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 シキはフユの両肩に手を置く。


「え?」

「これ、回避減退(小)の呪い付きです」

「うぇっ?」

「うはっは、そりゃ災難だなぁ」

「でもフユ君の俊敏さなら問題ない気もするさ」

「まぁ俺より速ぇしな」


 更にガッカリしているフユに笑いながらも軽く慰める姉二人。フユはフユで「お兄ちゃんと会う前までのボクって、なんか悲惨過ぎない?」と落ち込む。このショートソードも金が無いながらも、そして捨て売りされていた物ではあったが苦労して購入し苦楽を共にしてきた相棒なのは確かである。


「そして次に良いお知らせです」


 メタルイーター製ショートソード:自己修復(極) 獲得ジョブポイント向上(小) 身体能力向上(小) 回避減退(小)の呪い 


「以上。これはとても良い物だと思います」


 シキは『解析』結果を三人に伝えた。落として上げる作戦だ。フユの俊敏さがあればアキの言うとおり多少の回避率減退は問題にならないだろうしこれだけ付与効果が付いていればそれなり以上に貴重な物だろうと踏んでの茶番のつもりであった。


「うぇっ?」

「おい……って、おい」

「シキ君、ちょっと出ようか?」

「え? あ、ごめん、ふざけすぎた?」

「本当のことさね?」

「う、うん」


 そして三人に連行されるように宿に戻り、三人が寝泊まりしている部屋に入った瞬間。


「お兄ちゃん、ほんとっ?」

「いやいやいや、マジかよ!?」

「魔剣じゃないのさ!」


 三者三様、大声を上げた。食ってかかるように迫るフユに面食らってシキは慌てて何度も頭を縦に振る。


「あ、え? 魔剣?」

「そうさ!」


 アキによると、魔物は時折、その生命が尽きた時にその体が武器や防具、様々な道具へと変化するという。しかしそれはかなり珍しい事であり魔具と呼ばれそれぞれが強力な攻撃力や付加効果を有しているのだとアキは続けた。


「もう色んな事が納得さ。自己修復(極)もあればそりゃあ手入れも不要。この時点でレアもレアさ。さらに四種(クォドルプル)のフユ君が各ジョブLv.2というのも納得、獲得ジョブポイント向上(小)の影響も有ったってことさ」

「いくらフユは元々が強くてかなり前から鍛えてたとしても十歳そこそこじゃせいぜいジョブLvなんて2か3。そう考えると四種(クォドルプル)であるフユは普通に行けば現時点でレベルは0か1が妥当だ。ジョブレベルは中々上がらないからな」

「もう、一生これで良い」


 フユはうっとりとした眼差しで相棒を撫でる。戦力外にしようとしたことを詫びるかのように大事そうに抱えた。


「身体能力向上(小)が付いてるなら回避減退(小)だって相殺してるどころか他の面で良い意味でお釣りが来るさね」

「へー」

「シキ。お前もう外で鑑定スキル使う時絶対人に聞かれるなよ?」

「そうさ。普通は相当疲れるから熟練者でも一日四、五回しか出来ないって言うさ」

「了解。あれ、アキちゃんのは良かったの?」


 ふと思い出し尋ねる。


「ああ、弓は禄なの無かったし良いの有れば短刀買おうと思ってただけだから構わないよ。次の町に期待さね」


 フユが見ていた棚の辺りで選ぼうとしていたので既にシキが『残念!』宣言していた以上あえてあの店で買い換える意味はなくなったのである。


「あ、僕、格好良い鎧買おうかと思ったんだけど」


 ヴィジュアル重視シキ。


「マジシャンが鎧って大変じゃね?」

「ちなみにシキ君のそのローブは?」

「そのローブ、とても良さそう」


 改めて言われ、そう言われてみれば『解析』してなかったと思い試す。


「えーと、青魔術師のローブ:自己修復(極) 自動洗浄(極) 回避率向上(大) 身体能力向上(大) 物理防御向上(大) 属性防御向上(極)。あ、これも結構良いものなんだね」

「もうどこからツッコめば良いのやら。売れば一生食べていけるんでないかい?」

「お兄ちゃん、ハンターやるなら絶対杖もローブも手放しちゃ駄目。死ぬ」

「風呂以外で脱ぐなよ? 洗濯する必要もねぇから」


 この展開は読めた、と三人は呆れた。

 そして杖だけでなくローブにも身体能力向上(大)が付いているにも関わらず人並みの身体能力なシキに「この人、装備脱いだらどうなんの?」と不安にならざるを得なかった。


「もう、なんか、シキ君は買い換える必要無いさ。せいぜい頭部とか手足とかアクセサリーの追加で十分」

「どこで手に入れたんだよ、その装備」


 女神からの贈り物です、とは流石に言えないシキは苦笑いだけ浮かべ誤魔化す。


「ナツ姉」


 名を呼びその後は無言で首を振る妹分にナツはただ諦めたように頷いた。

 シキの謎さ加減に呆れつつも馴れつつある三人であった。




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