ああ、そんな約束もあったかもしれん
一通り記憶を整理してみた。
そして、とりあえずゲームを開いてみた。
日本戦車のところには一式、三式、五式、五式改と並んでいる。
五式改
日本が戦時中最後に開発した中戦車。被弾経始を徹底的に取り入れた五式の防御力を更に強化し、赤外線ライトによる暗視装置を設計段階から組み込み、五式のエンジンを更に排気量拡大を行い620馬力まで出力を上げ、主砲を高初速56口径90ミリ砲に換装した第二次大戦最強戦車。その主砲は三式徹甲弾特二を用いて、ファーストステージのいかなる戦車をも撃破可能となっている。榴弾である三式特榴弾も成形炸薬弾であり、106ミリの装甲貫通力を有し、M4やT34などを撃破可能。重量37トン、時速50km。
実際に化け物だが、ゲームではそりゃあダメな性能だよ。ほぼ61式そのまま。IS3がここに入っているから何とか許されてるレベルだよね、これは。
で、ドイツに7号戦車ってのを見つけた。なにこれ?
7号戦車ゲパルト
ドイツにおいて開発された中戦車。T34ショックによって3号戦車に替わる中戦車を求めた試作に応じてシュコダ社が開発したバランスの取れた中戦車で、56口径88ミリ砲を装備するため、近距離ではパンターに劣るが遠距離ではティーガーⅠと同等の攻撃力を持ち、良好な被弾経始を有した車体はドイツ戦車随一の防御力を誇る。重量38トン、時速55km
五式とゲパルトはどこか似ている。シュコダは俺が送った複数の手紙を基に独自にそこに行き着いたんだろうな。同じ思想を持って作られた戦車だから似てるんだろう。
外のサイトも覗いてみたが、五式改のチート具合やゲパルトの万能さはどこでも話題だった。五式改は既に入手不能な戦車らしい。ゲパルトは普通に入手できる戦車の中で五式と座を争う優秀戦車みたいだね。
実際、ゲームでも五式改はすごくおもしろかった。負けたけど。
一戦終えて一息ついていると、画面に老人が現れた。なんだかものすごく懐かしい気がする。昨日のはずなのに、20年ぶりという不思議な感覚。
「還ってきたようだな。しかし、随分弄ったな」
いや、藤本さんほどじゃないぞ?
「確かにな、彼のせいで米大統領も大企業の社長も変わってしまった。アレに比べたら穏当なんじゃが、アレの波に乗ってこんな戦車を作ってしまうとはのぉ~」
仕方ないだろ、砲兵科が野砲の使用を認めなかったんだから。野砲を使ってたらもっと常識的な線で落ち着いていたんだけどな。
「たしかに、それは認めよう。でもな、なんじゃあの農機は?誰が変わるとか彼がどうしたとかいう些末な問題じゃ無かろう?」
いや、それはアンタが言ったんじゃないのか?農地がどうとか農機具がどうとかさ。
「まあ、それは言ったが、コンバインやトラクターの生産を30年も早める必要は無かろう?確かに、誰も迷惑はしとらんが」
なら、良いじゃないか。
「軸流式脱穀機の特許がアメリカの会社から三菱に変わった。それ以外にも、三菱やヤンマーが本来あり得んほどに早く油圧制御やディーゼル機関の特許を取ってしまった。外国のメーカーを中心に少なからぬ影響が出とるわい。まあ、誤差の範囲ではあるが」
最大の誤差は油田じゃないのか?
「アレな、ちょっと止めるんが遅すぎた」
いや、遅すぎたってアンタ・・・
「まあ、よいよい、修正で何とかなっておる。ではな」
老人はそう言って画面から消えていった。何だったんだ、あの老人。かなりダメな神様だな。
「アニキ~、起きてんならさっさと飯食え」
そんな声が聞こえてきた。
部屋を出るとポニーテールがそこに居た。何で好みドストライクなんですかね、あの老人。
「どした?」
首を傾げた姿もかわいいです。そんなじっと見ないでください。ごめんなさい。
「さっさと食って、さっさと働く」
このドストライクのポニテ少女は親父の再婚相手の連れ娘だ。母親が10年前に死んで、祖父ちゃんと祖母ちゃん、親父の三人で農業をやっていたが、さすがに田舎の世間体があるからって、親父は3年前に再婚した。その連れ娘がポニテ娘だった。義母もかなりの美人だと思うが歳が歳だからね、女優やテレビの若さ自慢の50代みたいにはいかんよね。
おかげで義妹もかなり可愛い。
「人の話聞いてんのか?」
ちょっと勝気だが、それも良い。今は大学で経営について学んでいる。
「ほら~、さっさと行く」
引っ張られてキッチンへとやってきた。
「みそ汁とご飯は自分でやって、私はこれから講義だから」
昨日まではどこにでもあるサラリーマン家庭のはずだったのに、なにをどう間違ったのか大農家なんぞやっている。随分前に売り払ったはずの山が全部畑になってるとか信じられるか?
あの老人、限度ってもんを知らんだろ。
「ほら、急いでるんだからさっさと食う。分かってると思うけど、私が卒業したらこんなもんじゃすまないよ?」
何やらメモ用紙を渡された。どうやら今日の予定らしい。なんだ?
「原田さんちの直播ね」
今日のお仕事は最近導入した稲の直播栽培。すでに昨日の間に種もみの準備は出来ている。ついでに言えば、このポニテに逆プロポーズを受けている、両親の前でな。逃げ道はどこにもなさそうだ。
出来たら良いなと妄想していた彼女と農業が同時に実現してるんだが、現実は妄想ほど楽じゃない。
仕事大好きな原さんの仕事量に比べたら、まだこなせる量だから、何とかやってみますか。




