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バナナボートで異世界へ  作者: 秋野 木星
第二章 王都への旅 VS 古民家改修
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いざ行こう!

いろいろあって旅立ちが二日ほど遅くなってしまったが、今度はリノ一人ではなく兄のミノルと二人揃っての旅立ちになる。

朝ご飯をしっかり食べて、気力も十分だ。

ありがたいことに、空には適度な雲が出ていて、森の空気はまだ涼しくて凌ぎやすい。



「いよいよだねぇ。今日の目的地は、トリナ村でいい?」


リノがミノルに確認すると、ミノルも頷いた。


「リノが東の海側へ出ようとしてたのは、いい判断だと思うわ。北の山脈を回り込んだ方が、歩きやすいだろうしな」


オータムの町から街道を北に進んでいき、途中から真東に進路を取って、半島の東の海岸を目指すルートだ。トリナ村は、そのルート上にある。



「そういえば、食料は買い足さなくていいのか? おかずにする肉や魚がないだろう。こっちには外食チェーン店なんてないんだしさ」


ミノルの心配もわかる。リノもその辺は少し不安に思っている。


「でもね、こっちの旅人は、パン以外は現地調達する人が多いらしいんだよ。だから、兄貴は川で魚を釣ってね。こっちは、本職なんだから、余裕でしょ」


「そっちは、任せろ。船に乗せてた釣り具はバッチリ収納に入ってる」


「よろしくー。肉の方は、二人とも魔法と剣で、狩りをするしかないね」


「……そうか、そうだな。魚も肉もおんなじだな」


猫や犬をかわいがっていたミノルにすれば、キツイ選択だろうが、本人もわかっているのか厳しい顔をして同意してくれた。






家がある森から、オータムの町近くの森に転移すると、そこから街道に出て、二人は北に向かって歩いて行った。


北の山脈の上にはいかにも夏らしい雲がモクモクと立ち上がっている。

東から登ってきた太陽がだんだんと日差しを強めてくると、歩いていても背中がジリジリと熱くなってきた。


「もう暑くなってきたよ。あれを使うか、いでよ【涼しい風】」


「なんだ、それ?」


「防御結界の中にクーラーをつけたのよ。これ、使えるよ~」


リノがそう言うと、ミノルは呆れた顔をした。


「お前なぁ~。いやでも、使えるものは使うべきか」


結局、ミノルも、右に倣えでクーラーの恩恵に預かったのだった。


「そういえば、部屋を片付けた時にタイドさんの遺産で使える物ってあったのか? なんかお宝が出てきた?」


ミノルには部屋を片付けた時に、使えそうなものはリノの収納に保存していると言っておいた。

中身は詳しく話していなかったので、歩きながら伝えておくことにした。


「機織り機でしょ、それにろうそくの束、それから……」


説明していくうちに、裁縫道具があったことを思い出した。


「忘れてた。裁縫道具もあったんだ。これはカーテンを作る時に使えるな。それから、本、金庫みたいな木の箱、それから……」


「おい、ちょっと待て! 宝箱があるじゃん!!」


「えー、ただの木の箱だよ」


「お前なぁ、ロマンがなさすぎるわ。中身を確かめてみようぜ」



ミノルがうるさいので、川の側で休憩することにした。


二人で大きな石に腰かけて、川を見ながら一休みする。


「はい、これがさっき言った木の箱だよ。ラクーさんの市場の店を手伝った時に、こんな木の箱をレジ代わりにしてたから、たぶん金庫みたいに使ってたんじゃないかな」


リノが渡してくれたた木の箱を、ミノルは手にとりクルクルと回した後、ただ捻ればいいだけの鍵をはずして開けてみた。


中には羊皮紙が畳まれて詰め込まれていて、その紙の下に申し訳程度の金貨と銀貨が入っていた。

宝物といえるほどの金額ではないが、村で暮らすお年寄りにとっては、大切な資産だったに違いない。


「わー、お金が入ってたんだね」


リノはいくら入っていたのか勘定していたが、ミノルは手に取って読み始めた羊皮紙に夢中になっていた。


「おい、この紙に書いてあることを読んでみろよ。すげーぞ! そうか湖の中に住んでる妖精が、あの魚をくれたんだな」


「?? なに?」


リノが見せてもらうと、こんなことが書いてあった。



<契約書>


タイドと妖精の泉の契約。


タイドが妖精の秘密を守るなら、食べるのに必要なだけ、泉の魚を獲ってもいい。



……なんとも、シンプルな契約書だ。

妖精の秘密が何なのか知らないが、タイドの関係者があの家に住み始めたと思って、妖精の泉自身が魚をくれた?と考えればいいのかな??

ま、そういうことにしとこう。



「いやー、なんか訳が分かってすっきりしたわ」


リノは魚のことをすっかり忘れていたが、ミノルはずっと気になっていたらしい。


「それに本も確認しとこう。俺、ギルドとかで名前が書けなくて恥ずかしかったわ。名前ぐらい書けなくちゃな」


「確かに。それは私も思ってた。でもここのところ忙しかったから後回しになってたのよね」


タイドの本の中に、ちょうどマンキ国語とバンデロール王国語の対応表があったので、リノとミノルは木の棒を使って地面に自分の名前を書きながら、覚え込んでいった。


「よし、ばっちぐー、だ」


「うわぁ、死語。兄貴、父さんといつも一緒にいるから、そんな昭和のおっさんみたいな言葉を覚えるんだよ。そんな言葉、使ってると、彼女できないよ~」


「うるせぇ、ほっとけ」



リノとミノルの弥次喜多道中記は、まだまだ続くようである。

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