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Angel In Online  作者: 一狼
第7章 Zodiac
32/84

30.トッププレイヤーと臨時PT

『ガゥ!?』


 噛み付こうと襲い掛かる黄金の獅子の顎を、下から蹴りスキル戦技・膝蹴りで蹴り上げる。

 跳ね上がった頭を蹴りスキル戦技・二連脚を叩き込む。

 再び襲い掛かる獅子の前足攻撃をターンステップで躱しながら蹴りスキル戦技・回し蹴りを獅子の横っ面にぶち込む。

 そのまま足を頭上に掲げ蹴りスキル戦技・踵落とし――ではなく、戦技ではない踵落とし(蹴りスキルLvが高くないため踵落としの戦技が使えない)を獅子の頭に食らわせ、地面に叩き付ける。


 当然その間にも獅子の纏う雷にバチバチダメージを受けHPが減っているが、治癒魔法で随時回復していく。


 そう、両手の使えない今の俺にできる攻撃方法が蹴りスキルの活用だった。

 まさか埋め合わせでつけていたサブスキルが役に立つとは・・・


 ステップと蹴りのスキルの組み合わせでの舞うような攻撃は、まるで『足技の剣舞(ソードダンス)』――じゃないな。ステップと蹴りのスキルは武闘士(グラップラー)(ジョブ)スキルにもあるので、別に俺だけの技と言うわけではない。蹴り技の上手い人なら同じようなことが出来るだろう。


 そうそう、ついでに獣化スキル戦技・ガゼルレッグで敏捷度を上げる。

 ボス戦とかでしか獣化スキルを使用しないのでスキルのLvはあまり上がってないが、獣化スキルの初期戦技は低Lvでも十分有用だ。


 俺の攻撃に耐えかねた獅子は、一度俺から距離を取り再び唸りを上げる。


 拙い! またあの共振音波(ハウリングボイス)か!

 両手に加え今度は別の部分が麻痺すると確実に詰む。


 俺はそうはさせまいと獅子にハイステップで近づき、唸りを上げている口目がけて蹴りを突っ込む。


『ガルゥ!?』


 俺は獅子の口に足を突っ込んだままの状態で、つま先を発動点にして魔法を放つ。


「ファイヤージャベリン!」


『ガァァァァ!!』


 黄金の獅子は口の中を火達磨にされて、そのままHPが0になり光の粒子となって消える。


「はぁ~、助かった~。流石に今のはやばかった~」


 今回は麻痺1の部分麻痺だったからよかったけど、これが麻痺2の全身麻痺だったらやばかったなぁ。

 取り落した2本の刀を回収しようと思ったが、まだ両手が麻痺状態だったのでBuffが切れるまで30分待たなければならない。


 ――そしてそこで俺は重大な事に気が付く。


「・・・治癒魔法スキルにキュアパラライズがあるじゃないか・・・・・・」


 何のために治癒魔法が使える戦巫女になったんだよ。

 俺は思わずその場にへたり込む。




9月8日 ――39日目――


 獅子座との戦いで自分の間抜けさに呆れて他の守護者の攻略をする気にはなれず、昨日はそのままスタシートの町に戻り宿を取った。


 俺が宿を取ったところは食堂が無く素泊まりの宿だったので、朝食を取るべく冒険者ギルドへ行く。

 スタシートの町の冒険者ギルドはかなり規模が大きく、王都やウエストシティや東和都市と同じように食堂も設備されている。


 俺が冒険者ギルドの扉をくぐると、中に居た他のプレイヤー達が一斉に俺の方を見た。

 俺はいきなり注目されたため何事かと思い、思わず後ろを見たり周りを見渡してしまった。

 え? 何これ?


 不審に思いつつも席に着くと、周りのプレイヤー達が一斉に俺に話しかけてくる。


「やぁ、昨日はPTを断って悪かったね。昨日の今日でアレだけどもしよかったらPTに入らないかい?」


「ねぇねぇ、よく見たら戦巫女もイケてるじゃん。あたし達のPTに入ってみない?」


「おい、昨日俺達のPTに入りたがってたよな。いいぜ入れてやるよ。丁度欠員が出てな。おめぇも運がいいぜ」


「戦巫女に興味があってね。よかったらPTに入らないかい? ついでに地雷職なんて噂も払拭して上げるよ」


「よう、昨日は刀の戦巫女なんて言って悪かった。謝るから俺達のPTに入ってくれ」


「うん、良く考えたら後衛の火力もできるし前衛も出来る戦巫女は十分戦力だよね。と言う訳でPTに入らない?」


 えーと、もう一回言おう。

 え? 何これ!?


 昨日はあんなに戦巫女をこき下ろしていたのに、何いきなりこの掌返し。

 いくらなんでも怪しすぎだろ。


「はい、そこまで。

 君たちは昨日彼女のPTの誘いを断っていたんだろ? それをいきなり今日になってからPT入れてあげていいよって、いくらなんでも都合がよすぎるんじゃないかな?」


 俺が不審がっていると、魔術師風の男が周りのPTに注意を言い放つ。

 どうもこの男はここでは有名みたいだ。出てきた瞬間周りの騒ぎが一気に収まった。


「そうじゃ、何じゃ若い者が簡単に手のひら返しおって。一度口にしたことには責任を持つものじゃ」


 次に魔術師風の男の隣から出てきた少女は辛らつな言葉を言う。

 身長は俺と同じくらいか? 胸は一般的みたいだから俺みたいなロリ巨乳ではないが、言葉使いから見るにこれがロリババァというものだろうか?

 よく見ると後ろには騎士風の女に侍の男、司教風の女に女忍者(クノイチ)が控えていた。

 ちなみに少女は魔術師風の格好をしている。


「や、けどアッシュさん。ルーベットさん。一気に戦力が強化できるのに指をくわえてみているなんて出来ないですよ」


 俺をPTに誘ってきた男はやや気まずそうに言う。

 ん? 戦力の強化?


「気持ちは分かるけどね。

 だけど彼女の実力に気が付かずに追い返したのは君たちでしょ? それが獅子座をソロで倒したからって急に態度を変えるのは如何なものと思うけど」


「もう少し人を見る目を養うんじゃな。職業や見た目で選ぶからそうなるんじゃ」


 魔術師風の男がアッシュ、ロリ少女がルーベットなのだろう。2人の言葉に渋々俺の周りから解散していく。


「すまなかったね。彼らも悪気があったわけではないんだろうけど。

 君は昨日ソロで獅子座を倒したのだろう? それを見ていた人がいてね。とてつもない実力があると分かったものだから、他の人にとられる前に仲間に引き入れようとしたんだよ」


「そういう訳で、わしらの仲間になるのじゃ」


 ルーベットの突然の仲間宣言に俺は固まる。

 えーと、何をどうするとそういう訳になるのだろう?


「ちょ! ルーベットちゃん! ズルいわよ! あたし達にみっともない真似やめろって言ったのに、手のひら返すような真似して!」


 散っていったPT勧誘者たちが再び集まり始める。

 だが言われたルーベットはそんな言葉に怯みもせず胸を張って答える。


「ふふん、手のひらを返すも何もわしたちは今日初めて彼女を勧誘するのじゃ。

 1度断ったお主たちには権利はないが、わしらにはまだ勧誘する権利がある。

 何か問題でもあるかの?」


 ルーベットの言葉にPT勧誘者たちは、納得がいかない表情をしながらも口を噤んでしまう。

 まぁ、気持ちは分かる。突然現れた強いプレイヤーを仲間にしようと思ったら、横取りされたようなものだし。


 しかし、獅子座との戦闘を見た人がいたのか。

 ソロで倒すともなれば是非勧誘したいと思うのは分かるのだが、ここまで大げさなものなのだろうか?


「わたしも『十二星座の王』攻略の臨時PTを探してたからPTの御誘いにはありがたいんだけど、ここまで大騒ぎするほどの事なの?」


「君のような人がPTに入ってくれるのはありがたいよ。

 まぁ大騒ぎと言うか、守護者と言えど『十二星座の王』の眷属だからね。強さも(ボス)並に強いんだよ。

 それをソロで倒すんだからトッププレイヤークラスなのは間違いないからね」


「トッププレイヤー?」


 俺は思わず聞き返す。

 自分の強さが異常なのは知っているが、流石にトップクラスとは思っていない。

 1番だと自惚れてて自分より強いプレイヤーに会ったら目も当てられないからな。

 上には上がいる。井の中の蛙と思っていた方がデスゲームの中では安全にプレイできるはずだ。


「そう、トッププレイヤークラス。

 オレが知っている限りAI-On(アイオン)には3人のトッププレイヤーがいる。

 すなわちAI-On(アイオン)最強の3人だね。君はその4人目と言うところかな?」


「えーと、ちなみにその3人って?」


「うん、オレが一押しなのは『剣の舞姫(ソードダンサー)』の二つ名を持つフェンリル。

 彼女の二刀流の剣舞と魔法のコラボレーションは最強の一言に尽きるね」


 ぶ―――――――――――――!!!

 ちょ! えっ!? 俺トッププレイヤーに数えられているのか!?

 俺の内心の焦りを余所に、今度はクノイチが2人目のトッププレイヤーを言う。


「あたしの一押しは疾風だね。二つ名は『瞬動』。

 彼の攻撃は一瞬で間合いを詰めての攻撃。本当に瞬間移動したかのような移動速度なんだよ」


「うむ、わしの一押しは『豪鬼』の二つ名を持つGGじゃな。身の丈ほどのある大槌から繰り出される攻撃は、破壊力だけで言ったらAI-On(アイオン)最強じゃろう」


 ルーベットの言った3人目には聞き覚えがあった。

 戦争イベントの時のギルド連合に参加していたギルド『GGG(スリージー)』のギルドマスターだ。

 あの時はそんな余裕は無かったのでそれほど観察できたわけではなかったが、『豪鬼』の二つ名に相応しいような体格のいい大男だったのは覚えている。


「とまぁ、この3人がオレが知る限りのトッププレイヤーなんだけど、今日から君もトッププレイヤーの仲間入りだね。

 最強プレイヤーが仲間になってくれるなんて心強いね」


「あはははは・・・」


 俺はもう乾いた笑いしか出ませんよ。


「そう言えばお主名前は何というんじゃ?

 わしはルーベット。職業は精霊術師(エレメンター)じゃ。中身は70歳の婆じゃがよろしく頼むぞ」


「え!? 70歳のお婆ちゃん!?」


 いや、確かにAI-On(アイオン)では外見がランダムに決まるから、身体(アバター)が幼女でも中身が年上と言うことはある。

 だけど70歳のお婆ちゃんって。


「あはは、驚いた? ルーちゃんはこう見えてゲーマーなんだよ。AI-On(アイオン)に来る前にも色んなVRやMMOを渡り歩いてきたんだって」


「うむ、婆はこう見えてハイテクなものに目が無くてのう。片っ端から試していたらAI-On(アイオン)に捕まってしまったのじゃ。

 老い先短い婆はいいが、若者たちが不憫での。婆が一肌脱いでデスゲームからの脱出に協力してるのじゃ」


 クノイチの言う通りゲーマーなのだろう。お年寄り特有の機械音痴の感じが見られない。

 いやでもお婆ちゃんのVRプレイって元気すぎるでしょ。


「ルーベットさんにはオレ達のギルドのサブマスターをやってもらっている。

 で、オレがギルド『桜花伝』のギルドマスターのアッシュです。職業は光輝魔術師シャイニングウィザード

 一応、攻略ギルドと自負はしているけど周りから見たらどうなんだろうね」


「はぁ、アー君もっと自信持とうよ。キミの実力はトッププレイヤーとはいかないけど上位に入っているし、ギルドも間違いなく上から数えた方が早い方に入るから。

 あ、あたしは千代女。見ての通り忍者――暗殺者(アサシン)よ。よろしくね」


「私は志乃と申します。闇騎士(ダークナイト)の職業でこのPTの盾役を担っております。

 見ての通り私達のマスターは少々自信が持てない方ですが、実力の方は保障できますのでよろしくお願いいたします」


「おれっちはハヤウェイっす。見ての通り侍職――武将の職業についているっす。

 アッシュよりルーベットの方がギルドマスターに相応しいように見えるが気にしないで欲しいっす」


「あたしは武装法師(アーマービショップ)のマキミキよ。マキって呼んでね。

 志乃の言う通り、アッシュにはもう少し自信を持ってもらいたいんだけどね」


 自信が無いと言いつつも、さっきの俺への強引な勧誘から助けた時みたいにやる時はやるタイプの人間なのだろう。


「で、キミの名前はなんていうのかな?

 そういえばキミ、刀を左右に装備してるんだね。まるで剣の舞姫(ソードダンサー)みたいだね」


「ええーと・・・、わたしがその剣の舞姫(ソードダンサー)です」


「「「「「「え?」」」」」」


 俺の発言にみんなが同時に聞き返す。


「その、剣の舞姫(ソードダンサー)のフェンリルです」


「「「「「「・・・ええぇぇぇぇ――――――――――!!!!!??」」」」」」


 次の瞬間、彼らだけではなく周りで聞き耳を立てていたプレイヤー達の絶叫が冒険者ギルド内に響き渡った。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「はぁー、まさか剣の舞姫(ソードダンサー)本人とはビックリしたっす。そりゃあソロで獅子座を倒せるわけっすよ」


「だね。魔法少女の格好じゃないから分からなかったよ。

 それにしても戦巫女に転職してたとはねぇ。フェンちゃんも思い切ったことするね」


 俺達はあの後、冒険者ギルドで朝食を取り臨時メンバーとして俺を加えたPTで天秤座の攻略に向かうことにした。

 その道中、ハヤウェイや千代女が俺の正体にしきりに感心していた。

 アッシュはトッププレイヤー本人がいるにも拘らず、俺の事を4番目のトッププレイヤーと言ってしまったことに赤面していたりする。


「さっきも言ったけど、ソロでプレイするには前衛、後衛、回復の3つが揃った戦巫女が丁度良かったからね。

 にしてもトッププレイヤーかぁ~。そんな大層な風に呼ばれるほどのものじゃないとおもうんだけどね」


「確かにお主ほどの実力があれば戦巫女の職は最適じゃろう。

 アッシュほどではないが、お主も自分の実力に自信を持った方がいいぞ。お主は皆の憧れじゃからな。そんなお主が自信無さげにしているとAI-On(アイオン)全体の士気にまで影響する。上に立つ者は少々自信過剰でいいくらいじゃ」


 ルーベットさんの言う通り、他のVRMMOでも最強のプレイヤーがボス戦とかに参加して士気を高めたりするのはよくあることだ。

 そんな最強のプレイヤーがオドオドしていたりすると、当然やる気も失せてしまう。


「それよりもこれから向かう天秤座ってどんな守護者なの? 何か攻撃が通じないって話なんだけど」


「うーん、確かにどんな攻撃も一切通じないんだよね。まぁ向こうからも攻撃してこないんだけど。

 攻撃が通じないって言うより、相殺されてるって感じかな?」


「相殺? 攻撃に攻撃がぶつけられてるってこと?」


「うん、不可視の攻撃があたし達の攻撃を迎撃してるみたい。

 攻撃しないで普通に歩いて天秤座に触ることできるから、バリアみたいなのじゃないし」


 俺は千代女の言葉に天秤の特性を思い浮かべる。

 こちらが10の力で攻撃すれば10の力で、20の魔法で攻撃すれば20の魔法で相殺する。

 力を等しく吊り合せる天秤の特徴ともいえる。


「なるほどね、わたし達と自分の攻撃のバランスを等しくするのが天秤座の能力なのね。

 それでどうやって攻略するつもりなの?」


「うむ、それはアッシュに考えがあるのじゃろう。

 これ、いつまでも悶えてないでシャキッとせんか」


 未だに赤面して悶えていたアッシュにルーベットさんが活を入れる。


「あ、はい! えーと、天秤座の攻略だけど、簡単にできると思うよ? あ、いや、簡単だけど難しいのかな? 攻撃自体は単純だけどタイミングが・・・」


「マスター、ハッキリしてください。私達に明瞭簡潔にお願いいたします」


 突然ぶつぶつ言いはじめたアッシュだったが、今度は志乃に注意されてしまう。

 うーん、この人大丈夫か?

 実力はあると思うけど、ギルドマスターとしてやっていけてるのだろうか?

 どうも性格等がマスター向けじゃないみたいだなぁ。


「・・・すみません。

 まぁ、オレ達がやることは単純。単一の攻撃が迎撃されるのなら、同時に攻撃をすればいいと思う」


「でもそれって他のPTでもやってるんじゃないの? 攻撃が通じたって話は聞いたことないけど」


「マキの言う通り他のPTでも試されてることなんだけど、攻撃が通じなかったのは同時攻撃のタイミングがシビアだってこと。

 コンマ何秒のズレも許されない同時攻撃、これが単純だけど難しい理由」


 天秤座の天秤特性はあくまで対一ってことなのか。タイミングがズレてるから連続で迎撃しているに過ぎない。

 2人同時だと天秤のバランスが崩れるから攻撃が通じるのだろう。


「あともう1つの方法として、フェンリルさんの攻撃が上げられる」


「え? わたしの?」


 俺の攻撃? 二刀流の攻撃の事だろうか?

 だったら俺だけでなく、千代女の暗殺者(アサシン)やハヤウェイの武将にも二刀流の(ジョブ)スキルがあるはず。


「ほう、なるほど。フェンリルの魔法剣の事じゃな。

 あれは武器攻撃と魔法攻撃の同時攻撃になる。しかもシステム外の攻撃だから天秤座の迎撃能力に認識されないかもしれないじゃろう」


「なるほどね~。確かにフェンちゃんの魔法剣ならラクショーかも」


 確かに魔法剣なら武器と魔法の同時攻撃だ。ルーベットさんの言う通りシステム外スキルだから通じるだろう。

 向こうの攻撃は無く、こちらからの一方的な攻撃。千代女の言う通り楽勝なのかもしれない。

 だが守護者である以上何か仕掛けがあるのかもしれない。あの獅子座のように。

 それはアッシュも予想していたようだ。


「そう簡単にいけばいいんだけけど、多分今までの守護者の特徴から見るにHPが半分になってからと3割になってから、それぞれ攻撃パターンが変わるから油断できないよ」


「そういえばそうだった・・・」


「急に強くなったりするのは厄介だったっす。強くなるのはまだいいっすけど、特殊攻撃は面倒くさいので勘弁してほしいっす」


 楽をしようとしていた千代女は肩を落とし、ハヤウェイは特殊攻撃が無いことを祈っていた。

 確かに獅子座の麻痺攻撃は厄介だったよなぁ。


「あー、確かにHPの半分になった時と3割になった時に攻撃パターンが変わったね。獅子座の纏う雷と麻痺攻撃は危なかったよ」


「やっぱり獅子座にも攻撃パターンの変化はあったのね。

 獅子座は火を噴くだけからあたし達でもイケるかと思ってたけど、やっぱり簡単にはいかないかぁ~」


 俺の言葉に千代女はげんなりする。

 そりゃあ楽できたらいいけど、仮にも王の眷属だよ。一筋縄でいかないに決まってる。

 ・・・俺も獅子座なら楽勝と思ってたから人のことは言えないけど。


「纏う雷はちょっと厄介だけど、麻痺攻撃はアクセサリーがあれば何とかなったかもね」


「え? アクセサリー?」


 マキの呟いた言葉に俺は反応する。

 あれ? アクセサリーがあれば対応できるのか?


「え? 属性軽減とか無効化のネックレスのアクセサリーよ。フェンリルさんもつけてるでしょ?」


「・・・・・・アクセサリー、1つも付けてません・・・・・・」


「「「「「「・・・・・・」」」」」」


 俺の言葉にみんな黙り込んでしまう。

 そう言えば俺、指輪だの腕輪だの首飾りだの耳飾りだののアクセサリーの1つも付けてないよ。


「ちょ!! あり得ないっす!! 今までアクセサリーの1つも付けてないなんて異常っすよ!!」


「うっわー、フェルちゃん大物。まさかの補助装備なしとは」


「アクセサリーなしで今まで生き残ってきたとは・・・トッププレイヤーは運もトップなのか?」


「・・・よく麻痺無効化なしで獅子座を倒せたね。フェンリルさんの強さって運も兼ねてるんだね・・・」


「アクセサリーは補助装備とは言え重要な装備です。今まで装備なしで生き残ってきたとは信じられません。

 そしてこれからも生き残れるとは限りません。今からでも装備を付けるべきです」


「じゃな。このまま守護者に行っても万が一と言うこともあり得る。一度町に戻ってから挑戦するぞ。

 お主もソロで活動する以上、そういう事には気を付けるべきじゃ。

 しかしそれでもここまで生き延びてこれたとは・・・これも魔法少女クオリティかの?」


 ・・・いきなり町に戻ることになっちゃいました。

 あれー?

 って魔法少女クオリティはやめてくれ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


ソードダンサーに関するスレ6


111:みくみん

 大変です! 舞姫様が魔法少女じゃなくなった!


112:AVENGERS

 え? なになに? どういうこと?


113:ジャッジメント

 >>111 kwsk


114:みくみん

 いつの間にか萌え巫女になってました


115:狼御前

 萌え巫女?


116:ブルースカイ

 萌え巫女?


117:愚か者の晩餐

 あ! 巫女職に転職したってことか!


118:みくみん

 >>117 そうの通りです

 しかも戦巫女に転職してました


119:光の王子

 巫女職なのは分かったが、萌え巫女ってどういうことだ?


120:狼御前

 戦巫女とは・・・ソードダンサーもかなり思い切ったことしたね


121:みくみん

 >>119 格好が萌え仕様

 緋袴じゃなく、緋色のミニスカートに同色のハイニーブーツ

 白の上衣もアレンジされていた


122:独眼竜

 おおう、何と言う萌え仕様www

 あーそういえばソードダンサーは萌えスキルと言う面白スキル持ってたっけwww


123:クリムゾン

 戦巫女でも十分使いこなしてると思う

 なにせ十二星座の王の守護者をソロで倒してるからね


124:邪気癌

 >>121 胸はどうだった?


125:みくみん

 相変わらずの巨乳仕様でした(≧д≦)ゞ

 ( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!


126:邪気癌

 うむ、( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!


127:狼御前

 王の眷属をソロで倒すとは・・・

 流石ソードダンサー、彼女の強さには職はあまり影響はないんだね


128:AVENGERS

 ( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!


129:ジャッジメント

 ( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!


130:天然夢想流

 そう言えばその萌えスキル、特殊職の偶像者〈アイドル〉に職スキルとしてあるね


131:DOGS

 するとどんな装備を着ても萌えアイドル仕様になるってことかw


132:天然夢想流

 そうなるな

 ただ職スキルだからONOFFが出来るから、アイドル職が全部が全部萌え仕様になることはないな


133:愚か者の晩餐

 ( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!


134:クリムゾン

 おっぱいおっぱいうるせーぞwww


135:DOGS

 というかアイドル職になるやつなんているのか?

 あまり戦闘関連でメリットがあると思えないんだけど


136:狼御前

 職・スキル関連は他のスレでした方がいいですよ


137:DOGS

 おっと、失礼しました


138:Dインパクト

 ( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!


139:究極の遊び人

 ( ・∀・)o彡°おっぱい!おっぱい!


140:光の王子

 まだおっぱい言うのかwww


141:双竜・明日香・嵐昏

 舞姫信者って馬鹿集団なの?





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