第3話「最初の壁と試練」
第3話「精霊の目覚めと小さな革命」
辺境の森の奥、レイたちは小さな開けた土地を見つけた。川が流れ、木々に囲まれ、外敵の侵入も防ぎやすい。自然の守りに包まれたこの場所を、彼らは拠点に選んだ。
「この場所なら、村を作れる。まずは住居と食料の確保だ」
レイの指示に、モンスターたちは即座に動き出す。
- ゴブリンのグラは建築魔法で木材を強化し、簡易な住居を建て始める。
- オークのバルは畑を耕し、シールド魔法で土壌を守る。
- コボルトのリリィはバフ魔法で作業効率を高め、
- スライムのミューは水を浄化して飲み水を確保する。
村は少しずつ形になっていった。だが、その平穏は長くは続かなかった。
森の奥から、異様な咆哮が響く。空を裂いて現れたのは、野生のワイバーン。翼を広げ、鋭い爪を光らせながら、村に向かって急降下してくる。
「全員、戦闘配置!」
レイの声に、モンスターたちが即座に動く。
- バルが前線に立ち、巨大な盾でワイバーンの突撃を受け止める。シールド魔法が衝撃を吸収し、地面にひびが入るほどの威力を防ぎきった。
- グラが毒霧を展開。ワイバーンの視界を奪い、動きを鈍らせる。
- リリィがバフ魔法でバルの防御力を強化し、グラの魔法の範囲を拡大する。
- ミューが回復魔法を連続で発動。バルの傷を癒し、グラの魔力を補充する。
レイは後方から指揮を取り、召喚魔法を展開。
「召喚魔法!」
「今だ、集中攻撃!」
モンスターたちが一斉に魔法を放ち、ワイバーンは地に落ちた。
静寂が戻る。レイは息を整えながら、仲間たちを見渡した。
「……君たちの力は、本物だ。王都の連中が見捨てた力が、今こうして村を守った」
その瞬間、モンスターたちの体が淡く光り始める。魔力の波動が広がり、彼らのステータスが変化していく。
【モンスターランクアップ:F → D】
- グラの毒霧が濃度を増し、麻痺効果が強化。
- バルの盾に魔法耐性が追加され、守備範囲が拡大。
- リリィのバフ魔法が複合強化に進化し、味方全体に効果が及ぶ。
- ミューの回復魔法が範囲回復へと進化し、癒しの波動が仲間全体に広がる。
レイはギルドカードの通知を見て、目を見開いた。
【召喚士ランクアップ:D → C】
「僕も……ランクアップしたのか」
その時、風が優しく渦を巻き、空気が震えた。
「こんにちわ、レイ」
声の主は、光の粒子に包まれた人の姿――精霊だった。
「あなたたちは……?」
「私達は精霊。あなたが召喚できるようになったから、挨拶に来たの」
風の精霊、土の精霊、水の精霊。彼らは微笑みながら、レイの前に立つ。
「これから、あなたの力になれる。私達も、あなたの“国”の一員になりたい」
レイは驚きながらも、ゆっくりと手を差し出した。
「……よろしく。一緒に、みんなの居場所を作ろう」
モンスターたちは誇らしげにうなずいた。
辺境の森に、小さな革命の火が灯った。
そしてその炎は、精霊の風に乗って、世界へと広がり始める。




