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第30話「影の刃・四獣暗殺作戦」



王都イグナリス・軍務庁・地下戦略室。


重厚な扉が閉じられ、限られた幹部のみが集められた極秘会議が始まる。軍務卿ガルド・ヴァンデルが地図と資料を広げ、冷たい声で告げる。


「モルテア国の防衛戦力は、召喚士レイの契約モンスター4体に集約されている」


壁に映し出された幻影には、4体の姿が浮かぶ。


- 白銀の髪の少女型:風と回復を操るスライム進化体【ミュー】

- 黒髪の女性型:地を砕くゴブリン進化体【グラ】

- 炎を纏う女性型:突撃力を誇るオーク進化体【バル】

- 翼を持つ少女型:光魔法と結界を操るコボルト進化体【リリィ】


「この4体を排除すれば、モルテアの防衛線は崩れる。戦争前に“影の刃”を振るう」


参謀長セリュスが頷く。


「暗殺部隊《黒衣兵》を動かすべきかと。通常の兵では太刀打ちできません」


ガルドは静かに言った。


「動かすのは最精鋭――《黒衣兵・特級部隊》200名。4体に対し、50名ずつを割り当て、同時に仕掛ける」


「同時攻撃……?」


「そうだ。一体でも逃せば、他の者が警戒する。だからこそ、同時に、確実に、沈める」


エルドランが腕を組み、低く呟く。


「……レイの契約魔獣は、もはや“兵器”だ。神の秩序を拒む者に、慈悲は不要」


ガルドは立ち上がり、剣を掲げる。


「命令を下す。《四獣暗殺作戦》を発動。影の刃を、モルテアに突き立てよ」


その言葉と共に、黒衣兵たちは静かに動き出す。


夜の闇に紛れ、200の影がモルテアへと向かう――


そして、戦争は“始まる前”に、血の気配を帯びていた。

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