41.ギルドマスターと条件
「あんたが噂の剣の舞姫だったとはね。ギルマスもコネだけは天下一品ね」
休憩室には長方形のテーブルを挟むようにソファーが置かれてる。
俺とクリスはお互い向かい合うように座っているが、マキナは俺と向かい合うようにクリスの隣に座る。
「それで? 貴方達はあの自分勝手なギルマスをどうにかしてくれるの?」
「・・・仮にも自分のところのギルマスでしょ。そんな言い方は無いんじゃないの?」
「悪いけどあたしはベルザをギルマスだって正式に認めたわけじゃないわよ」
マキナにしてみれば途中加入の新参者がいきなりサブマスターに任命されたのだ。面白くないだろう。
しかも『死を撒く王』討伐ではギルドマスターが死亡して唯一生き残ったのがサブマスターだけだ。ギルドマスターが死亡した為、サブマスターがそのままギルドマスターに昇格することになる。
ギルドマスターのカンザキを慕っていたというマキナには、ベルザがギルドマスターになるのは尚更面白くないはず。
おまけにこれは傍から見ればベルザがギルマスを亡き者にして『ELYSION』を乗っ取ったように見えるだろう。
「なら逆に聞き返すけど、どうやったらベルをギルマスに認めるわけ?」
「そんなの知らないわよ。どうやって認められるかはベルザが考えることでしょ。他人に答えを聞くようじゃギルマスの資格すらないわよ」
そりゃそうだ。確かに他人に言われるまま動いてちゃギルマスの意味が無い。
「わたしには『オークの女王』の再攻略や竜の巣でのLv上げなど頑張ってるように見えるけど?」
「『オークの女王』の討伐はカンザキの王の証を取り返すのに必要な事、Lv上げはゲームなんだもの当たり前の事でしょ。
こんなのでギルマスだって認められないわよ」
マキナはさも当然と言った感じでベルザの頑張りを否定する。
いや、本当はマキナの思うところはギルマスじゃない。マキナが本当に許せないのは・・・
「本当は違うんでしょ? 結局のところマキナは何をどうやってもベルをギルマスと認めることは無い」
「なっ! それじゃあベルザの頑張りは無駄じゃないか!」
俺の指摘にクリスは驚いた顔でマキナを睨みつける。
「ちょっと待ってよ。誰もそんなこと言ってないでしょ。あたしだってベルザがちゃんと実績を見せればギルマスと認めるわよ」
「実績云々以前の問題なのよ。マキナは本当はベルに嫉妬していた。ただそれだけなんでしょ?」
「――なっ!?」
マキナは驚きの表情で俺を見る。
確信は持てなかったけど、マキナのこの態度ではっきりした。
「フェンリルどういう事だ?」
「マキナはベルにギルドの地位を取られたとかはどうでもいいのよ。マキナにとってはベルがカンザキに気に入られた。それが許せなかったのよ」
「それって・・・」
クリスは驚きの表情でマキナを見る。
「・・・そうよ、あたしはカンザキが好きだったのよ」
そう、俺がクリスに聞いたこれまでの出来事でマキナがギルマスのカンザキに執着していたのが気になったのだ。
ただ聞いた感じではマキナだけじゃなく他の女性陣もカンザキに惚れていたように聞こえる。
カンザキに自覚があったかどうかは今となっては分からないが、かなりのモテ体質みたいだ。
「あたしだけじゃない、ラーニャやチノや他の女性陣もみんなカンザキの事が好きだった。
みんなで抜け駆けしないように協定だって作ってたのに、突然現れたベルザはカンザキに気に入られて麗芳さんを押しのけてサブマスターになるし、挙句の果てに『死を撒く王』ではカンザキを見捨てて1人で逃げ帰ってきたじゃない! そんなの許せるわけないでしょ!」
「情けないわね。自分の嫉妬を他人にぶつけて当り散らして、カンザキが今のマキナの姿を見たらなんていうかな?
ああ、それともマキナが惚れた男は嫉妬に狂った女を推奨するような碌でもない男なのかな」
バンッ!!!
「貴女がカンザキを語らないでよっ!!」
俺の挑発的な言葉にマキナはテーブルを叩いて俺を睨みつける。
「そうね、わたしはカンザキの事をよく知らない。だけどあなた達の行動の1つ1つがこれからのカンザキの事を語っていくのよ。
あなた達の嫉妬に狂った行いは、カンザキを貶めることだって覚えておきなさい」
「だからベルザを許せって言うの?」
「許せとは言わないわよ。あなた達にとってはどうやっても許せないことだし、自分たちのどうしようもないやるせない気持ちのぶつけどころが必要でしょ?
ベルも何となく分かっていたからあえて非難を浴びてたんだと思うし」
マキナ達はカンザキを守れなかった悔しさ、突然いなくなってしまった悲しさ、傍に居ながらカンザキを見捨てた鳴沢に対しての怒りなど、言いようのない一緒くたになった気持ちを鳴沢に当たることで何とか自分を保とうとしているのだ。
鳴沢もマキナ達の気持ちに気づいていたからこそ彼女たちに好きなように言わせていたと思う。
ただその言葉の暴雨に鳴沢の心が耐えきらなかったのだ。
「そうよ、許せって言われたって許さないわよ」
マキナはそう言いながら先ほどまでとは違い、やや憮然とはしたものの少しは落ち着いた表情で言った。
「ただし、ベルをこのまま『ELYSION』に居させるわけにはいかないわ。今のままだと何時またベルの心が壊れるか分からないしね。
だからベルはわたし達が引き取るわ」
そう、鳴沢は今は感情を取り戻したが、このまま『ELYSION』に居てもマキナ達の感情に当てられ再び心を閉ざされる可能性がある。
何も好き好んでギルドに残す必要は無い。
「ちょっと待ってよ。それじゃあギルマスはどうするのよ。ギルマスの職を放棄するなんて無責任すぎるんじゃない?」
俺の提案にマキナが慌ててストップをかける。
マキナにしてみれば自分の望んだ通りとは言え鳴沢を追い出す形になるが、だからと言って周りの目を気にすれば素直には喜べない。
「何言ってるのよ。ギルマスはマキナがやるのよ。カンザキが残したギルドを貴女が引き継ぐの。何か問題でもある?」
「えっ!? あたしが!?」
マキナは突然のギルマス指名にただ呆然とする。
まぁ、外野である俺がギルマスを指名できる権限は無いんだけどな。
「フェンリル、わたし達がベルザを引き取ると言ったが、わたし達とは?」
「あれ? クリスは一緒に来てくれないの?」
俺はクリスも鳴沢と一緒に戻ってきてくれると思っていたんだけど・・・違ったのか?
だが俺の発言にクリスは少々戸惑いながらも頷いてくれた。
「あ、ああ、僕で良ければ力になるよ。
・・・まさかナチュラルに僕も入っているとは思わなかったよ。僕はベルザのおまけみたいなものだと思っていたからね」
「クリス程の実力者が何を言ってるのよ。クリスだからこそベルを頼んだのよ」
トッププレイヤーにこそ名前は上がっていないが、弓に関してのクリスの実力はずば抜けている。
最近は弓に関する不遇も特殊職により解消されてきているから、そのうちクリスの名前は広まってくるだろう。
「ねぇ、あたしがギルマスをやるのはあたし1人じゃ決めれないわよ。特にサブマスターの麗芳さんの許可は必要になるわ」
ギルマス指名の衝撃から立ち直ったマキナは、若干まだ戸惑った表情で言ってくる。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
『ELYSION』のサブマスターの麗芳さんは、カンザキがギルドを設立する前からのPTメンバーでギルドの纏め役を担っているらしい。
何故かカンザキも頭が上がらなかったらしく、ギルド内では影番として恐れられているとの事。
一度は鳴沢にサブマスターを譲ったが、再び空席となったサブマスターに納まり『ELYSION』を率いている。
散々鳴沢に当たっているマキナ達でさえ、麗芳さんには逆らえないとか。
俺達はギルドホームで割り当てられた各部屋の麗芳さんの部屋の前に来て部屋のドアをノックする。
「はい、開いてますよ。どうぞお入りになってください」
部屋の主の麗芳さんに促され、俺達3人は部屋の中へ入る。
「あら、珍しいお客様ですね」
麗芳さんは俺と同じく黒髪で、肩まで伸ばした髪に金のかんざしを付けたチャイナ服を着た女性だった。
その麗芳さんは俺を見て少し驚きをあらわにした。
「初めまして。フェンリルと言います」
「初めまして、私は麗芳と言います。
フェンリルさんはAI-Onでは5本の指に入るほどの実力を持つ剣の舞姫ですね。お会いできて光栄です」
「今日は『ELYSION』サブマスターである麗芳さんにお願いがあってきました。
ベルのギルドマスターの任を解いてギルドから脱退させて欲しいんです」
「それは何故ですか?」
麗芳さんは少し考えたそぶりを見せて、俺に質問をしてくる。
「わたしはクリスにベルの今までの経緯を聞きましたが、麗芳さんも気づいてますよね?今の『ELYSION』の現状に。
ベルはカンザキへの償いの為、ギルドのみんなの為に頑張ってきましたが心が持ちませんでした。
今日わたしと再開して感情を取り戻しましたが、このままギルドにいると何時また感情を失うか分かりません。
だから、わたし達がベルを引き取りたいんです」
「フェンリルさんも随分強引な事を言いますね。私たちのギルドマスターを自分に寄こせと。
いきなりギルドマスターを引き抜かれて困るのはこちらの方ですが」
「それに関してはマキナを新たにギルドマスターに推薦しますよ」
「マキナさんが?」
俺の推薦に麗芳さんはやや訝しげな表情でマキナを見る。
「麗芳さん、あたしギルドマスターをやりたい! カンザキの意思を継いで『ELYSION』を守っていきたい!」
「マキナさんはベルザさんの事は許せたのですか?」
「・・・さっきもフェンリルに言われたけど、正直まだベルザの事は許せていない。多分完全に許すことは出来ないと思う。
でも、ギルマスをやりたいこととベルザの事は別なの。カンザキの意思を継ぐ者として『ELYSION』を守っていきたい。ここにカンザキが居たってことをみんなに知らしめたいの。
それにはカンザキを知るあたしがギルドマスターをやらなければならないと思うの」
マキナの決意を聞いた麗芳さんは微笑んだ表情を見せる。
「どうやら少しは前に進むことが出来たようですね。今のマキナさんならギルドマスターを任せても大丈夫でしょう」
「麗芳さん、ありがとうございます」
マキナは麗芳さんに深々と頭を下げてお礼を言う。
「それじゃあ、ベルの脱退を認めてもらえるんですね」
「それとこれとは話が別です。
仮にもギルドの権力者を引き抜こうとしているのです。それなりの誠意を見せてもらいます」
マキナのギルマス就任により鳴沢の脱退を認めて盛られると思ったが、麗芳さんの口から出たのは意外な言葉だった。
いや、確かにギルドのトップを引き抜くようなものなんだし、それなりの対価が必要なのは当然な事だ。
「ベルザさんのギルド脱退には、フェンリルさんが『死を撒く王』を攻略するのが条件となります」
「麗芳さん! その条件はいくらなんでも無茶だ!」
麗芳さんの出した条件にクリスが非難の声を上げる。
そりゃあ26の王である『死を撒く王』を攻略すれば、ギルマスをやめてもギルドを脱退しても文句は出ないだろう。
だけどクリスが非難するように『死を撒く王』は他の王とは違い危険すぎる。
「いいえ、これは絶対条件です。
何故なら『死を撒く王』の攻略できる最有力候補がフェンリルさんだからなのです。
フェンリルさんは『死を撒く王』を攻略できる重要アイテムをいくつか所持しています。そうですよね?」
なっ!?
もしかしてCの王の証の効力を知っているのか!?
『恋愛の女王』を攻略したので身代わりアイテムを持っているのは知られてるのだろうけど、Cの王の証の特殊スキルまでは誰にも話したことが無い。
いや、ここはもう腹をくくろう。
麗芳さんの言う通り、今『死を撒く王』を倒せる確率の高いプレイヤーは多分俺しかいないだろう。
Cの王の証、祝福に守られしお守り、それにLUC値を上げるアクセサリーを付ければイケるはず。
それに『死を撒く王』を倒せば鳴沢をギルドから脱退させてもらえるんだ。
「・・・『死を撒く王』を倒せばベルをギルドから脱退させてもらえる。間違いないんだね?」
「はい、『死を撒く王』を倒せば間違いなく」
「フェンリル! 無茶だ! あれは死ににいくようなものだぞ!
麗芳さんも何故そんな無茶な条件を出すんだ! もう少しマシな条件でもいいだろう!」
クリスは『死を撒く王』の攻略には行ってはいないが、鳴沢の話を聞いてそれなりの危険性を把握してるのだろう。
それを鳴沢の解放の条件にされてはリスクが高すぎると判断したところか。
「クリストファーさん、今フェンリルさんの状態を見れば『死を撒く王』の攻略はそれほど難しくもなく、フェンリルさんの望んだ要望と条件が合います。私はこれが対等な条件だと思います」
「クリス、大丈夫よ。麗芳さんが言ったように、『死を撒く王』の攻略できるアイテムがあるからね。
それに26の王を全て攻略しなければならないから、いつかは誰かが『死を撒く王』を倒さなきゃね。それが今でわたしだってだけの事よ」
クリスは納得がいかない表情をしていたが、俺がその条件に了解しているのでそれ以上何も言ってこなかった。
「さて、それじゃあわたしは『死を撒く王』の攻略の準備をするからお邪魔するわ。
明日の朝一で冥界門に向かうから、多分昼前には決着がつくと思う。クリスはベルに付いてて上げてね」
「・・・フェンリル、死ぬなよ」
俺はクリスの肩を叩いて部屋を後にする。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
時刻は夕方になろうとしていた。
俺はアクセサリーでLUC値を上げるべく露店広場に来ていた。
『死を撒く王』の高確率の即死攻撃は、結局はリアルラックに頼る部分が大きい。
LUC値と名を関しているものの、ゲーム的に見ればあくまで確率の問題でしかない。
6発リボルバーのロシアンルーレットで込められた弾が5発だろうと1発だろうと、リアルラックが悪ければ最初の1発で当たってしまう。
だけど確率が5/6よりは1/6の方がいいに決まっているし、気持ち的にも安心できる。
リアルラックと確率はどこか矛盾しているようだが、アクセサリーでLUC値を上げておくに越したことは無い。
露店広場では夕方になり店じまいをする者、これから稼ぎ時だと頑張る者、目ざとく掘り出し物を探そうと品物をチェックする者などで溢れかえっていた。
俺は目的の露店を見つけ店主に声を掛ける。
「こんばんは、夕闇。またアクセサリーを買いに来たんだけど見せてもらえるかな?」
「Yoh! 剣の舞姫じゃねぇKa! なんDa? 今度は何が欲しいんDa?」
夕闇はいつもの革ジャンにジーンズ、金髪のモヒカンにサングラスと言った格好で露店をしていた。
「うん、LUC値が上がるアクセサリーが欲しくてね」
俺の言葉に夕闇はサングラスをずらして俺の顔を凝視する。
「・・・なるほDo 今度の相手は死神の王様ってわけDa」
既に情報が流れてることから、俺の求めているアクセサリーから『死を撒く王』が相手だと推測される。
「まぁね。指輪は片方は外せないから1つしか填めれないけど、何か良いのある?」
左手の指輪は『恋愛の女王』の報酬のステータス効果上昇の対の証の指輪を付けてるので、右の指輪の方しか交換が出来ない。
左腕には携帯念話を付けているのが、これには特にはステータス上昇や属性耐性等の効果が無いので『死を撒く王』攻略時には一時的に交換しても問題は無い。
まぁ、腕輪は属性関係だからLUC値とは関係ないのだが。
「そうだNa これなんかどうDai?」
そう言って渡されたのは、二重の輪が交差した指輪と星と月の形をしたピアスだった。
重幸運の指輪 LUC+20 LUC+10
星のピアス 月のピアスと同時装備時に特殊アビリティ: 流れ星の幸運
月のピアス 星のピアスと同時装備時に特殊アビリティ:幸運の満月
ふむ、指輪は夕闇特性の2つのステータス上昇をLUC値に絞った物と、ピアスは2つ同時にセットすることで発動するアビリティか。
治癒増加とMP軽減のアビリティが無くなるのは惜しいが、LUC値上昇の為には仕方がない。『死を撒く王』限定の装備だと思って割り切るしかないか。
「それで、ピアスの流れ星の幸運と幸運の満月ってどんなアビリティなの?」
「名前から分かる通り、どちらもLUC値上昇のアビリティだNa
流れ星の幸運は1日に3度だけ任意にLUC値を2倍にしてくれるZe
幸運の満月は夜の間限定だがLUC値を2倍にする代物だNa」
おいおいおい、どっちも途轍もないアビリティじゃないか。
しかし、幸運の満月の方は夜限定か。
朝一で『死を撒く王』の攻略に向かおうと思ったがこれから向かった方が良さそうだ。
俺は指輪とピアスを夕闇から買い、再び露店を見て回る。
累計Lv80になったことにより増えた2つ分のサブスキル枠にセットするスキルを探すためだ。
見つけたサブスキルは、ダッシュスキルと遅延魔法スキルだ。
ダッシュスキルは、ステップスキルと組み合わせれば疾風の瞬動とまではいかないものの、それなりのプチ瞬動が出来るのではないかと思ってだ。
まぁ、使いこなすまでは要練習なのだが。
遅延魔法スキルは、使用する魔法の前に待機時間を設定した呪文を唱えることによって使用する魔法を数秒間発動を遅らせることのできる魔法だ。
その使い勝手の難しさからか使い手はあまり居らず、露店でも売れずに残っていたスキルだ。
まぁ俺も使いこなせるか分からないが、何かの役に立つかと思い購入しておくことにした。
職スキル
刀、薙刀、杖、火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法、土属性魔法、治癒魔法、聖属性魔法、無属性魔法、魔力量強化、補助魔法
サブスキル
二刀流Lv72、ステップLv84、極大魔力、萌え(取外し不可)、雷属性魔法Lv66、獣化Lv43、氷属性魔法Lv61、気配探知Lv48、魔力探知Lv46、蹴りLv39、体力倍化、ダッシュLv17、遅延魔法
控え
火属性魔法Lv1、ステップLv1、短剣Lv1、魔力量増加、魔力量強化、斧Lv1、風属性魔法Lv1、火属性付与魔法Lv1、魔力探知Lv1、泳ぎLv35
ちなみにサブスキル枠は13個が限界らしく、これ以上LvUpしても増えることは無い。
と言うか職スキルに加えてサブスキル枠が13個とは多すぎる気もするんだが。
露店での買い物を終えて一旦宿の『極上のオムライス亭』に戻る。
片づけていなかったポーション類を仕舞い、『死を撒く王』を攻略する為再び宿を出る。
王城の前の転移門からウエストシティに向かい、南西にある冥界門に向かう。
冥界門は高さが4mもある巨大な門で、扉のレリーフは死を連想されるような髑髏が描かれている。
対となる東和都市にある地獄門には鬼が描かれているらしい。
冥界門は閉じていたが、鍵は掛かってないらしく軽く押すだけで扉は開いた。
ここから先は完全に別エリアとなり、『死を撒く王』へ繋がるダンジョンとなっている。
出現するモンスターは冥界らしく、死霊系のモンスターで溢れかえっていた。
スケルトン、ゾンビは定番として、スケルトンの上位種デスナイトやゾンビの上位種ゾンビナイトなんてのもいる。
他にはゾンビより知性のあるグールや物理攻撃の効かないゴースト・レイス・バンシー、さらには死霊系最高峰の1人ともいわれるリッチーなんかも出現した。
だが、これらのモンスターを俺はソロでありながら難なく撃破して順調に『死を撒く王』に向かって行った。
流石は累計Lv81だ。伝説級の刀2本に極大魔力スキル、それに累計Lv81を加えればそこら辺の雑魚モンスターは相手にはならない。
まぁ、ただホラー系らしくスケルトンやゾンビの群れが現れた時には流石に相手にするのが面倒くさく、聖属性魔法のターンアンデットで一気に浄化したりした。
ターンアンデットの魔法を使えば死霊系モンスターはほぼ一撃で消滅だが経験値は入ることは無い。
今さら相手にもならない雑魚モンスターでLvは上がることは無いので関係は無いのだが。
ホラー映画宜しくドロドロした沼地や墓場、屋敷などのエリアを進んでいき、再び巨大な冥界門の前に立つ。
どうやらこの先に『死を撒く王』が待ち構えてるみたいだ。
俺は夕闇から買ったアクセサリーを付け替え『死を撒く王』に備える。
第2の冥界門も鍵は掛かってないらしく(最初の死霊術師が解除した為)、扉を押すと簡単に開いた。
扉の奥には何もない薄暗い空間が広がっており、中央には死神を連想させる大鎌を持った黒いローブを纏った骸骨が居た。
『ほほほっ、久しぶりのお客さんじゃの。儂は『死を撒く王・Death』じゃ。この場に来たということは死にに来た、でいいかの? ん?』
「あんたが『死を撒く王』か。悪いが倒させてもらうぜ」
ギャンブル性の高い『死を撒く王』との戦いが始まった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
幻影の王に関するスレ4
102:ジャンハワード
だぁぁぁぁぁ! どうなってんだよ! 霧の谷!
どうやっても入口に戻ってきてしまうよ!
103:チキンオブハート
>>102 おまえそれ何度めのセリフだ?w
104:ビターチョコ
まぁ、気持ちは分からないわけじゃないけどねw
105:S・T・M
だなw
あれはいい加減に中に入る方法が知りたいよ
106:ウラシマ
そう言えば王都とかの幻影の王に関する情報はどうなった?
107:ジャンハワード
霧の谷の侵入方法に「生まれいずる清らかな心を持ちし体」しか入れないって記述が見つかったんだが・・・
108:ライラック
けどその記述の意味は未だに解読できていないんだよね~;;
109:S・T・M
そうなんだよなぁ
何だよ「生まれいずる清らかな心を持ちし体」って
心なのか体なのかどっちだかハッキリしろっての!
110:光の王子
「清らかな」ってところで聖職者を連想されるんでプリースト系で当たってみたんだっけ?
111:チキンオブハート
ああ、それでも結局駄目だったorz
112:ジャンハワード
だぁぁぁぁ! もっとわかりやすいヒント寄越せっての!
113:ブックストア
あれ? でも俺、霧の谷を奥まで行ってきたことのあるプレイヤーの話を聞いたことがあるんだけど・・・
114:ジャンハワード
>>113 mjd!? kwsk!!!
115:チキンオブハート
>>113 マジか!!?
116:ビターチョコ
>>113 詳細kwsk!
117:S・T・M
>>113 それはどこの誰だ!!?
118:ブックストア
あー、ごめん、うろ覚えだわ
119:ジャンハワード
>>118 てめぇ! 思い出せ!
120:チキンオブハート
>>118 何貴重な情報を忘れてるんだ!!!
121:ビターチョコ
>>118 そんなレア情報を忘れるなんて信じられん!!!
122:S・T・M
>>118 死ぬ気で思い出せ!! でなければ死ね!!
123:ブックストア
((((;゜;Д;゜;))))カタカタカタカタカタカタカタカタカタ
124:光の王子
お前ら落ち着けw
125:浜田浜口浜崎さん
でも侵入できたってことはその人「生まれいずる清らかな心を持ちし体」の謎を解いたってことだよね?
126:光の王子
そうなるな
127:ライラック
少なくとも奥に進入する方法はあることが確認できたのは一歩前進・・・かな?
128:ジャンハワード
118は必ず思い出してここに報告するように
さもなくば貴様の恥ずかしい秘密をここに暴露することになる!
129:ブックストア
サー・イエッサー(≧д≦)ゞ
・・・あれ? 何か引っかかるような・・・




