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外伝 2

 軽量戦車。


 説明する制服氏はその様に定義しているらしい。だが、それが意味するところは簡単ではない。


 もし、偵察に特化したければ火力、防御力は最低限度で機動力を引き上げれば良いだろう。


 ドイツのルクスや87式偵察警戒車あたりでも十分だ。


 しかし、火力支援車両、ないしは駆逐戦車あたりを想定すると話が違ってくる。当人に聞いてみるしかないだろう。


「よろしいかな?」


 俺がそう発言するとなぜか場に緊張が走った。


「軽量戦車と言うが、それは何を目指しての事か。単に重量を軽くすると言っても、容易い話ではない。何を削り、何を目指すのか。我が国は欧州が世に出した機動力で防御を補うという新しい主力戦車の在り方を否定し、従来通りの防御力に力点を置いた61式を開発している。君の話を聞く限り、それは欧州型の主力戦車の事にはならないだろうか?」


 彼は偵察戦車と言ってはいたが、90ミリ滑腔砲を装備するのであれば、主力戦車としても運用可能だ。


「たしかに、欧州型主力戦車の発想に近いものを想定しております。なにより本州や島しょ部においては鉄道、道路網、港湾設備の関係から、軽量な車体をもって61式に替えたいと云うのは偽らざるところであります」


 そう返答が来た。


 この時代の日本に重量級戦車は必要ないという考えがあったのは聞いたことがある。きっと制服氏はそう言った類の人物なのだろう。


 ただ、全く無茶を言っている訳でもない。


 でなければ、後にチェンタウロやキドセン(16式MCV)、あるいはMGSのような火力支援車両は作られなかった筈だ。


 米国では配備こそされなかったが、21世紀になってM8という軽戦車が制式化まで行っている。


「90ミリ滑腔砲を備える駆逐戦車と考えて良いならば、その構想は有意義ではないだろうか」


  米国で試作されたT92に始まる低姿勢な火力支援車両などうってつけだ。


 そこで、低姿勢砲塔で砲塔重量を極力減らし、フロントエンジンとして極力乗員の生存性を上げる事を提案してみた。


 周りは何だか「さすがだ」と言った雰囲気に包まれている。一体どういう事だろうか?


 そんな雰囲気の中で会議は終了を迎え、提案のあった25t級戦車についてはどうやら俺がたたき台を考えることになるらしい。


 おいおいと思いながらその場を後にした。


 自分が誰かよく分からなかったが、どうやら、日本戦車の父であるという衝撃的な事実に記憶が気付かせてくれた。

 できれば知りたくはなかった。


 本来ならすでに一線を退いている筈なのだが、未だに三菱に在籍し、あまつさえ自衛隊でもこのように顧問的立場にいるらしい。


 どうしたものかと思ったが、さらに驚いたのは自分のデスクに帰ってからだ。


 なぜかそこには時代に不釣り合いなディスプレイが存在している。ここ、55年以上前なんだよ?んなもんあったらオカシイだろ。


 しかし、誰も気にしていないらしいので、素知らぬ風に座り、検索してみることにした。


 そして気が付いたが、コイツは単なるパソコンですらなく、シミュレートや設計もやってくれるらしい。


 なぜだか分かってしまうのだから仕方がない。


 そうなると、まず調べるのはT92やソ連の似たようなモノだろう。


 そして、この60~70年代にはT92の様な形の砲塔が各国で試作、提案されている。


 と云うのも、戦車の砲塔と云うのは搭載する砲の可動角度、砲が反動を逃がすために後退する後座長でその大きさが半ば決まってしまう。


 戦車と云うのは、低姿勢で車高が低く、敵から発見されにくい方が当然被弾の可能性も低いが、だからと言って背の低い砲塔にしてしまえば、大型の砲を収める事は出来ず、戦車としての機能を保持する事が出来なくなってしまう。


 その問題を解決するのが、T92に採用されたクレフト砲塔という方式だった。


 クレフト、裂け目とか間隙という意味で、砲塔中央に据えられた砲に砲塔の天井は無く、露出した砲郭部が自由に上下動するため、砲塔を低姿勢に出来るというモノだった。


 当然、砲が無防備であるため、自動装填が必須であるのは言うまでもない。


 幸いな事に、この世界の日本ではすでに艦載砲において自動装填装置が開発されており、それを基に戦車用に開発する事は難しくなさそうな事まで分かった。


 ただし、艦載砲の装置を基にするには90式の様な装置とはまるで別物であり、砲塔後部に搭載するのではなく、弾庫を車体に載せないといけない。


 そこもT92が参考になる。


 何よりフロントエンジンと真っ先に提案したのが良かった。


 それは頭に浮かんだのがT92だったからだが、重量25tとされたことで、ファミリー化して兵員輸送車や自走砲の車体にも使えるのではないだろうか?


 早速その様に書類を書き上げて提案することにした。


「これは素晴らしい!こういう統制型であれば量産効果も上がり、単価を下げて配備数を増やせるだろう!」


 と、べた褒めだった。


 ついでなのでこの時期にNATOが次期榴弾砲に求められている射程24kmを自走砲の要求仕様としている。そうすれば史実の75式みたいな中途半端な事にはならなくて済むだろう。


 

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