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  ぴこーん

 ブルーマジック 【バット(傘)】を覚えました


**アイテムボックス**

水入り皮袋(五百ml)×99

干し肉(牛肉 百グラム)×99

乾パン(二百グラム)×99

魔石×94 (計:三万四千ジェニン相当) 

空き

空き

空き

空き

空き

空き

==整理整頓=

==ゴミ箱==

************

  ぴこーん

 ブルーマジック 【バット(傘)】を覚えました


 所持マジック

【ゴブリン】1/3

【ゴブリン(白)】0/3

【バット】-/- NEW!

【ホーンラット】-/-


**アイテムボックス**

水入り皮袋(五百ml)×98

干し肉(牛肉 百グラム)×99

乾パン(二百グラム)×99

魔石×94 (計:三万四千ジェニン相当) 

皮袋(空)×1

空き

空き

空き

空き

空き

==整理整頓=

==ゴミ箱==

************


「三万ジェニンは溜まったね。割と順調?」

「悪くは無いね。ただこのペースだと三百万ジェニンは厳しいからもっと下に行くさ」

「静かに」


 フユが二人を黙らせ耳を澄ませていた。


「この先で戦闘中」


 この少女はソードマスターではないのか? 忍者かシーフのスキル持ちではないか、とアキは疑問に思うが余計な詮索は今は不要であり一つ心当たりが有ったので口には出さない。何であれ協力者が有能なのは有り難い以外の何者でもない。


「二人以上、魔物は多分虫系」

「凄いねぇ、そんなことまで解るんだ」

「虫っぽい音が聞こえる」

「うわぁ、でかい虫とか見たくないわぁ」


 シキは苦い顔をするが森育ちのアキにとってはむしろ良質な蛋白源にしか見えず種類によっては思わず生唾を飲む。虫の魔物など外でも食卓でも見慣れたものなのでその感覚が解らない。


 現在地は一本道。


「ちょっとゆっくり行こ。邪魔したと因縁つけられても困るさ」

「らじゃ」


 冒険者は基本的に自己責任である。何か因縁を付けられても明確な証拠が無ければハンターギルドも相手にしない。隙を作らず、敵を作らずが無難である。


「ゆっくり来たのに追いついてしまったさ」

「のんびり屋」


 三人が前方で戦うハンターたちに追いつくとアキとフユは溜息をついていた。


「二人とも少しは慌てよう!? あの人達やばくない!?」



 女四人パーティーで二人が既に地に伏して生死不明、残り二人も魔物の攻撃を捌くのもやっとと言った状況である


「くっ!」

「うぁっ! ひぃっ!」


 少女と言っていいくらいの年格好の見るからに戦士二人が立ち向かっているのは人間サイズの黒いカマキリ、それも二匹。背後に仲間が倒れ、守ろうとしているのだと見て取れた。


「っ!?」


 かまきり型の魔物の鋭い一撃が少女戦士の盾に持った腕ごと突き刺さると痛みでもう片方に持った剣を落としてしまう。


「いぃっひぃっ!」

「立て! あっ」


 もう一人の得物はメイス、だがもう一匹の鎌によって弾き飛ばされてしまう。


「や、やばいよ! アキさん弓で!」

「不要さ」


 冷徹にも聞こえたアキの言葉にシキは唖然とするがすぐに事態の急変に気付く。


「ふぅ」


 フユのいつも通りの平坦な声が響くと軽い破裂音と共に魔物と少女たちが煙で包み込まれる。その中にフユが影となる勢いで突っ込んでいった。


「フユちゃん!?」

「何?」

「えぇ!?」


 突っ込んだと思ったフユが気付けばシキの隣に立ってショートソードを拭っていた。


  ぴこーん

 ブルーマジック 【マンティス(黒)】を覚えました


「ブラックマンティスの討伐推奨はCランク。大したもんさ」


 徐々に煙が晴れるとそこに残されたのはしゃがみ込んだ少女戦士二人と最初から伏せていた魔術士風の二人。

 さらにカマキリ型の魔物がニ体倒れていた。それも魔物はニ体とも頭部を失い白濁の体液が地面に広がり始めている。


「大丈夫ですか!?」


 フユの戦闘力に驚いていたがそれよりも目の前の怪我人の治療が先である。シキは駆け寄る。


「ぅ、うぅ、ポーション、を」

「助けてくれて有り難うございます、すみません、回復薬切らしてしまって、御願いします分けてもらえませんか!?」

「アキさん!」


 シキはアキが回復薬を用意しているのを思い出す。


「シキ君、折角だからさっきの君のマジックを試す良い機会さ」


 本音としては親友を救うために揃えた薬であり今後何が起こるか解らない以上、出来るだけ使用したくはない。

 見知らぬ人間と親友を天秤にかけているのであるがハンター自体が自己責任である以上助ける義理も本来はない。

 あっちもこっちもと手を出して一番大事な者を助けられない可能性を広げることはアキには出来なかったのでシキのマジックで回復するなら良しとし、ポーションを分けるにしてもそれ相応の対価を求める事にする。


「なんとか御願いします! お金なら払います! このままじゃ……死んじゃう」


 アキの考えは自然なものである。故に責めようとも思えずただ懇願する。彼女たちも自分たちに出来る最良の準備を持ち迷宮に突入している。ただ、元々強いブラックマンティス、それも二匹に不意打ちを食らい逃げる間もなく二人倒されてしまったのだ。


「そっちの、ホワイトマジシャン?」


 フユは倒れた白装束の少女を指さす。白い装束は体中のあちこちに赤い染みを作っていた。


「はい、彼女だけでも助けて貰えれば後は自分たちで」

「解った。シキさん、こっち先」

「貴方ホワイトマジシャンですか!? 御願いします!」


 一刻の猶予もないようにシキには少女たちの容態が厳しいように見え慌てて目の前の白装束に照準を合わせるよう意識し【ゴブリン(白)】を発動させる。


 ぎゃぁい


 すると今度は先ほどとは違いシキの頭の奥にゴブリン特有の甲高い叫び声が響き、シキにしか見えない半透明な白ゴブリンは目の前の少女に手を翳す。通常ホワイトマジックで回復すれば対象者は術の影響で光るのだが何も見た目に変化はない。


「あれ? ……何も起こらない?」


 シキとしては何か手応えのような物を感じたのだが見た目は変わらず一瞬焦りを覚えた。が、次の瞬間それまで呼吸すら怪しかった患者がうめき声を上げた。


「ぅ……ぁ……」

「エマ! しっかりしてエマ! 起きて!」

「邪魔」

「痛っ!」


 仲間の名前であろう、エマと呼び肩をガクガクと揺する少女戦士の側頭部を押すように蹴って引き剥がすフユ。無表情で非情に思い切りが良い少女である。


「シキさん、効いてる。もっかいだいじょぶ? 余裕あればこっちも一回。ヤバそ」

「うんっ」


 もう一人の黒いローブを着た少女の呼吸音が弱まっているのを気にしたフユはシキを促す。

 倒れた少女二人に何度も交互に【ゴブリン(白)】をかけていくシキの額に汗が浮かび始める。


「この人は、なんのジョブですか?」


 何か念じているようには見えるし実際に仲間達は意識を取り戻し始め容態はどんどん回復していっているのが解る。ただ、それ以外はパっと見て何も起こっていない不思議な光景であった。


「秘密。他言無用」

「詮索は寿命縮めるさ」


 見ず知らずの少女達を必死に治療する美少年の姿に四人は見入っていた。

 そしてやがて二人は意識を取り戻し、普通に歩けるようにまでなる。少し休憩すれば帰るくらいは問題ないとリーダー格の少女は言った。

 シキ達の目の前で手に怪我をした少女もシキは笑顔で治療した。


「あの、お金あまり無いので、少しですけど。戻れば何とかもうちょっとは用意出来ると思うんですが」

「ああ、気にしないで良いよ。術使っただけでちょっと休めば回復するから」


 ふらふらになるまで術を施し座り込んでいる少年は手をひらひら振って申し出を断る。


「え、でも」

「あの、ほんと少ないですが」

「いいよいいよ。別にお金貰うために助けた訳じゃないし。困ったときはお互い様だよ」


 その言にフユは「おぉ」と感嘆の声を上げ、アキは「全くもってお人好しさ」と笑い、助けられたパーティー四人は唖然とした。


 ここまでして貰ったら大抵金品を要求されるし、要求して当たり前である。それでも命があってこそであり助けられた方は大金を要求されたとしても感謝の念を抱くのが普通だ。

 そもそもハンターが助け合うとしてもその根底にあるのは人間として以前に野性的な利害あってこそ。弱肉強食で自然の競争と同じなのである。故に街で生きる人々よりも利害を重視する。


「あ、でもアキさん貰った方が良い?」


 断ったものの自分たちがここに来た理由を思い出したシキは慌ててアキを見た。アキにしてみれば金はいくらでも欲しいだろうし自分だってナツを救いたいと思ってきたのだ。


「シキ君が良いなら私は構わないよ。そもそも私たちはパーティーを組んでる訳じゃなく私が君たちに助力頂いてるから私にとやかく言う権利は無いさ。フユ君は?」

「ん。ただ倒した分の魔石は貰う」

「それは当然さ。君たちもそれは構わんさね?」

「もちろんです。助けてくださって本当に有り難うございます」

「そっか。じゃ、そゆことで。僕らはもうちょっと探索しなきゃだから送っていけないけど気をつけて帰りなね。バイバーイ」


 戸惑ったままの四人を置いて三人んは先に進んだ。


「…………天使?」

「嘘だろ? いやいやいや、ええ? 嘘だろ?」

「あんな人、存在するの? 美形で、優しいなんてもんじゃないよ? 私、夢見てる?」

「と、とにかく、折角助かったんだから慎重に戻ろう」


 残された少女達は信じられない状況に混乱しつつも感謝しながら街へと帰還するのであった。




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