながらまだ出会ってないorz


11:ライラック

 俺も会ったことないな

 つーかみて見たくなったw


12:素晴らしき世界

 チアちゃんに会うのは条件があるみたいだな


13:ラッキーボーイ

 ピンチになってるのは当然として、ある一定のLvが必要みたいだな


14:ライラック

 >>13 え? どれくらい必要なの? ってかもうそこまで調べてるのか!?


15:ラッキーボーイ

 まだ検証途中だが累計Lv60は必要みたいだ


16:ライラック

 がーーーん! まだLv50半ば・・・


17:ファイト1発

 他にも細かい条件が無いか調べてるけど今のところLv60もあれば会えるみたいだな


18:究極の遊び人

 ああ、ちなみにチアちゃんに変な事をしようとすれば反撃食らうから


19:ジエンド

 え? 反撃食らうんだwww


20:ファイト1発

 つーか待て! 変な事ってどんなことだ!?

 場合によっちゃ許せんことだぞ!ヽ(`Д´)ノ


21:究極の遊び人

 抱き着いたらぶっ飛ばされたw テヘペロ


22:ファイト1発

 おいこら! なにしとんじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!


23:リリック

 おまっ! 俺達のアイドルになんてことを!


24:シンドバット

 21は死刑でいいと思います


25:ラッキーボーイ

 なんて羨ましい!! 「きゃー! なにするんですかー!」と言いながらぶっ飛ばされるわけだな!


26:ライラック

 >>21 ピンチになってる時によくそんな余裕があるな・・・


27:究極の遊び人

 >>26 うむ、その後割とヤバかったが後悔はしていない (。+・`ω・´)キリッ☆






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ