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だったらタービンエンジン使えばいいじゃん!

 昭和十八(1943)年を迎えた、昨年十月から相模造兵所長を拝命しているが、やることは変わっていない。

 そんな時、小野田さんが久しぶりにやってきた。


「お久しぶりです」


 彼の肩には少将の階級章が付いていた。


「お久しぶりです。少将になられたんですね。おめでとうございます」


 真新しい階級章に、そう返答を返した。


「はい、ようやく外地から戻ってまいりました。ご存知ですか?鞍山周辺で石油が出たんですよ。それも、そのまま使えるほどの油質だそうで、皆が喜んでいます」


 はぁ?確かにあそこは後に油田が見つかるが、それは今じゃないだろ?見つけるとしたら、まずは北の方じゃないのか?


「ええ、驚くのも無理はありません。担当した私も驚きました。過去に試掘を行い、可能性は分かっていたんですが、それからどこを掘っても可能性以上の結果が得られなかったんです」


「ところが、昨年になって、過去に掘った試掘坑から石油が出たんですよ。出るはずがない場所からいきなり出て驚きました」


 たぶんそれ、アレがやったんだ、アレが。アレしか居ない。


「嘘と思いでしょうが、本当です。静岡に相良油田というのがあるんですが、そこに組成が近いんです。あそこより少し重質ですが、そのままディーゼルが動きますよ」


 とんだ悪戯に眩暈がしてきた。あの野郎は俺を21世紀に還す気があるんだろうか?このまま原さんの中で飼い殺しか、消滅させる気なんじゃないのかとも疑った。

 だが、行動する勇気がない。


「そいつは凄い。それで、小野田さんがその開発の指揮を執っていたんですか?」


「実質的には。ですね。ほとんどお払い箱になったような人間ばかり集められましてね。私の場合、兄と弟が海軍で、改善運動や規格統一運動に参加した事で上からにらまれましてね、左遷されておりました」


 そう言う事だったのか。


「しかし、出るはずのない穴掘りで石油を掘り当てるという成果を出したことで、こうして帰ってきたわけですよ。またすぐ、今度は北海道行きですけど」


 そう言って笑っていた。北海道なら良いんじゃないかと思う。満州に居るより安全だし、日本で一番安全な場所だ。ただ、そこはよほどの事が無い限り戦闘に関係ない、陸軍にとっての窓際かもしれんけども・・・


 そんな会話があって数日、正規のルートでも油田発見の報がもたらされた。

 ディーゼルエンジンを動かすにはちょうど良いだろうが、船を動かすには少々軽質すぎる、ガソリンエンジンが動くわけでもないという中途半端なものだった。


「戦車のためにある油だね」


 俺たちはそう言って笑い合った。


 ただ、困っている人たちもいる。航空部門の人々だ。


 彼らはノモンハンでバカな事をやらかしたが、教訓を得て根本的な改革が行えた唯一の部門だったかもしれない。

 海軍がパイロットの喪失で戦闘技量をがた落ちさせる中で、彼らは一定の技量を越えてがた落ちさせることなく踏みとどまっていた。

 ノモンハンで空戦の現実というものを知り、如何に飛行兵を確保しておくかを理解したようだ。

 そして、対米戦争以前から飛行学校を初めその養成人員を増やしていっていた。

 そんな彼らには、今回の石油発見は何ら朗報ではなかった。国内の限られた精製施設では、全く需要は満たせないことは明らかだった。

 

 そんな航空部門の人と話す機会があったのだが


「原さんのところは良いですなぁ~、これで燃料の心配もなく増産できるんですから」


 嫌味のようにそう言ってきた。


「タービンエンジンの開発に成功したと聞いてますよ。アレにプロペラつけて回せばいいじゃないですか。タービンなら軽質油で回るでしょう?」


 嫌味返しをしてやった。後悔はしていない。


「タービンですか。あの海のモノとも山のモノとも分からないロケットエンジンにプロペラつけるとは、原さんも意地悪が過ぎま・・・」


 固まった。固まったまま、こっちを見ている。


「その手があった!!ありがとうございます」


 何が起きたのかわからなかった。彼が何を言いたいのかもよく分からない。しかし、お礼を言われたのだけは確かだった。


「はあ、それはどうも」


 何が起きたのかわからなかったが、こっちもそれどころではないので忘れていた。


 三菱が450馬力エンジンを完成させたというので見に行った時だった。


「原さん、また何かやりましたか?」


 出会ってそう言われた。


「え?なんでしょう。よく分かりませんが」


「またまたぁ~、川崎の戦闘機に関わったそうじゃないですか。なんでも、水冷エンジンよりも軽くて強力なエンジンを提案したとか。聞きましたよ?」


 はて?


「川崎の戦闘機ですか?いや、まったくかかわってませんよ。戦闘機は専門外ですし」


 なんだかよく分からなかった。

 

 まあ、それは置いといて、水冷ディーゼルは十分な性能を持っている様だった。


 車体の方も本格的に設計はじめにゃならんな。


ターボプロップエンジンはレシプロに対して軽量にできるのが魅力的。


キ61のエンジンはさすがにP&W PT6みたいに200㎏程度で1700馬力は無理だと思うが、ハ40同等の600㎏で出せると思う。当然、海軍のガスタービンを参考にフリータービン式だから、パイパーPA‐48みたいなダサい形にはならんと思う。ただ、昨今のターボプロップ機同様の形になるからカッコいいかというと悩ましいだろうね。


そして、ターボプロップはレシプロみたいなレスポンスは期待できないから、一撃離脱は出来ても格闘戦は苦手な機体になると思う。迎撃機としては良いんだけど、制空戦闘機としてはイマイチの性能になるだろうね。


それでも、鍾馗の乗り方が出来れば戦えるんじゃない?


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