38.死を撒く王と攻略法
主人公、アイとリムに会う
主人公、ピンチにギルド『月下美人』に助けられる
主人公、トッププレイヤーの1人疾風と会う
主人公、疾風と『恋愛の女王』を攻略する
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「よし、これであいつらを見返してやれる」
俺達は無事?に『恋愛の女王』のダンジョンから出てきて、そのまま別れることとなった。
疾風は当初の目的を果たせたのでかなりご機嫌だ。
あー、でも疾風の仲間は疾風に恋人が出来ないってことでからかってたはず。
実際は恋人同士でクリアしたわけじゃないんだけど・・・まぁいいか。
からかわれるのは疾風なんだし、疾風の仲間に何か言われたら俺はただ協力しただけと言っとけばいいだろう。
「まぁ、ほどほどにね。それじゃあ、わたしは行くから」
「ああ、何か困ったことがあったら連絡をくれよ。一応「祝福を受けた恋人」らしいからな」
らしくない冗談を言いながら、疾風は町の中へ消えていく。
俺は落ち着いたところで『恋愛の女王』から貰った対の証と祝福の腕輪を装備する。
右の指にはそのまま俊敏の指輪を付けて、左の指に対の指輪を付ける。
左の腕には携帯念話を付けているので、右の腕に祝福の腕輪を付ける。
アクセサリーによる効果は以下のようになった。
敏腕の指輪 AGI+20 STR+10
対の証 STR+5%、DEX+5%、AGI+5%、VIT+5%、INT+5%、LUC+5%
祝福の腕輪 全属性増加、全ステータス+10、魅了無効、混乱無効
無麻痺のネックレス +麻痺無効化
治癒のイヤリング 特殊アビリティ:治癒増加
減魔のイヤリング 特殊アビリティ:MP消費減少
うぉぉ、何だこりゃ。
全属性の増加、ステータスの増加、魅了無効、混乱無効、麻痺無効ってどんどん完璧超人に近づいている気がするんだけど・・・
うむむ、気にしないことにしよう。うん、そうしよう。
俺はそのまま転移門を通り王都へ戻り、久々に極上のオムライス亭で夕食をしようとして向かう。
丁度そこへ見知った人物から声を掛けられた。
「よう、フェンリル。久しぶりだな。相変わらずあちこちで目立っているじゃないか」
「ロックベル、久しぶり。目立つつもりはないんだけどねぇ。
・・・ところで、隣にいるのは彼女かしら?」
声を掛けてきたのは戦争イベントぶりに再開したロックベルだった。
しかも1人でなく、小柄な女性と一緒に居たりする。
「あー、そんなんじゃねぇよ。うちのギルドの新人でな。装備を見繕ってほしいからって買い物に付き合ってただけだよ」
「初めまして、このたびギルド『大自然の風』に入会したプラモと言います。
あの・・・フェンリルさんって、もしかして剣の舞姫のフェンリルさんですか?」
「うん、そうだよ。剣の舞姫って言ってもそんなに大したことないから。わたしの他にもGGや疾風や月牙美刃さんとかいるから」
「お前がそれを言うと嫌味にしか聞こえないぞ。巷じゃお前がAI-On最強だって言われてるんだからな」
「そうですよ! うわぁ、あのフェンリルさんに会えるなんて感激です! と言うかマスター、フェンリルさんと知り合いだなんて凄いじゃないですか!」
いつの間にかAI-On最強にまで祭り上げられてるよ・・・
「それよかちょっと時間あるか? 話したいことがあるんだが」
先ほどまでのおどけた雰囲気が消えて、真面目な表情をして聞いてくる。
ふむ、真面目な話となるとエンジェルクエスト関連か?
ここらで掲示板以外での情報交換もいいかもしれないな。俺の知らないギルド間での情報もあるかもしれないし。
「いいわよ。そこら辺の宿屋で食事をしながらでも話す?」
「あー、いや、折角だから俺達のギルドホームに行こう。何だったら夕食付だぞ」
「そうね、ギルドホームの方が静かに話せるからね。ついでだから夕食もごちそうになるわ」
丁度夕食を食べようとしていたのだ。この際だから久々にロックベル達と一緒に食べるのもいいだろう。
俺はロックベルに連れられて『大自然の風』のギルドホームへ向かう。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ギルドホームはプレイヤーギルドの拠点となる家の事だ。
ギルドホームと言っても、都市又は町で空き家になってる家をギルド名義で購入することでギルドメンバーが使用することが出来る家の事だ。
物件はピンきりで、普通の一軒家から金持ちが住むような豪邸まである。
『大自然の風』のギルドホームは、西通りと南通りに挟まれた南西地区にある普通の一軒家だった。
4・5人で済むには丁度いいが、PT人数の7人で済むには手狭な感じの家だ。
「随分こじんまりしたギルドホームね。ギルドメンバーが住むには少し小さすぎる家だね」
「ああ、ここは会議や食事をするための拠点に過ぎない。他のメンバーはそれぞれで宿を取っているよ」
なるほど。ここはあくまで集まるための場所という訳だ。
ギルドホームに上がり、少し広めのリビングに通される。
「今日はここでメンバーが集まって夕食を取ることになってるんだ。今は買い出しとか個人の用事とかで出かけているがそのうち集まってくるだろ。
プラモ、悪いがコーヒーを出してくれないか」
「はい、ちょっと待っててくださいね」
プラモは慣れた手つきで俺達の前にコーヒーを出してくる。
俺達がコーヒーを飲んで一息を付いたところで、ロックベルが切り出してくる。
「さて、話と言うのは他でもない。今噂になっている『死を撒く王・Death』の事だ」
あー、何となく予想はしていたけど『死を撒く王』のことか。
「フェンリルは奴の事はどれだけ知っている?」
俺は少しばかりの情報をロックベルに話す。
・冥界門のダンジョンの奥に居ること。
・『死を撒く王』の外見は死神そのものだという事。
・『死を撒く王』の攻撃は鎌による直接攻撃と光による範囲攻撃しかない事。
・しかしその2種類の攻撃は全てが高確率の即死攻撃であること。
・そして即死攻撃は『死を撒く王』のにしか存在しないので、即死無効アイテムが存在しない事。
・『死を撒く王』に挑戦したPTは1人を残して全滅してしまったこと。
「ふむ、まぁ俺のところで集めた情報もそんなところだな。
何と言っても一番厄介なのが全ての攻撃が即死攻撃と言う事だな」
「だね。鎌による攻撃を防いでも、鎌が触れただけで攻撃判定が付いてるって話だもんね」
「だがその即死攻撃だが、全くの攻略手段が無いわけじゃないらしい」
「――本当!?」
『死を撒く王』の直接攻撃による即死攻撃を防ぐには、鎌に触れずに全てを躱すしか方法が無いという事だ。
しかしそれ以外の方法があるとすれば攻略するのに1歩前進することとなる。
「ああ、攻略のカギは風水師だ」
「風水師ってどんな職業ですか?」
風水師の職業を聞いたことが無いのか、プラモが疑問を口にする。
付与術師系の職業は、転職するごとに元の職業の特性を持たずに新たな特性を持つ系統だ。
その付与術師系の派生職である風水師は、風水の名の示す通り運気を操ることのできる風水魔法を使う職業だ。
そのことを俺達はプラモに説明をする。
「へぇ~そんな職業もあるんですか。
あれ? でもその風水師が『死を撒く王』の攻略とどんな関係があるんですか?」
「何でも生き残った1人の話によると、『死を撒く王』は「運がいい」「運が悪い」の言葉をよく発していたそうだ。
そのことから推測するに、運――LUC値が高ければ『死を撒く王』の即死攻撃は高確率で躱すことが出来る」
「なるほどね、そこで風水師が出てくる訳ね。
でも運って言っても・・・いくらLUC値が高くたってそれこそ運が悪ければ即死攻撃の餌食じゃないの?」
「そこは・・・リアルラックに任せるしかないな」
「ちょっとぉ、それじゃあ何にも解決になってないんじゃない」
即死攻撃の確立が80%から50%に変わったとしても、結局確率でしかない。
運が悪ければそれこそ80%だろうと50%だろうと1発目の攻撃で即死することもあり得る。ロックベルの言う通りリアルラック――ゲーム的数値のLUCじゃなく、プレイヤー本人が持っている現実の運が必要になってくる。
「だが、限りなく即死攻撃の確立を減らしておくのも手段の一つだ。だろ?」
「まぁ、それはそうなんだけど・・・」
「攻略の布陣としてはこうだな。
運を操る風水師と蘇生魔法を使える大司教を2人、後は前衛職3人に後衛職1人ってところか」
風水師で運を上げつつ、死亡した場合大司教の蘇生魔法で生き返らせる。万が一1人の大司教が死亡した場合に備えて2人用意すると。
そして前衛3後衛1でひたすら攻撃しまくると言ったところだな。
「あのぉ~、その挑戦したギルドPTって蘇生魔法が使える人が2人いても全滅したって聞いたんですけど」
「そこは運に任せるしかないな」
「って、結局リアルラック頼みじゃない! そんなんじゃ誰も攻略に望めやしないわよ」
「う~ん、やっぱりフェンリルでもそう思うか。
まぁ、もう1つの手段というか希望なんだが、LUC値も高くリアルラックも高いプレイヤーが挑戦すれば行けるんじゃないかと思っているんだが・・・」
ロックベルは残念だなぁーと言った顔でこっちを見てくる。
・・・なんか嫌な予感しかしないんですけど。
「俺としてはフェンリルが一番の適任者じゃないかと思ってるんだがなぁ。
剣の舞姫にかかれば『死を撒く王』すら目じゃないってな」
「無理だから! わたしの運はそんなに高くないから!
って言うか剣の舞姫の二つ名を出せば何でも解決すると思うな!」
うおぉぉい! 最近剣の舞姫の二つ名を出せば何でも通ると思ってる人多すぎねぇか!?
剣の舞姫は便利アイテムじゃねぇんだよ!
「だよなぁ、普通はそう言うよな。
となれば、後はLUC値をひたすら上げて度胸試しとなるわけだ。『死を撒く王』を攻略するのはかなり後になりそうだな」
「その間に劇的な方法でも見つかればいいんだけどね。即死攻撃が無効になるだけのLUC値上昇アイテムとか・・・」
・・・あれ? 言ってて何かが引っかかる。
LUC値の上昇アイテム・・・? 何かそれっぽいの持ってたような・・・
・・・・・・あ!!! Cの王の証!!!
あれって確か特殊スキルがLUC値の大幅上昇だったはず・・・!
あ、そう言えばついさっき死を身代わりしてもらえるアイテムを貰ったばかりだっけ・・・
それも2つも・・・
いやいやいやいやいやいや! ないから! 挑戦する気さらさないから!
あくまで確率の話で一気に即死攻撃3連発とか喰らったら死ぬから!
「フェンリル? どうかしたのか? 急に黙り込んで」
「もしかして気が変わって『死を撒く王』に挑戦する気になったんじゃないんですか?」
突然黙り込んだ俺に、2人は変な目で俺を見てくる。
プラモに至っては俺が気が変わったんじゃないかと言ってくる始末だし。
「なんでもないわよ。と言うか、わたしは挑戦する気にはなってないから。そこんとこ勘違いしないようにね、プラモ」
「そうなんですか。折角また新たな伝説が生まれようとしたかもしれないのに残念です」
「はぁ、これ以上変な黒歴史は作りたくないんだけど。
まぁ、もし挑戦するとなれば、後は実際生き残った人の話を聞くのがいいかもね。
そう言えば生き残った人って誰だか分からないんだけど、ロックベルは誰だか知ってる?」
「残念だが生き残ったプレイヤーの情報は意図的に隠蔽されているよ」
「え? 何でですか?」
「・・・最後に生き残ったプレイヤーだからだよ」
プラモの問いにロックベルは少し哀しそうな顔で答える。
ああ、そうか。最後に生き残ったということは、仲間を見捨てて逃げだしたとも見られるわけだ。
そう言う外野からの野次を受け付けないための情報隠蔽なんだな。
「まぁ、フェンリルがその気になったらな何時でも言ってくれ。焚き付けた責任を取って出来る限りのサポートはしてやる」
「ならないから、その気になんて絶対ならないから」
そうこう話しているうちに、『大自然の風』のギルドメンバーが集まりだしてきた。
「あれ~? フェンリルちゃんだ~ 久しぶり~ 元気してた~?」
「ありゃ? お嬢ちゃん、俺達のギルドに入ることにでもなったのか?」
「あ、まさかロックベル、あなたあの事を話したんじゃないでしょうね?」
おーちゃん、リック、七海がそれぞれ言ってくる。
七海の言うあの事とはついさっきまで話してた『死を撒く王』の事だろうな。
「おーちゃん、久しぶり。
リックには悪いんだけど生憎まだギルドに入るつもりはないから。ロリ巨乳ゲットできなくてゴメンネ。
あと、七海。ついさっきまでロックベルとそのことを話してたのよ。必死になって焚き付けようとしてたわ」
俺がそのこと言うと七海はキッとロックベルを睨める。
「あ、あ~、その、なんだ、本人がその気なら別にいいかなぉっと思ってだ、な・・・」
「あのね、あんなギャンブル性の高い方法を人様に試すなんて何を考えてるのよ」
後はそのまま七海によるロックベルへの説教が始まってしまった。
「あはは~ ロックベルまた怒られてるの~」
「旦那もこりねぇな。つうか七海もいい加減素直になればいいのに。今のまんまじゃ口うるさい仲間にしかならねぇのによ」
「・・・もしかしていつもこんな感じなの?」
「ええと、・・・はい、いつもこんな感じですね」
俺達を余所に説教をし、それをおーちゃんとリックが眺めてる様を見て傍にいたプラモに訪ねると、少し恥ずかしげに肯定をする。
「なんだ、何かあったのか?」
「ん? 珍しい客が来てるじゃないか。久しぶりだな」
ロックベル達が騒いでる間に『大自然の風』の残りのメンバーの景虎とブラッシュが帰ってくる。
あの後何とか七海をなだめて、俺は『大自然の風』のメンバーと共に夕食を取る。
ロックベル達とは会った回数が少ないが、初期のころに出会ったPTなせいかかなり気を許せるプレイヤーとして楽しい夕食を取ることが出来た。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ロックベル達と夕食を取った後、当初の予定通り『極上のオムライス亭』に宿を取った。
久々に会ったおばちゃんに挨拶をする。
「おばちゃん、久しぶり。1泊したいんだけど部屋空いてる?」
「おや、久しぶりだね。相変わらず26の王を追いかけてるのかい? あんたの噂はこの宿まで聞こえているよ。
二刀を用いて舞い踊る巫女姫・剣の舞姫ってあんたの事だろ?」
うぇえ!? ちょっと待て! NPCであるおばちゃんにも剣の舞姫の二つ名が聞こえてるのか!?
普通こういうのってプレイヤー間だけの話だと思うんだが、AI-OnのAIってどれだけ優秀なんだよ。
「あー、うん、剣の舞姫って呼ばれてるのは間違いないけど・・・
そんなに噂になってるんだ?」
「そりゃあね。強く、美しく、格好良く。この三拍子がそろってる人物が噂にならない方がおかしいさ」
う~ん、その言い方だと俺以外にも数人当てはまるな。
男の場合だと、強く、逞しく、格好良く、かな?
「おばちゃん、わたし以外にも噂になってる人っている?」
「そうだね、月狂化の月牙美刃に、豪鬼・GG、瞬動・疾風、空を舞う羽・ブルースカイ、要塞守護者・無光の涙宝石といったところかね。
ああ、後は変わり種としては情報屋・るるぶる、万能生産者・朝霧って人たちもいるね」
おおう、流石にトッププレイヤーは噂になってるな。後の2人はちょっと聞いたことが無いけど二つ名からしてかなりのプレイヤーだと思われる。
と言うか、るるぶるはそこそこ情報屋として有名だが、朝霧さんまで二つ名付きで呼ばれてたとは・・・
うーむ、どうやら二つ名付きのプレイヤーがNPCの間でも噂になってるってところか。
「ああ、そう言えば1泊したいんだったね。部屋は空いてるよ。好きなだけ泊まっていきな。
まぁ、いつかみたいに出て行ったきり戻ってこないのは勘弁しておくれよ」
あはは、そう言えばそんなこともあったっけ。
今のところは26の王とかの攻略予定は入っていないから長期間部屋を押さえてもいいが、とりあえず1泊することにする。
うん、前みたいに急に戻ってこれなくなる時もあるからね。
9月15日 ――46日目――
翌日、俺は『極上のオムライス亭』で朝食を食べて、冒険者ギルドでクエストを受ける。
エンジェルクエストの攻略を進めなければならないのだが、現時点で判明している王の攻略は手が出せないのと厄介なのが入り混じっていて、別の王の情報を探しているわけだがそう簡単に見つかるはずもなく、冒険者ギルドでクエストを受けることにしたのだ。
受けたクエストは何故かムシの森でのユニークボス・六武士の1匹の撃破だったりする。
・・・残りの六武士が気になっていたというのが本音だったり。
今回のターゲットは六武士が1匹、鈴武士。
鈴虫から予想されるに、使う武器は笛による音攻撃とかか?
まぁ、行ってみれば分かるか。
王都から東和都市へ転移門で移動して、スノウでムシの森まで飛んでいく。
六武士はムシの森を徘徊しているので探すには骨が折れるが、急いでるわけでもなく焦る必要もない。
巨大なGに遭わないように気配探知であたりを探りながら慎重に鈴武士を探していく。
蜂やらムカデやら蟻やら虫らしくわらわら現れるが、チートコンボに累計Lv80越えも合わさってもうそこら辺の雑魚MOBは敵ではなかったりする。
そんな慎重にしていた索敵もこの後流れたアナウンスにより、一気に殲滅並の索敵に移行することになる。
――エンジェルクエスト・Queenがクリアされました――
なっ!? あのQueenを攻略したのか!?
俺はすぐさま王の石碑に確認に行きたがったが、今はクエスト実行中だ。
一刻も早く確認に行きたがったため、気配探知に映るモンスターを片っ端から屠っていく。
暫くするとお目当ての六武士の1匹・鈴武士が出てきた。
見た目は火武斗武士のような鎧姿ではなく、笛を持った小柄な少年が平安装束を模した服を着ていた姿だった。
頭には申し訳程度に触角が付いてたりする。
『何か騒がしいと思ったらお姉ちゃんが暴れてたのか。ふうん、それなりにやりそうだね。
いいよ僕が相手に・・・ギャ―――――――――――――――――!!!』
相手の口上も言い終らないうちにオリジナルスキルの桜花風雷十字の1撃で仕留める。
悪いけど今はあんたの相手をしている暇はないんだよ。
鈴武士を倒してすぐさま王都へ帰還する。
冒険者ギルドでクエストの報告をして報酬も碌に見ないで慌てて露店通りにある王の石碑に向かう。
そしてそこには間違いなくアナウンスの通り攻略者の名前が刻まれてあった。
P Pandora
Q Queen ベルザ〈ギルド〉
R Round
俺はその名前を見て愕然とした。
いや、攻略者の名前はいい。問題はその後ろに付いてるPT編成だった。
〈ソロ〉は1人での王を攻略。
〈PT〉は複数での王の攻略。
〈ギルド〉はギルドメンバーでの王の攻略。
Qの王の証の所持者であるベルザ――鳴沢はギルドに入っていることを示している。
しかも王の証を所有しているということは、ギルド内でもかなりの地位を持っているに他ならない。
つまり鳴沢は俺とのPTを捨ててギルドでのエンジェルクエストの攻略を進めてくことにしたのだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
生産に関するスレ13
421:ブックオフ
噂で聞いたんだけどLEGENDRY ITMEのレシピがあるってホント?
422:リンドバーグ
あ、それ俺も聞いたことがある
423:パパロバ
それただの噂でしょ
424:ソフィアデルカ
うーん、ただの噂にしては信憑性が高いんだよね
425:パパロバ
>>424 どういうこと?
426:ソフィアデルカ
名前は伏せさせてもらうけど、とあるギルドがLEGENDARY ITMEのレシピを持ってて、素材集めに回ってるって
427:ブックオフ
うん、俺が聞いた噂もそれ
428:ソフィアデルカ
その集めてる素材がユニーク素材ばかりだって話なの
429:パパロバ
う~ん? それがLEGENDARYに繋がるっての?
430:佐々やん
普通はユニーク素材はユニークレシピと一緒にドロップされるもんだからな
それがユニーク素材ばかりを集めてるとなれば・・・
431:フレグランス
そのギルドってどこからレシピを手に入れたのかな?
432:リンドバーグ
普通に考えるなら26の王のドロップなんだろうけど・・・
433:朝霧
えーと、本人の許可を取って情報を公開しています
26の王からのドロップはユニークレシピとユニーク素材ですね
まぁ、これは最初のころの王だから今の王とは違うかもしれないですが
434:ブックオフ
おおーーー!! 万能の生産者の朝霧さんだ!!
435:佐々やん
朝霧さん、ちぃーす!(>Д<)ゞビシッ
436:パパロバ
朝霧さん、こんちゃ!
437:リンドバーグ
うーん、朝霧さんの情報が本当なら後は別のユニークボスかどこかのダンジョンの宝箱からの入手ってことかな?
438:ブックオフ
まぁ、そのあたりが妥当かな
439:ちのっちの
入手先が分かったところでもう1回手に入るか分からないんですけどね^^;
440:フレグランス
まぁね
441:佐々やん
だな
442:ブックオフ
運よく手に入れたとしても必要生産スキルが高すぎて作れないと思うけどwww
443:ソフィアデルカ
ああー、素材もそうだけど生産スキルも難易度高そうだね
444:リンドバーグ
朝霧さんなら出来そうじゃないですか?
445:朝霧
う~ん、レシピを見ていないから何とも言えないけど、それなりに生産スキルも上げてあるから多分いけるんじゃないかなぁ
446:佐々やん
おお! 流石は万能生産者!
447:ブックオフ
さすがは朝霧さんだ!
448:朝霧
や、レシピがあっても素材が(汗
449:ソフィアデルカ
そこは懇意にしている戦闘プレイヤーにお願いするんですよ
素材を見つけてきてくれなきゃ装備は作りませんよって
450:ブックオフ
>>449 脅迫になってるwww
451:佐々やん
>>449 おまっ それ脅迫だからwww
452:リンドバーグ
でも朝霧さんはソードダンサーと仲がいいんだよね?
453:佐々やん
おお!? なんだそれ!? だったら素材集めも希望が持てるじゃん!
454:ソフィアデルカ
スーバー生産者に最強プレイヤー
なんて強力なタッグなんでしょうw
455:パパロバ
あれ~? いつの間にか朝霧さんが伝説レシピを入手する方向で話が進んでる・・・w




